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投稿者:こーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまりの被害者の多さと、家族もろとも丸呑みにしてしまう手口で世間を震撼させた事件の記録はまだ1年ほどしか経っていないのに、すでに世間は忘れようとしているように思う。次々に起きる事件を私たちはただ消費している。そういう時に今一度事件を追いかける優れたルポに出会うと、消費しているときには見えていなかった背景が見えてくる。この本はそうした1冊だと思う。
なかなか指摘しづらいが、この稀代の女はどうやって生まれたのか。そこには土壌というべきものがあるのだということに気付かされる。生まれであり、育ちであり、環境がいかに人間の人格形成に影響を与えるのか。弱肉強食とは、本当に強いものが行うことではなく、弱いモノがより弱いモノを餌食にする行為であると感じた。そうした土壌は今も厳然としてあり、そこには残念ながら同じような事柄が今でも行われているのではないか、と思わせるこのルポは私たちに多くのことを考えるきっかけに満ちている。
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
マスコミをにぎわせた尼崎の連続変死事件を追ったノンフィクションだが、最終的には、主犯が留置場内で自殺しているだけに、謎は多い。その分、書き手にとっては取材・執筆の甲斐があっただろうが、執念をも感じさせる取材には敬服する。ただ、角田美代子から、何故、誰も逃げれらなかったのか、そのあたりの謎は、依然として残る。
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角田美代子という現代の怪物に操られた周囲の人々。彼女の心の中には何があったのか?関係者の多さに、事件の全てがなかなか把握出来なかった。ノンフィクションで、彼女が自殺してしまっただけに不明な点が残る。
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ニュースや新聞だけでは事件の概要は把握し切れず、本書のお陰でようやく詳細を知ることが出来ました。
ただ、「真相」と銘打っている割には既出の内容が多かったので、そこはやや期待外れでした。
「信じていた者に裏切られた」という身勝手な理由(憶測ですが)で自殺した角田美代子、民事不介入で尽く対応を断った兵庫県警に対し許せない気持ちでいっぱいです。特に谷本茉莉子さんの件は何とかならなかったのか、読んでいて非常に歯痒い思いでした。
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事実は小説よりも奇なり。
この本にエンターテイメント性を求めているのであれば、
これよりもずっと面白いフィクションのミステリ等いくらでもあるのでそちらをおススメします。
これは、あくまでも、現実のお話。
ですが、簡単には信じがたい事実がここにはあります。
この本を読んでいて私が折に触れて思ったことは、
これと同じ現象はすでに我々が年端もいかぬ幼少期において起こっているということ。
退路もない、仲間もいない、疑心暗鬼の中、互いに傷つけあうことしかできない世界。
支配者がいて、生贄がいて、傍観者がいる世界。
これと似たようなことは、いまや学校や会社、どこにでも起こってる。
ただただ、読んでいて一番恐ろしかったのは、
『民事不介入』の一点張りで警察が一切関与しなかったこと。
ある時は血だらけで、ある時は泣きながらに訴えているにも関わらず、一切の助けがないことが、
一体どれほどの絶望を彼らにもたらしただろうか。
何度文章を読み返しても、想像すらできない世界。
まさに『地獄』としか形容できない。
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家族がバラバラにされ、死者行方不明者10名以上、主犯格の角田美代子は逮捕後、留置場で自殺。
この事件では、登場人物が多く、話がわからなくなってしまう。ネットではサザエさんの例をだしてわかりやすく説明している。大変不謹慎なのを承知で引用しよう。
「サザエがノリスケと共謀して、1、タラちゃんの嫁のリカちゃんを支配下において、リカちゃんちを滅茶苦茶にし、リカちゃんママの実家を滅茶苦茶にし、リカちゃんパパの兄弟も殺害 2、カツオの彼女の花沢さん死亡 3、ワカメのダンナの堀川君は沖縄で崖から落ちる、親兄弟行方不明 4、全然関係ないアナゴさんちとイササカ先生の家にも押し掛けて洗脳、一家離散、行方不明、死亡者多数 アナゴさんのお母さんがドラム缶に詰められてたところで発覚(出典:http://honz.jp/35621)
類似した事件として取り上げられるのが、北九州連続殺人事件。マインドコントロールをして、家族同士で殺し合いをさせ、死体を解体し、ミキサーで粉々にし、トイレに流す。こちらの事件の方が、主犯格についての記述が少ないからか気味が悪い。
本書の欠点は書き方である。登場人物が多いのにもかかわらず、誰の話をしているのか途中まで恣意的に隠している。そして調査過程を丁寧に記述することによって、事件の話がわかりにくくなってしまっている点が残念。
角田美代子、死んだらその罪はなくなるのでしょうか?
(まっちー)
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読み終わってもまだ疑問が残るし、この角田ファミリーが捕まったところで事件は終わってないんだなと分かった。もやもやするが、ニュースで理解できなかった部分に迫れて、多くの人物の関係性も少しだが把握することができただけでも読む価値があった。タイトルの「家族喰い」が角田美代子のやり方、考え方を集約している気がする。
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フリージャーナリストによる尼崎の殺人事件に関する本。角田美代子容疑者を含む大量の容疑者・被害者の方々。警察に事件扱いにされず、行方不明の方も居るようなので被害者はもっとたくさん居る模様。複雑な人間関係と巧妙な手口を使った殺人や詐欺行為などにゾッとする。サイコパス集団による犯罪としか思えない。頭の中を空っぽにして整理して読まないと混乱する。この事件は警察の怠慢によって被害が拡大してしまった事件である。角田美代子も自殺をし、この事件の謎は深まるばかり。永久に謎のまま。
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もし私が当事者となった時、自分の倫理観を保ち家族を守れるだろうか。
被害家族の大黒柱たる男性達の無力さにかなしくなる。市民の生活を守るべき警察の対応に腹が立つ。
この本を読んで事件の真相を知ったつもりになったとして、被害者の苦しみ全てを理解する事は不可能だ。平和な日々に身を置いているうちは。
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テレビでみた相関図がわからなすぎて、読んだらわかるかなと。いや、わかんねーし。なんで小汚いオバサンに、よってたかって支配されてしまったの??読んでもわからないよ!
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最初っから人、人、人。
誰が誰だかよく判らない。
相関図も載ってるけど、コレ、マジで判りづらい!
なぜなら登場人物が多過ぎるから。
流石 事実は小説よりも奇なり である。
とりあえず読み進めるとなんとなく見えて来るんだけど、やっぱり相関図はないとツラい。
こんなノンフィクションは初めてです。
マジで、フィクションなのでは?と思って思う程。
アガサ・クリスティーも真っ青だよ。
『誰が犯人か』って判らないんだもん。
警察は動かない、相談にも行っても相手にもされない。
しかも家族内でのもめ事だからと言って終。
発覚するのにかなりの時間を要して、結局犯人は自殺しているし。
こんな非道な人間が居ていいのだろうか?
どうしてこんなにも酷い事が出来るのだろうか?
ある意味精神的に問題のあった人なんだとは思う。
けれど、やった事は悪事だよ。
犯人の幼少時代が不憫でも、同情は出来ない。
だって、同じ境遇の人が同じ事をしていないから。
親子で殴って、殺して。
子供は取り上げられ、家族全員人質となり。
家は取り上げられたあげくに売られ。
財産も全て搾取され。
挙げ句の果てには殺されて…
それが一家族ではない。
著者が調べただけでも7家族。
もしかしたら、家という事を切り離したらもっと沢山の人達が被害に遭っているのでは?
どんだけ自己中なんだよ、犯人。
終いには自分一人で勝手に死んで。
私は読んでて寒気と吐き気がした。
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あぁ気色悪い。
2012年10月の家宅捜査から次々死体が発見され12月に主犯の角田美代子が獄中で自殺、全貌はつかめないままだが著者の粘りの聞き込みで少しは何が起こったか見えてきている。角田家以外に巻き込まれたのが6家系、20世帯、50人以上が関連し、死者行方不明者が少なくとも12名で、逮捕者11名。多くの登場者が被害者でもあり加害者にもなっている。角田はいちゃもんをつけ、相手の家に乗り込み居座り、家族をバラバラにしお互いを虐待させ合う。しかし本人はほとんど手を下さず、暴力団の関与をにおわせ脅しているのだが、気色悪いのはなぜ普通の家族が角田に見入られたように言いなりになって行ったかだ。
時系列では角田家に出入りしていた橋本芳子さんが1987年に失踪し戸籍上死亡、しかしこの件では事件性があったかどうかは今ではわからない。何かあったとしても角田家の外には事件は拡がっていなかった。1998年美代子の母が無くなり、続いて伯父の嫁(仮名小春)が無くなった際、美代子の母の葬儀には顔を出さず、小春の葬儀を実家で出したことにいちゃもんをつけたのが最初のようだ。難は小春の妹(光恵、仮名)の嫁ぎ先I家に及んだ。光恵の4男と角田美代子の弟、そして養子になった戸籍上の妹三枝子は中学の同級生でどうやら昔からの知り合いでもあり、光恵の孫が二人美代子の養子になった(一人は後に解消)。美代子は光恵の子供達にも次々に難癖を付け一方で孫達には取り入り全ての子供夫婦は離婚させられ、会社を辞めさせ退職金を巻き上げ、家やマンションは自分の名義に変えさせている。きっかけは喪主を角田家から出さなかったことと葬儀代金を一時美代子が立て替えたことだけだった。光恵は子供達に殴られ虐待され99年に亡くなった。(事件にはなっていない)家族の誰かがその日のターゲットになり他の家族に殴らせる。美代子のもう一人の伯父の養子になった李正則が暴力団関係者としての脅し役なのだが光恵の子供達4人兄弟で10人以上いるのになぜこういう支配が可能になったのかがわからない。後にターゲットになった家族も同様に家庭内に被害者と加害者がうまれている。殺されたうちの3人は不起訴処分になったが他の殺人や傷害致死の容疑者でもある。
美代子の逮捕のきっかけになったのは大江香愛が監禁から抜け出し警察に駆け込んだことからだが、大江家が巻き込まれるきっかけになったのは電車でのクレームだった。香愛の妹裕美の夫川村博之は私鉄勤務で美代子のクレームに対応したとき逆に持ち上げられ裕美共々取り込まれて行く、脱サラして喫茶店をやりたいと言う話をして美代子の持つ不動産を使えと勧められ、数万円のコーヒーカップをプレゼントされ退職を後押しさせられた。美代子は川村の娘二人を甘やかして取り込み、川村の過去の浮気から裕美に離婚するようにけしかけた。そこから先がやはりわからないのだが川村の退職金はいつのまにか巻き上げられ、子供達には親の悪口を吹き込んで自宅に住まわせ、親族通しで殴らせるように誘導していった。そして大江家の2世帯住宅を自分の物にするため母の大江和代を呼び出し監禁し最後には衰弱死させ、同じように監禁した香愛(和代に対する加害���でもある)が逃げ出しやっと事件になったのだ。
なぜか美代子には脅しに屈する人間の見分けがついた様だ。同じように近づいても全く折れない人間相手にはさっさと手を引いている。それにしてもなぜこれだけの人間がいて結局大元の暴力装置も李正則ひとりで(彼も美代子に屈服させられているのだが)だれもがいいなりになってしまうのか。被害者の何人かがインタビューに応じているが警察に届けても家族間のことは民事不介入と取り合ってもらえず、かといって大勢で押し掛けてくる美代子達には対抗できず、それこそ金を払うしかないと言いなりになり、家族の虐待や手伝わされた窃盗をネタにさらに脅かされて行った。もうひとつ気持ち悪いのが逮捕された若い世代が親兄弟を死に到らしめているのにあまり後悔や反省の様子が見えず、ただ美代子の支配からは逃げたがっている所だ。
美代子の戸籍上の息子優太郎は内縁の夫鄭頼太郎と戸籍上の妹三枝子の実子で優太郎の妻瑠衣とともに瑠衣の姉茉莉子への殺人、監禁容疑がかかっている。茉莉子と瑠衣はその母初代に対する傷害致死容疑がかかったが不起訴となった。優太郎は美代子の逮捕直後バーを開店し店には主なき角田ファミリーが集まった。このバーで優太郎は自分もパクられるが死体遺棄だけなのですぐに出て来れると言う様な発言をしている。また逮捕後の瑠衣は調書の中で「お母さんにはいい方向に変わって欲しいと思うし、もう変われないのなら、私はお母さんから離れて自立しようと思います」と美代子に決別している。この若い夫婦が子供と4人で写った写真では幸せそうな家族として写っている。あぁ気色悪い。
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真相、というには外側からだなぁという印象。
書き手の調査の過程や、一筋縄ではいかない人間関係は垣間見えるのだけれども、あまりにも事件は遠くにある気がする。
警察が後手に回ったことは事実なのだが、じゃあなぜそれが起きたのか、警察に対しての調査はできないもんなんだろうか。できなかったんだろうなぁ。
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事件の顛末をある程度理解していないと、この本だけではあまりにも多い登場人物と事件の経緯を追うだけで終わってしまう。角田美代子や被害者を知る関係者のインタビューがほぼ会話文のまま掲載されているので、事実関係を追うのに苦労するが、その分臨場感はある。自分は一切手を下すことなく家族をバラバラに崩壊させ、痛めつけさせる角田美代子の「家族」への執着。最後まで血を分けた家族に恵まれなかった美代子のこの悲惨な事件への原動力がタイトルに集約されている気がする。
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こんなことが本当に世の中に起こっていたんだ…と思うと恐ろしい。
登場人物が多いうえに、関係が複雑で何が何やらです。