紙の本
心許ない夜に寄り添う一冊
2018/11/20 00:26
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学を辞めて「姉さん」の喫茶店で働く「私」の話。男に囲まれる美人な姉さんへの、羨むような妬むような、それでも心が惹かれるような私の目線のリアルな心象風景が良い。自分を持て余して、他人の生活を窓越しに観察する私の頼りない心の在り様と夜の散歩道が何とも。
電子書籍
覗き込む日常
2018/05/09 18:52
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
喫茶店で住み込みで働く女の子の、覗きに没頭していく姿が奇妙な味わいでした。不思議なムードを感じることができる店内と、意外性の溢れるストーリーが良かったです。
紙の本
ここではないどこかで。
2018/01/23 10:43
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投稿者:kaoriction - この投稿者のレビュー一覧を見る
第42回文藝賞受賞作であり、青山七恵 デビュー作。
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大学を辞め、「ミカド姉さん」というほとんど素性も知らぬ女性の喫茶店で働きながらお店の上の部屋で生活する私「まりも」。向かいの部屋の窓の中を覗くことが日課のまりも。やがて向かいの窓だけではなく夜の街をへ出て違う たくさんの窓を覗くようになる。
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小さな世界の話だけれど、宇宙的というか。
夜の闇、窓の灯、ミカド姉さんと男達、窓の向こうを「生きる」人たち。気怠く、湿った空気間なのに、妙にサラリと吹き抜ける感覚。筆致のせいだろうか。
壁の向こう、窓の向こうの男と女の声に姿。
「なんでもない生活を、私なしでも息をして淡々と暮らしている人々を見てまわった」。
自分とは違う空気、場所、窓の向こう側で生きる人たちを感じ、見ながら、生きていることを 実感する まりも。
ここではないどこかで。
ここではないどこかで生きる人、自分。
アイデンティティの模索、なのかな。
22歳のデビュー作…表現の妙が光る。
やはり『風』より、こういった青山七恵の原点的な作品が私は好きだ。
併録『ムラサキさんのパリ』も好き。流れるテーマは同じように思う。ここではないどこかで。
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「つらくなると、パリの街並みのことを考えるの。エッフェル塔とか、エッフェル塔の上から見える凱旋門とかね。あとなんとかの森とか」
「とにかく、自分からすっごおく遠く離れたところにそういうきれいな場所があって、つらくなってる自分とは無関係に今日もきれいなんだ、って考える」
「別にどうもしないけど気はまぎれるわね。ついでにね、自分はパリ生まれのフランス人だって思うの」。
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ここではないどこかにも 私の生きてゆく、生きてゆける場所はある。。。
ここではない どこか で。
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ミカド姉さんの営む喫茶店で働く『まりも』ある日隣に越してきた若い男の窓を偶然に覗いたことをきっかけに覗き見が楽しみになっている。憧れの姉さんとその男達の中で、それとは一線を画した男性の出現をきっかけに微妙に変化する姉さんとの関係に戸惑い動揺する感情。他人の窓から覗き見たそれぞれの人生のかけら達がしんみりとそして爽やかに吹き抜ける風のように伝わる。第42回文藝賞受賞作。
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切ないような、もどかしいような。
少しの希望が見えつつも、むなしさも残る。
でもどこか爽やか。
ものすごい悩みに悩んだ後で「なーんだ、みんな一緒じゃん!」と気づいたときのような読後感。
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2010/10/13
夏の蒸し暑さと、窓の白々とした光。
小説の中の熱気がとてもリアルだった。
でもストーリーはちょっとわかりにくい。
ミカド姉さんの魅力が伝わってこなかった。
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どこにも居場所がない、気がする辛さ。
漂うように生きる姉さんの不思議さ。だからこその魅力。
人を傷つけるような言葉をぶつけたのに、傷ついてるのは自分で。
だけど、窓の外から見たら、「なーんだ」って小さく笑える。
人はまた笑えるようになるんだなぁ。
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日経新聞夕刊のエッセイが好きで、ぜひ小説も読んでみたいと
思って手にとったのですが・・・途中で読むのをやめてしまいました。
そんなことは久しぶりです。
表題作はなんとか読み終えましたが、書き下ろしの方は最後まで
読めませんでした。芥川賞や文藝賞という言葉にも期待を持って
しまったせいかもしれません。
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癖のない文体、でも描写とかは上手だと思う。だけどまぁそれだけといえばそれだけの小説…。いや、お上品なのかも。個人的にはもうちょっとアグレッシヴなもののほうが好きだなぁ。
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周りの人との適切な距離の取り方について考えさせられた。
あえて近づかない、深入りしない関係を基準に
それをスマートとする感覚と、もっと近づきたい、
相手を知りたいと思う本能的な感覚。
このバランスをうまく取るのは難しい。
深夜の街を歩き回り、姉に対して押さえていた気持ちを
駄々っ子のように突然爆発させる主人公に不思議と嫌悪感は
感じなかった。
実際に暗い部屋から覗かれ観察されていたら不快そのものだけど。
癖のない透明感のある文章をいいなと思った。
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青山七恵さんのデビュー作。読むのは3冊目。
「窓の灯」と「ムラサキさんのパリ」の2編。「窓の灯」は『ひとり日和』や『やさしいため息』などにも見られたような、人と関わる中で起こる違和感を静かに抱える女性の一人称で語られる。
3冊読んできて今回思ったことは、青山さんの小説はとても静かであるということ。感覚的にだが、がちゃがちゃしたところがない。青山さんの小説は読む時にとても加速がかかってしまうのだが、あまり要らないことが書いてないからではないかなと思った。五感を通して入ってくるもので、選りすぐりのものだけが残されている。そんな印象だ。
まりもがミカド姉さんに対して大きく感情が振れるところは、説明がないようで実はふだんのまりもの視線の描写とか、そういうところに現われているのかもしれない。どういう風に感情が振れるかなんて、本当は上手く説明できないんではないのだろうかと、これを読んで思う。まりもにとってあの窓はなんなのか、と読んだ後もふらふらと考えてしまう。
「ムラサキさんのパリ」はムラサキさんがダッシュで出ていくところが何か好きだ。
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淡々と主人公を中心とした生活のタイムラインの中に人間模様が綴られている。淡白そーだけど嫌いじゃないなこの作風。
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短編二編で合計150頁、凄い手軽に読める文庫。
そんな非日常な話ではないから自分の近くで起きているとも感じられるし、主人公の世界の見方を参考に自分も少し周りの見方を変えてみようかなって思わせてくれる物語。
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自分と現実世界との隔たりは、自分次第でどうにでも違って見えるんだなーと。
実際の距離は変わらないのに、近づいたと思って一喜。変化してないと気づいて一憂。
変わらないことを自分が勝手に歪めながら、生きているのか、私たち。
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特にこれといったことが起こるわけでもなく
淡々と語られていく感じ。
タイトルと話がいまいちつながらなかった。。
筑波大卒らしいですね。
↑私の中では未だに図情大だけれども。。