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しをんさん、こんな暗くてやるせない、そして人間の負の部分にスポットをあてた小説を書くのですね。ちょっと読み疲れました。そして、東野けいごの百夜行に似たものを感じました。
暴力に暴力で返したものは、もう人間の世界にはいられないのかもしれない。ただ、人間のふりをするのがすごく難しい。ご飯を食べたり、だれかとしゃべったり、幸せを求めようとしたり。P240
罪の有無や言動の善悪に関係なく、暴力は必ず降りかかる。それに対抗する手段は暴力しかない。あの嶋あで起こったことを、裁けるものならだれかに裁いてほしかった。黙っていれば嵐が過ぎ、家族が生き返り、美花が無傷で微笑むのなら、いくらでもそうした。罪を生じさせるのは、常に人間の意識だ。罪などどこにもない。あるのは理不尽と暴力だけだ。P266
暴力はやってくるのではなく、帰ってくるのだ。
⇒暴力は報復ではなく、自分の中から生み出されるもの的なことが解説にかいてあった。たぶんそういうことなのだろうけど、このままその本当の意味を知らずに人生を送りたい。。
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2014/01/19
この作品をどう解釈すればいいのだろう。
震災前にこれをすでに書いてたというのがまたびっくりなのだけれど、この作品において、津波がメインテーマではない。
それをきっかけにしたいくつかの暴力が他人事のようでいて、実は自分の中にも潜んでいるのではないかとも思える。
暴力の連鎖が悲しくて重くて、とても辛かった。
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http://takotakora.at.webry.info/201402/article_6.html
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あ~読み終えるのに苦労しました…暗い…暗すぎる…怖すぎる…
そして暴力について考えさせられます。
磐音さまが人を斬り殺していくのと、この光の主人公信之が犯す殺人と、どこに違いがあるんだろう…
しをんさんの冷徹な目を感じ、でも目を背けられない何か、生きる上での業のようなものを思います。
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感動を超えてぶっ飛んだ!これがあの「舟〜」や「まほろ〜」と同じ作家が書いたものなのか…それほどまでに衝撃的に硬筆な筆致で描かれる物語。3.11は偶然であったのだろう、だがこのしをんさんが投げ掛けた闇は私たちの何気ない日常に必然とばかりにぐいぐいと力づくで怒りと不安をねじ込んでくる。守るべきものとは何なのか、正義とは何なのか、そして愛とは、夫婦とは、究極は人とは何なのか。それらを消し去るために撃ち降ろされるシャベルの鈍い光は罪を犯す者と神の如くすべてを見通していた者の両者が血飛沫の彼方に見る光なのである…故にに震えた、震えが止まらなかった。まだ今年の読み始めながらベストに入ることは間違いないだろう
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容赦がない。救いがない。ないんだけど、何かを奪われ、何かをあきらめることに、向き合う強さを持ちたいと思った。
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暴力をテーマにしたおはなし。光という題名だけど、救われるような要素はあまりない。たんたんと暴力を描いている。暴力は「返ってくる」ではなく、「帰ってくる」という表現しているところが興味深い。誰でも内に秘めていて、あるきっかけで簡単に出てしまうものなのだ。
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3.11東日本大震災、2013年台風による伊豆大島の土砂崩れの映像が頭を駆け巡る。それ以前に書かれている現実が怖くなるくらいにリアルに感じられる。しをんさん、先取りが半端ないです。
3.11以降に書くには厳しい内容だろうから、私はこの作品に出会えたことを感謝したい。暗いけど、救いがない話ではない。
自然の暴力と人間の暴力。光を求める程に闇が影を落としていく。求める心があるだけでは、命の讃歌ではないのだろうな、と考えた。生きるのは大変だ。
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この人は作品によって作風が本当にまったく違う、すごいなって思う。
村を飲み込む大津波で生き残った子供3人、彼らには人に言えない秘密の事件に関わっているという共通項があって、その彼らが大人になると...っていう話。
3.11の前に書かれた作品なんだね、でも後にノンフィクションでこんな作品は書けないと思うからそれは納得なんだけど... 暗いよ、すごく暗い、でも誰もが持ってる人としてのズルい部分とかが自分でコントロールできなくて大きくなるとこういう風になっちゃうものなのかなって、それも理解できるから苦しいし、反省する。
誰が悪いのかなにが悪いのかわからないけど、人は弱そうに見えて強い生き物なんだ。って思わされる。
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「舟を編む」を書く前の作品だそうです。同じ人が書いてるとは思えない重くて暗い話。ちょっと東野圭吾風、っていうか「幻夜」に似てたかも。ちょうど津波のところを読んでるときに本当にチリで地震があって津波注意報が出て寒気が...
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とにかく救いがない。
大きな災害に合ったとはいえ、ここまで屈折させた経過がわからない。
それぞれがそれぞれの思い込みの中に自分をおいて生活を続けることが、波風を立てることなく行き続けていける。
と言う話。
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しをんさんの書く世界は、どこまでも美しく限りなく残酷である。
予期せぬ大災害で全てを失った信之たち。彼らがその日本当に失ったのはなんだったんだろう。
かなりダークな内容にもかかわらず、読後感が悪くないのはさすが。自然の脅威の前では人は皆等しく無力である。彼らの中で芽生えた暴力は、それぞれに形を変えながら少しずつ成長していく。けれど、アタシが本書の中で1番怖いと感じたのは,災害でも暴力でもなく南海子だ。1番まともそうで、1番狂ってる。彼女のこの先の人生を見てみたい。
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暴力、あらゆる種類を織り込め、それはあらゆる形を持って、自分の中にある、津波や人を殺すという強烈な暴力は作品として象徴でしかなく、同じものを人は持って、飼いならし生きるということなんだと読みとった。
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重かった。物語はいろんな人の視点で描かれているけど、美花の視点からのはなかったね。書くと余計な話になっちゃうかな。
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読み終えて一週間レビューを書くのを放っておいた。正しくは、自分の感想がよくわからなかったし、今もわからない。三浦しをんに対して持っていたイメージと違った作品で、後味が悪く、暗い。ただし、そのザラつき感が変にサラサラと読ませる本だった。平凡そうに見えた信之少年の感情が途端に見えなくなって、そんなところも怖い静けさ。