紙の本
グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代
2015/08/30 23:09
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投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界中のあちこちで格差問題が深刻になる中、世間から「グローバル・スーパーリッチ」といわれる人たちは何を考えているのか、それを丹念な取材でまとめたのがこの本である。著者は新自由主義に批判的なスタンスをとっており、母国・カナダの国会議員選挙に出馬経験もあるジャーナリストである。
18世紀の時代にも、個々の才能で巨万の富を掴んだ人は存在した(芸術家など)。確かに今の「スーパーリッチ」といわれる人たちも、ある種の才能に恵まれているのは否定しない。しかし「スーパーリッチ」といわれる人たちの多くは「社会貢献」に否定的なスタンスをとるばかりでなく、国庫に納めるべき税金すら拒む。さらには自分たち「スーパーリッチ」だけが参加できる客船を建造し、その中で人生を送ろうと目論んでいる。もちろん、同じ「ビリオネア」といわれる人の中には、仲間だけでしかつながろうとしない人たちのことを快く思わない人もいる。彼らに「ノブレスオブリージュ」の精神をつけさせるにはどうしたらいいのだろうか?
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主にアメリカベースではあるが、リサーチ内容が学術的でハイレベル。インタビュー対象もハイレベル。国境や国籍を超えた、スーパーリッチという少数民族がこの時代に生まれていることと、その生態の綿密な調査結果が記されている。この手の「格差」を取り上げる国産本とは明らかに違う目線であり、スケール感である。
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イノベーションのジレンマ 業界に破壊的な新技術や新市場が出現した時、すでに確立された企業はつまずいてしまう場合がほとんど。
ソロスのように、パラダイムシフトを察知し、それに適応するたぐいまれな能力はスーパーエリートをつくる経済的な力の一つ
ソロスの父 オーストリアハンガリー帝国の将校だった 革命的な変化に直面した時には革命的な行動をとる必要があることを理解していた
ファイアストン 契機が安定していた戦後のアメリカで、成功するための構造を気づいていた。成功の方程式にこだわるのはいい。ただし、状況が安定している時に限る
脅威が迫っているのを知りながら、その脅威への対応に、これまでと同じことを活発に行うばかりである
リスクを発見できなければ、リスクのほうがあなたを発見する
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プルトクラートの話。シンガポールで読んでたので臨場感あって良かったです。
「常に気配りされる事に慣れてしまうと、世界は自分と自分の必要を中心にして回るべきだと感じるようになる。客観性を失ってしまう」
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ついに、ピケティ本「21世紀の資本」が日本でも発売されました。圧巻の700ページ、大迫力の5500円でございます。だ、誰が買うんや…と、平積みにされていた本を眺めていましたが、日本でも大ベストセラーらしいですね。NHKでもピケティの白熱教室が放映されるらしい。
さて、本書はアメリカではピケティ本とほぼ同時期に発売された、1970年代以降の超格差、主に金持ち側を取り扱った本です。
彼ら大金持ちが誕生する歴史や背景はそれこそピケティやエマニュエルサイズなどを参照しながら、わかりやすく説明してくれますが、これは割とジャーナリスティックな内容の本です。著者はモスクワで働いたことのあるカナダ人であり、ロシアや中国の大金持ちが誕生する背景が描かれた4章以降は興味深いのではないでしょうか。
合法的腐敗でありながら、規制の困難なレントシーキング。政府が金融機関の言いなりになってしまう認知的国家捕獲など、日本ではなかなか議論されないキーワードもでてきて勉強になります。
とりあえず、お金持ち大好きで本書を手に取ったはいいけど、金融にも法律にもテクノロジーにも造詣のない先進国のミドルクラスには縁もゆかりもない世界らしいのでがっかりしておきましょう。
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[深淵なる富貧クレバス]「上位1%とその他99%の人々の間の格差」という考え方に注目が集まる一方,さらにその上位1%の中の「上位0.1%とその他の人々の格差」に着目した作品。著者が「プルトクラート」と呼ぶその超裕福層はいかにして生まれ,行動し,どのような影響力を社会に行使しているかを詳細に研究しています。著者は、『フィナンシャル・タイムズ』を始めとした各種の経済紙においてジャーナリストとして活躍したクリスティア・フリーランド。原題は、『Plutocrats; The Rise of the New Grobal Super-Rich and the Fall of Everyone Else』。
まず「プルトクラート」の度肝を抜かれる金持ちっぷりに単純に頭がくらくらしました。ただ単に金がうなるほどあるというのだけではなく,その層が国境をそれほど意識することがなく,主に内輪の者のみで完結する世界に生きているという指摘にはなるほどと感じずにはいられませんでした。もちろん金持ちを追ったゴシップ本ではなく、「プルトクラート」がどういう役割・影響を果たすかについても極めて現実的な見方が提示されているところも高評価ポイント。
〜重要なのは、実業家のなかの善玉と悪玉の差よりも、自分の社会で適切な規則が定められ、その執行を可能にする監視体制が敷かれているかどうかである。〜
失礼な言い方になりますが思った以上にしっかりした本でした☆5つ
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スーパーリッチの人たちって、格差などの社会問題をどういう風にとらえているんだろうと思っていたが、やはり特殊なイデオロギーにしっかり染まっている集団でしかないということを改めて感じた。それはいい悪いではなく、ある共通の傾向をもった社会集団とでもいおうか。
その中でもごく一握りの人だけが、バランスのとれた知性と客観性をもっているのだという現実。
グローバルリッチの世界では、非倫理的な態度が醸成されていくと書かれていたが、環境が心理にどう作用していくのか、その過程にフォーカスしてみるもの面白いかもと思った。