紙の本
苦手なのに…想像以上に読みやすかった「館もの」
2010/01/12 15:19
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わたしは館ものが基本的に苦手だ。図面を見てもよく分からないし、謎解きが大好き☆っていうわけでもない。だからついつい敬遠してしまいがち。だけど…あまりにも楽しそうにレビューを綴られる方がいるから…誘惑に負けてしまった。
が!
読んでみたらこれが、
読みやすい!!
まぁ、得意(?)の流し斜め読みをしたから、というのもあるかもしれないが…。今まで読んだ本格や新本格と呼ばれるジャンルの中ではダントツに読みやすかったのだ。
仮面の当主と孤独な美少女夫妻が住む水車館。そこで一年に一度だけ開かれる集い。その目的は、当主の父が遺した絵画の開示。しかしその会に参加できるのはごく限られたメンバーのみ。ところが一年前、その会の夜に参加者の一人が殺され、一人が行方不明になった。行方不明になった者が犯人とみられるが、未だ警察は犯人逮捕に至っていない。
そして今年も例年通り、ご開帳が開かれる。しかし今年は飛び入り参加の島田潔という若者が一名。彼が昨年行方不明となった犯人とおぼしき人物の友人で、友の無実を証明すべく水車館にやってきたのだ。何事もなく進む集い。しかし今年も参加者が殺され…。犯人は?! 方法は?! その謎に島田潔が立ち向かう。
謎解きに拘らないとは言っても、あらすじを書くだけでどきどきしちゃうような正統派のミステリだ。謎も気になるけれど、水車館という舞台設定がもう妖しさ満点。さらに、島田潔という主人公がなかなか自己中で一風変わっていて(貶しているのではない、むしろ誉めているつもり)、物語を楽しむのに大きく寄与している。
本作にはこういった楽しい要素がたくさん詰まっているので、斜め読みでも雰囲気で十二分に楽しむことができたのだろう。
また構成も風変わっていて、一章ごとに「現在」と「過去」が入れかわるスタイルをとっている。この構成のせいでストーリーが掴めそうで掴めず、最後までスリリングな気分が味わえる。そしてこの構成はもちろん、トリック(隠し)の伏線でもある。
トリックに関してはだいたい予想通りだったので大きな驚きはなかったが、わたしは元々謎解きには拘らないなんちゃってミステリファンなので、全く気にはならなかった。むしろ、作品が醸し出す雰囲気で楽しめたことがとても嬉しい。
ずっと苦手だと思っていた館もの。もしかして楽しいかも?! でもきっと、内容と作家にもよるんだろうなぁ…と、疑心暗鬼になりながらもわたしはきっと、また館ものに手を出すのだろうなぁ。
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投稿者:坦々麺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去の自動車事故の為車いすに乗り、傷を隠すために仮面を被る。これだけでミステリーなのだが、山に囲まれて三連の水車が回る古城のような屋敷が舞台。執事と使用人と招待客。推理小説以外何物でもない。このような舞台設定をし、読者を満足させる綾辻氏の力量に感服。綾辻氏得意の時間差攻撃に打ちのめされ、気がつけば読了。
紙の本
館の中だけのミステリー
2023/04/09 13:08
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投稿者:わかめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去と現在を交互に進めていくことで、事件の全体像がわかっていく。絵画とかからくりとか出てきて、ミステリーとしては、よくある結末だった。
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綾辻作品の中で
2023/02/16 16:53
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
唯一犯人を当てれたのがこの作品でした。
犯人当てに関しては普段ミステリーを読んでいれば結構当てれると思います。
ただ館シリーズですからね。
館の秘密は全然わかりませんでした。
なんというか、、
気持ちよく負けた気分です!
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館シリーズの改訂版です。
全作通じて、ある建築家が建てた館での殺人ミステリです。(中には違うのもありましたが)
間取図とかもきっちりあって、読みながら色々想像できて楽しいです。
特に間取図とか見るのが好きなので、余計かも。
全作持ってるんですが・・・改訂版を買うかどうか悩み中。
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館シリーズ第二段♪
途中からもしや白い仮面の下は・・・って分かっちゃったけどやっぱり面白かった★
指切断とか痛い!!!!
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館シリーズ
藤沼一成の絵を所有する息子・紀一の元に集まる人々。1年前に年に一度の絵画の観賞会で起きた事件。嵐の中館の塔から転落死した住み込みの家政婦・根岸文江。消えた招待客・古川恒仁。盗まれた絵画。紀一の友人・正木伸吾のバラバラ遺体。焼却炉で焼かれた遺体。切断された指。3年前に起きた交通事故で恋人を失い、絵も捨てた正木。1年後水車館を訪れた島田潔。紀一の妻・由里絵。紀一の転倒を助けた三田村。由里絵の部屋を訪れた三田村の死。家政婦・野沢朋子の死。一成の残した幻の絵画・幻影群像の行方。
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館シリーズ第2作目。
前作が面白かったので、読んでみた。
ややトリックが読めてしまう気がしたが、最後の部分を読んで、ただ推理小説を書いているだけではないのだと感じた。
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基本的に新書等を多読(3冊くらいを少しづつ同時に読む)するので、推理小説は久々だった。三色で引きながらじっくり読んだ。
この独特の、『現在』と『過去』が交互に語られる文章には最初 混乱したが、慣れると、この焦らされてる感がたまらんかった。
いわゆる「消失」については予想がついたが、真犯人は予想外だった。しかし近年は、コナンや金田一のおかげ(せい?)で、こういう感じの話がありそうだし、驚きもイマイチだったかも。
しかし、館シリーズの第2作として前作のある人物が再び登場したり、楽しめる要素が盛り沢山で、ワクワクしながら読めた。
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十角館に比べると・・・私はあっさりして物足りない感じでした。
でも作品から感じる雰囲気はこっちのほうが好きです。
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仮面の当主と彼の若き妻である美少女が住む、水車館。
そこで1年前に起きた、恐ろしい事件。
事件の当事者たちが1年ぶりに集い、また嵐の夜がやってくる…。
事件は、建築家、中村青司の建てた水車館にて起きる。
水車のある館、というだけでも、古めかしいというのに、プラス仮面をつけた車椅子の主、プラスその妻である美少女、プラス執事。
と、ちょいと現代離れした設定が並ぶ。
でも、けして内容は古めかしくなく、すっと入ってくる。
『十角館』は孤島と本土、ふたつの“場所”を舞台に物語が交錯していましたが、今回は過去と現在が入り混じってお話が進む。
『十角館』に比べると、最後にドーン!とびっくりさせるタイプの謎ではなく、ゆるやかに、じわりとたどりつくミステリ。
謎の一部については、少し構えて読んでしまったためか、物語の最初の方で感づいてしまった。
ちゃんと伏線を散りばめてくれているおかげでしょう。
全部の謎は私には解けなかったけれど、謎解きに挑んでみるのも良いかもしれない。
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館シリーズ弟二弾成。
トリックや犯人がだいたい序盤からよめていた。
というのは、死んだと思われていたけれど生きている、ていう観念が前作で
どっか出来上がってて(衝撃やったし)
古川は正木の身代わりだとすぐわかる。自動的に犯人は正木だと判る。
推理小説は、ひとつでも度肝をぬかれる「おお!」と思うところがあれば
それだけで素晴らしい。
今回犯人が判り、すべからず由里絵の共犯も判ってしまったが、おお!と思ったことがある。
それは、藤沼が正木だったこと。
これは盲点!!ひい!と声が出た(笑)
由里絵が書斎かどっかに匿ってると思ってましたね〜
ラストのシーンは少し鳥肌たつ。幻想的。
ラストはほんとに前作以上に好きでした。
最後に由里絵。
彼女は興味深い。
屋敷に閉じ込められ、正木に恋し、肉体関係を結び、共謀して藤沼を殺す。
可憐な美少女。二十歳。
正木の猫目石の指輪はどこにいったのだろうか。
隠した?捨てた?川へ放った?
わたしは彼がそれを大切に保管している。
もしくは、手袋の下、なくした薬指の代わりの詰め物に、嵌めているかもと思いました。
そして、由里絵はそれを見た。
知っている。
由里絵がなぜ三田村を部屋へ招きいれたのか・・・
わたしはこの少女の中に渦巻く多種多様な女の複雑面を垣間見て想像し、
面白く思いました。
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館シリーズの2作目。
前作に惹かれて、たまたま図書館にあったので借りてみた。
章構成が現在と過去を交互にって形で、慣れないと出来事が混同しちゃう(汗)
でも、こんな書き方もあるかぁ…てまた新鮮な感じで面白かった。
事件自体は半分読めた。あと半分は自分の力量不足。前作と似通ってるとこはあるけど、綾辻さんは魅せる作家さんだと、今のところ、そう思ってます。
「今年こそは例の絵を見てみたいものだね」
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この作品のテーマは?
重厚な古き良き内容を、新しい時代に置き換えまし
たが、なんでこの作品を書いたのか考えてしまった
この空気を現代に持ち込んだ綾辻さん・・・偉い!
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「十角館」に続いて改訂版が発売との報を聞いて、急ぎ本屋に走った。館シリーズは改訂版の発売を待ちながらゆっくりと読んでいこうと考えている。
さて。
今作は、実に古めかしい要素に溢れている。
『奇妙な屋敷』『仮面の主人』『幽閉された美少女』『嵐による外界との断絶』などなど・・・何とそれっぽい舞台設定だろうか!!(笑)
その実、非常に練りこまれた構成になっていて、一切の破綻は見られない。
仰々しい舞台設定に過剰さを感じさせず「読ませてくれる」ミステリである。牽引力がある。
唯一。
丁寧なロジックの弊害なのかも知れないが、メイントリックの難易度がやや低め。なんとなーくではあるが、想像は付く。
そんなこんなで3点位にしようかと思ったのだが、
有栖川有栖の格調高いあとがき(思わず唸らされた)を読んでしまうと・・・
悔しいが、4点はあげねばあるまい。