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三屋清左衛門残日録(文春文庫)
著作者:藤沢周平
発行者:文藝春秋
タイムライン
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これぞ理想の隠居生活でのんびり読みたい日記風小説。
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藩の勢力争いを背景に15の短編連作で主人公三谷清左衛門の目で見た人間模様が描かれている。
が、へそ曲がった見方をすると何とも羨ましい男の引退劇なのだ。
藩主からは格別の行為を受けて隠居場所を得る。
かつての剣の腕は隠居によってできた時間を使って道場通いを続けるうちに蘇る。
暇だらけだと思っていた隠居生活は、かつての藩の切れ者用人を頼ってくる現役の人々によって少なからず自尊心をくすぐられ、引いてもなお藩の役に立つ満足感を得る。
なおかつ女性にもモテるのだから。
歳老いた寂しさをそこに秘めているとは言え、かなり贅沢な境遇ですぞ。
しかしなんといっても藤沢さんの文章は良いなあ。
こういう文章が私に書けたなら、なんと幸福な事だろう。
流れる主題の合間に四季の匂い、自然の香り、人の心を差し挟む。
むしろ作品のテーマ以上にそちらを味わいたいという気になるほど。
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隠居とは悠々自適のイメージがあるが、それまでの暮らしと習慣のすべてを変えること、忙しいとこぼしているうちが花。全く同感です(^-^) 又四郎に家を譲って隠居した52歳の清左衛門の物語。「三屋清左衛門残日録」、1992.9発行、全437頁、連作15話。清左衛門は、朝の散歩、無外流の道場、保科塾の勉学の日々。ウォーキング、空手・筋トレ、読書の私によく似ていますw。でも清左衛門は52歳、私は72歳です(^-^)又四郎の妻、里江と小料理屋「涌井」のおかみ、みさがいい味を出しています。白い顔、川の音、梅咲くころ。
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著者 藤沢周平さんが、いかに素晴らしい作家であったかは十分に知っているつもりでありましたが。
この作品、つい最近の月刊誌「サライ」で知り、読んでみました。
前藩主時代に、家禄百二十石からはじまり、そのまじめで真摯な仕事ぶりと、口が固く決して裏切らない人となりが信頼され江戸屋敷用人となるまで出世した「三屋清左衛門」
藩主の交代も無事に終わり、仕事も後輩に引き継ぎ、嫡男に家を譲り自分は隠居と。
大きな信頼感は今の藩主も特別に持ってくれたようで、破格の待遇で無事に隠居生活に。
清左衛門はあれほどなりたかった隠居生活に実際になってみると虚しさと張り合いを無くしていた。
まずは体を動かそうと、昔通った道場に通い始め、勉学も再開する。
少し元気がないのを心配した息子の嫁、里江が声をかけ、目をかけてくれる。
そして残日録(日記)を書くことにした。
まだ前髪があった頃からの同輩との再会。
今でも交流があり現役の友人。
いつのまにか、身分に開きができて、会わなくなってしまった知人。
昔の苦い思い出。
現役を退いた身分だからこそと、依頼される仕事や用事で日々がすぎてゆくのだが、石のように現役当時から一切変わらない価値観、倫理観で清左衛門は数々の難問にも果敢に対処するという話。
最近読んだ時代小説の名作も、もしかしたらこれが根っこに存在したのではないか?と。
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仕事を辞めたときに読むといいですよって言われて、いただいた本。辞して隠居になって、少しの物寂しさを感じていたけれど、意外に忙しく人を助けてゆく話、でした。自身の老いとの向き合い方を教えられたような気がする。
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藩の要職を退き、隠居した主人公の周りに起こる出来事を描いた連作集。
隠居したことにより、枯れていく日々だった様子が、各話ごとに変化してくい様子がとてもよい。
明るく活き活きとした感じに引っ張られ、テンポよく読み進められる。
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隠居した主人公のもとへと、色々な事件が持ち込まれる。
暇を持て余してうろうろしている最初から
やりがいのある事を見つけたりしている最後まで。
色々な事件を調査させられています。
ここまで、なものが多々なので、それから先
どうなったのかは想像するしかないですが
するっとした終わりになっていました。
しかし、事件持ち込まれすぎです(笑)
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藤沢周平の連作時代小説『三屋清左衛門残日録』を読みました。
ここのところ、時代小説が続いています… 藤沢周平の作品は昨年2月に読んだ『闇の歯車』以来ですね。
-----story-------------
日残りて昏るるに未だ遠し――家督をゆずり、離れで隠棲の日をおくる清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。
世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨。
しかし藩の執政府は紛糾の渦中にあった。老いゆく日々の命の輝きを、いぶし銀にも似た見事な筆で描く傑作長篇小説。
仲代達矢、北大路欣也主演による映像化も話題に。
解説:丸本淑生
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『別册文藝春秋』の1985年(昭和60年)夏季号から1989年(昭和64年)新春号に連載された作品です。
■醜女
■高札場
■零落
■白い顔
■梅雨ぐもり
■川の音
■平八の汗
■梅咲く頃
■ならず者
■草いきれ
■霧の夜
■夢
■立会人
■闇の談合
■早春の光
■解説 丸本淑生
藩主の用人にまで昇進した後、家督を譲って隠居した三屋清左衛門は、思いがけず寂しさを感じた… しかしその日記にしるされる生活は、退屈でも平穏でもない、、、
自由な身ならでは、清左衛門はさまざまな相談をもちかけられる… 先代の殿が一度だけお手つきにした女の縁結び、お城の前で切腹した男の動機しらべなどに尽力するうち、藩のなまぐさい派閥争いに巻き込まれ、夫の浮気を訴えるわが娘をなだめ…… 。
老いゆく日々のかがやきを、見事な筆で描く傑作長篇小説!
北大路欣也主演によるドラマを4作ほど観たことがあったので、ドラマのキャストを頭の中に描きながら読みました、、、
連作短篇の形式がとられているので1話ずつでも愉しめるのですが… それぞれのエピソードが繋がって、ひとつの物語となっているので、どちらかと言うと長篇作品を読んだ感じですね。
扱っているテーマも現代社会や会社勤めに通じるものがあり、共感できる部分が多かったですね、、、
藩主の用人にまで昇進した後、家督をゆずり隠居した清左衛門は、それなりの人格者として描かれているものの、決して完璧な人物ではなく、藩内で発生する面倒の相談事を持ちかけられたり、派閥争いに巻き込まれたりする中で、過去の自分の行いを悔いて見直したり、新たな経験からの気付きがあったりして、少しずつ気持ちが変化していく展開… 微変化が感じられることにも共感しました。
そして、もう少し齢をとってからは、こんな生き方ができたらなー と憧れを感じながら読みました… 年老いてからも成長し続けたいものです。
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隠居した元用人。老を自覚したからこそ始まる新たな人生の道筋。中年男性に希望を与える名品。
藤沢周平の持つ不思議な魅力、情緒ある風景描写から、ふとしたしぐさなどにより表現される人情の機微。登場する女性の奥ゆかしさと隠れた色気など。
人生の半ばを過ぎから味わえる感動。
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面白かったー!
藤沢周平の作品からしばらく遠のいていたけど、やっぱり良い。
控えめな隠居した藩の元重役という印象だったのに、これまでの人脈や経験からくる進言からどんどん周囲の人物が動いて物語が進む印象。最後は光を残して後味も良く。
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隠居生活に入った三屋清左衛門。
「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」という意味で、
「残日録」を付けている。
醜女、高札場、零落、白い顔、梅雨ぐもり、川の音、
平八の汗、梅咲く頃、ならず者、草いきれ、霧の夜、立会人、闇の談合、早春の光の15編。
この柔らかい文体に癒された。
何度でも読み返せそう連作短編集。