紙の本
おどろおどろしい議論のわりには,のこるものがすくない
2008/06/02 22:39
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
第 1 章で脱構築を脱建築とみなすという説を提示し,それを建築の危機ととらえている.第 2 章ではシェルターとしての建築という見方をほとんどきりすててしまう.こうしう大胆な見方で読者をひきこみ,ヨーロッパの建築史をみていく.しかし,大胆さは荒削りな議論の表裏であり,最後にふたたび語られる脱構築による建築の危機が説得力をもってこない.著者は建築が物質的な構築にこだわりつづけたことが批判されてたと書いているが,建築がシェルターであるということをおもいだせば,物質的であるのは当然のことだとおもわれる.おどろおどろしい議論のわりには,のこるものがすくない.
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建築の背景を簡略して書いてあるが、ざっと読んで自分なりに調べるのであれば膨大な知識量になるだろう。入門には適していると思う。学生ならば2年までには読んでおきたい。
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私は、これ読んで、建築家を本気で志すことにした。建築家のウンチクに苛立っていたあの時期、建築の奥行き、面白さをすんなりと伝えてくれた私の中の一等品である。
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いわゆる良書だと思う。建築というものがその時代の思想を背景にして作られてきたのだということを歴史を追いながら示してくれる。けっして読みやすくはないが、時間をかけて読むだけの価値のある内容を含んでいる。建築思想史に興味があるならぜひとも読むべき本だと思う。
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建築=構築とは、本来的に限界を抱えている。すなわち、物質性である。建築は物質という負荷を負っているが故に、純粋に幾何学的な構築物にはなりえない。この限界に打ち勝とうとして何度となく挫折してきたのが建築の歴史といっても過言ではないかもしれない。
また、本書は、建築と哲学の並行性を鋭く説いていく意味でも面白い。
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様々な流れが起こり、過ぎていくが最初の構築が提起した問題はいまだに解決されていない。このままでは脱却できない。筆者なりの考えをしめしてほしかった。
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建築史を古代から現代まで、その時々の哲学思想と照らし合わせながらまとめた本。
やや難解な語り口ではあるけれど、
論じてることは普段誰もが疑問に思っていたり、気にしていることだと感じました。
隈さんの言う『負ける建築』への理解も深まる。
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目次
第1章 建築の危機
第2章 建築とは何か
第3章 構築
第4章 構築と拡張
第5章 構築と自然
第6章 構築と主体
第7章 主観対客観
第8章 建築の解体
第9章 普遍の終焉
第10章 建築のモダニズム
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文系でもわかる建築についての入門書を探していた
門外漢の私でも隈さんの名前は知っていたし、ちくま新書で読みやすそうだったため選択
建築は実用的なものだと思っていたけれど、芸術的な側面も強いのだと知った
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建築:物理的な構築→ドラッグと情報技術(VR)→すべてが建築(1968:ハンス・ホライン、ワルター・ピッヒラ~)。脱構築(decondtruction):形而上学の基礎概念がつくりあげた構造ないしは建築物を再構築するもの(デリダ他、フランスの思想家)。 西洋哲学と建築様式とを巧みに対応させ、一時期あったカオス的な建築ではないモダニズムに続くものとしての脱構築に対応する建築への道筋をたてようとするもの。 脱構築への解を示すものではない(本質的に示せない)が建築史や哲学への興味を喚起する一冊、一度読んだだけでは消化しきれない、しかし、建築家は欧米びいき?
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建築が何故哲学的なのか、その答えが見つかるでしょう。
本書は建築といっても建築思想についての本で、哲学や思想の要素が強いです。
現代建築についての入門書としても、少し踏み入ったものとしても良いのではないでしょうか。
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物理的に制約されたモノ、加えてポリティカルな要素を持たざるを得ないパブリックな現物として存在する建築が、その時代の認識論的世界観を表象する営みであることを再認識させられる。
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宗教史や思想史から紐解いて、建築家が古来考えてきたことが一本の糸として見えてくる、そんな本でした。
プラトンからダヴィンチひいてはマルクスまで、高校で「哲学者」と一括りにしていた人たちが建築(構築)を語るのに驚き。
思想を具現化する器、そんな位置づけで建築を見たことなど無かった。
でも、よくよく考えればクレーンも使えない時代にあれだけの岩を積み上げるなんて、ひょんな気まぐれで作れるものじゃないもんね。
現代から見れば非科学的でも当時は信じられていた思想がくっきりと建物に現れてるのが面白い。
ま、とりあえず全編通して理屈は分かったけど無宗教の現代人である俺には根底で共感できないのが悲しいトコロ。
それでも頭に叩き込んでおけばヨーロッパ旅行が楽しくなること請け合いかな。改めて再びローマ見に行きたいぜ!
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建築は「主観の普遍性を追求する」ことにおいて哲学と共通する、と述べる哲学的な建築史。明快で面白い。個人的には、「構築」とはまとまりすぎてもいけない、という第4章パルテノン神殿の柱についてのスカリーによる記述が興味深かった。
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※自分用メモ
【出会い】
ブックオフ新春セール。
建築よみもの。
【概要】
建築にまつわるトピック・概念の解説。
【感想】
前半個別の概念的な話が続いて想像していた内容と違い流していたけど、徐々に西洋における思想の展開と建築の関係をひも解いていくのはおもしろかった。(普遍性の追求、主観VS客観)
そういう見方もあるのかと。また、そういう思想史のリテラシーを備えたうえで今の建築・都市を見ると捉え方が変わるのだろうなと。
著者のことをよく知っているわけではないので、こういった哲学的なものを書くとは思ってなかった。
そして、94年刊なので裏表紙の写真が若い。。。