紙の本
青山七恵デビュー作 『窓の灯』
2010/03/17 13:53
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハジメマシテの作家さん。「こういう作品は感想を書くのが難しい。」というレビューを目にして、気になって読んでみた。
2005年デビューの著者は1983年生まれ。なんと、年下ではないかっ!!!と、そんなどうでもいいところにまず衝撃を受けた。
読んでみて…先のレビューをされた方の仰ることがわかった。確かに感想を書くのが難しい。
大学を中退して(知り合いの)姉さんが経営する喫茶店に住み込みで働く主人公の女性。彼女の閉鎖的な日常は、日課となった向かいのアパートの窓覗きで広がっていく…
のか?
うーん、なんというか…よく飲み込めなかった。
平易で淡々とした文章展開。見たままを綴る余計な感情のない文章。難しいことなどひとつもないはずなのに、何を書こうとしているのか、わからない。
「わからない」ということは決して劣っているとか、嫌いであると同義語ではない。単に、わからない、ただそれだけだ。だから嫌いでもないし好きでもない。よって感想を書くのが非常に難しい。
ある作品を読んで「わからない」状態に陥った場合の選択肢は二つだ。ひとつは、他の作品を読んでみる。もうひとつは、他の作品はもう読まないでおく。
今回の場合、非常に迷うところだけれど、たぶんもうわたしはもう読まないだろうなぁ。だって、主人公の女性がどうも好きになれなかったのだもの。最終的に落ち着くところはやはり、「好みの問題」なのである。
『窓の灯』収録作品
・窓の灯(※第四十二回文藝賞受賞作・デビュー作)
・ムラサキさんのパリ
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ミカド姉さんの営む喫茶店で働く『まりも』ある日隣に越してきた若い男の窓を偶然に覗いたことをきっかけに覗き見が楽しみになっている。憧れの姉さんとその男達の中で、それとは一線を画した男性の出現をきっかけに微妙に変化する姉さんとの関係に戸惑い動揺する感情。他人の窓から覗き見たそれぞれの人生のかけら達がしんみりとそして爽やかに吹き抜ける風のように伝わる。第42回文藝賞受賞作。
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切ないような、もどかしいような。
少しの希望が見えつつも、むなしさも残る。
でもどこか爽やか。
ものすごい悩みに悩んだ後で「なーんだ、みんな一緒じゃん!」と気づいたときのような読後感。
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2010/10/13
夏の蒸し暑さと、窓の白々とした光。
小説の中の熱気がとてもリアルだった。
でもストーリーはちょっとわかりにくい。
ミカド姉さんの魅力が伝わってこなかった。
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どこにも居場所がない、気がする辛さ。
漂うように生きる姉さんの不思議さ。だからこその魅力。
人を傷つけるような言葉をぶつけたのに、傷ついてるのは自分で。
だけど、窓の外から見たら、「なーんだ」って小さく笑える。
人はまた笑えるようになるんだなぁ。
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日経新聞夕刊のエッセイが好きで、ぜひ小説も読んでみたいと
思って手にとったのですが・・・途中で読むのをやめてしまいました。
そんなことは久しぶりです。
表題作はなんとか読み終えましたが、書き下ろしの方は最後まで
読めませんでした。芥川賞や文藝賞という言葉にも期待を持って
しまったせいかもしれません。
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癖のない文体、でも描写とかは上手だと思う。だけどまぁそれだけといえばそれだけの小説…。いや、お上品なのかも。個人的にはもうちょっとアグレッシヴなもののほうが好きだなぁ。
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周りの人との適切な距離の取り方について考えさせられた。
あえて近づかない、深入りしない関係を基準に
それをスマートとする感覚と、もっと近づきたい、
相手を知りたいと思う本能的な感覚。
このバランスをうまく取るのは難しい。
深夜の街を歩き回り、姉に対して押さえていた気持ちを
駄々っ子のように突然爆発させる主人公に不思議と嫌悪感は
感じなかった。
実際に暗い部屋から覗かれ観察されていたら不快そのものだけど。
癖のない透明感のある文章をいいなと思った。
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青山七恵さんのデビュー作。読むのは3冊目。
「窓の灯」と「ムラサキさんのパリ」の2編。「窓の灯」は『ひとり日和』や『やさしいため息』などにも見られたような、人と関わる中で起こる違和感を静かに抱える女性の一人称で語られる。
3冊読んできて今回思ったことは、青山さんの小説はとても静かであるということ。感覚的にだが、がちゃがちゃしたところがない。青山さんの小説は読む時にとても加速がかかってしまうのだが、あまり要らないことが書いてないからではないかなと思った。五感を通して入ってくるもので、選りすぐりのものだけが残されている。そんな印象だ。
まりもがミカド姉さんに対して大きく感情が振れるところは、説明がないようで実はふだんのまりもの視線の描写とか、そういうところに現われているのかもしれない。どういう風に感情が振れるかなんて、本当は上手く説明できないんではないのだろうかと、これを読んで思う。まりもにとってあの窓はなんなのか、と読んだ後もふらふらと考えてしまう。
「ムラサキさんのパリ」はムラサキさんがダッシュで出ていくところが何か好きだ。
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淡々と主人公を中心とした生活のタイムラインの中に人間模様が綴られている。淡白そーだけど嫌いじゃないなこの作風。
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短編二編で合計150頁、凄い手軽に読める文庫。
そんな非日常な話ではないから自分の近くで起きているとも感じられるし、主人公の世界の見方を参考に自分も少し周りの見方を変えてみようかなって思わせてくれる物語。
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自分と現実世界との隔たりは、自分次第でどうにでも違って見えるんだなーと。
実際の距離は変わらないのに、近づいたと思って一喜。変化してないと気づいて一憂。
変わらないことを自分が勝手に歪めながら、生きているのか、私たち。
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特にこれといったことが起こるわけでもなく
淡々と語られていく感じ。
タイトルと話がいまいちつながらなかった。。
筑波大卒らしいですね。
↑私の中では未だに図情大だけれども。。
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青山七恵が読みたくなって図書館で借りてきた。
初青山七恵だったけど、初めてと思えないくらいすんなり馴染んで読めた。
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まりもの感情、文全体の雰囲気が、とにかく生々しい。
自分が関わらない世界で、想像もつかないほどたくさんの人が生きていて、それを覗いてみたいと思うまりもの気持ちは私には新鮮。
姉さんに抱いていた感情を、世間一般的に表す言葉があるのかわからないけれど、自分がどう頑張っても、どんなに足掻いても、変えられない世界や変えられない人たちがいて、孤独になる気持ちはわかる気がした。
大切なものが自分の元から離れて行ってしまう不安とか、誰かに奪われる恐怖とか、誰もが抱く感情を、わざと遠回しに描いているような印象。
まりもがいろんな生活を窓を通して覗き見るシーンは特に印象的だった。