紙の本
続きが欲しい
2017/08/05 23:02
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
孔子とその弟子・顔回を描いた異色作。本当にこんな切り口で描けるとは凄い。ただ、なんとも中途半端なところで終わっている描写が残念。
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物語の面白さを満喫できる全13巻
2010/03/04 11:12
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投稿者:書子司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
孔子とその弟子・顔回、そして彼らと係わる多くの家族や知古、敵の物語である。なんと、全13巻。でも、語られるのは孔子が宰に取り立てられ、三都毀壊に失敗し、魯の国を出て放浪するまでのわずか数年の顛末を綴ったにすぎないのに、本当に読者を飽きさせない。それも、ジェフリー・ディーヴァーのようにどんでん返しが次々と起こってページを次へ次へと繰らせるような事件がたて続きに起こるようなものではないのに、である。毎日読んでいると、顔回や敵であり同時にもう一人の主人公である子蓉などが、だんだんと親しい人となっていって、自身が陋巷に在るような気になってくる。孔子という偉人と儒教を語るというような堅苦しい話ではなく、儒という古代中国の一種の呪術合戦や、礼とは鬼神とはなどの蘊蓄も語られる、「帝都物語」のように東洋的なサイキック・アクションとしても楽しめるし、古代中国の歴史小説としても面白い、物語として第一級の作品になっている。あとがきに作者が顔回の亡くなる場面を書くために始めた、と述べているが、そこまで書き続けて欲しいと思わせる、読み終わるのが残念な作品であった。
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更なる続編を期待する
2009/10/10 18:40
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投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この13巻で最終巻である。ある巻までは、史料にある「小正卯を誅す」という一句をもとに、これほどの長編を良く創作するものだと感心していたが、そんな単純なものではなかったようだ。超能力者か魔法使いの闘争を描いた、伝奇小説ではあるが、ある種の歴史小説なのである。
史料に断片的に記載された事項から、それらの間の齟齬矛盾にたいする疑問や空白を如何に埋めるか、それぞれの小説家が自分なりに考察し推定した内容が、時代小説なのであろう。この著者も大学で学んだ東洋哲学の史料に対するいくつもの疑問点に対する自己回答として、この小説を書いた、とも言えるようである。小説の内容が、古代中国の呪術による戦いという荒唐無稽なものに見えようとも。
この最終巻では、とうとう敵役の小正卯が倒される。そして、斉国から送り込まれた女楽との媚闘と追放、それにからむ孔子の出魯、の話となる。女楽や出魯についても史料が残されているのであるが、具体的に何があったのかは、曖昧としているらしい。孔子が魯を逐われたのか、自ら出たのかも、はっきりしないらしい。
ともかく、孔子について主人公たる顔回も陋巷を出て流浪の旅に出立する。「陋巷に在り」は終わる。しかし、主要で強烈な敵役の「悪悦」が生き残る。諸国遍歴中の物語がいずれ書かれることを期待する。
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一応、これが最終巻なんですが、終ったという感じがしないんですよね。やっと、一部が終ったみたいな。
顔回さん、まどろっこしいんだけど(笑)、好きですね。夭折してしまった顔回さん。できることなら、そこまでの話を読みたいです。書いてくれないかなあ…。
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全13巻が出揃うまで8年待って、一気に読みました。孔子の弟子顔回を主人公にした伝奇小説。サイキック合戦です。まあ、実際の歴史に即して書いてるかもしれないので、歴史小説?
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『陋巷に在り』の完結巻。
孔子と弟子たちが魯を出るところで終わっています。
ぜひ続編を読みたいものです。
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酒見氏の本はどれもおすすめですが、せっかくなので長編のこれ。
話が逸れがちなのもご愛嬌の古代中国歴史ファンタジー大作ポロリもあるよ!
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孔子の弟子・顔回に焦点を置いた長編歴史ファンタジー?(ジャンルって良く解らない
酒見さんの文は非常に流麗でデコラティブでなくて読みやすい。
ちなみに願回はカッコいい。
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全巻を通しての感想ですが、中盤がちょっとだるかった。孔子の話の方が面白そうなのに、少女と悪女関係の話が長くて……。
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酒見賢一の陋巷に在り 魯の巻を読みました。顔回の物語の最終巻、13巻目です。この巻で物語は一応結末を迎えることになります。楽しんで読んできた顔回の活躍もこれで終わりかと思うとちょっと淋しくなってしまいます。思い返して見れば、この長い物語を通して、顔回、孔子、子容、五六、徴在、祝融、顔穆、?、子路、医睨、太長老と魅力的なキャラクターたちがあるときは融和し、あるときは呪術の限りを尽くして戦うという物語に引き込まれました。陋巷に在りはおすすめの本にサブ項目として収録してはあったのですが、主項目として起こすこととしたいと思います。
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とりあえずまだ顔回も孔子も死なずに最終巻。
孔子の出魯で話が終わります……。
これまでの展開を読んでると、この後史実に記録されている孔子の放浪中の数々の困難の影に、種々の謀略だの呪術だのが施されているのだろうなあ、と考えるに難くない。
いや、きっとそうだと思わずにはいられない。
いやあ、史実の隙間って、面白い。
あえて続編は求めません。その方が妄想たっぷりで楽しいし!
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とうとう全13巻読み終えました。10年ほど前に一度読んだもののその時は筋書きの面白さに惹かれたものの、深く味わうまでに至らなかったなあと今回読み終えてわかった次第です。主人公は顔回子淵という青年ではありましたが、彼が師と仰いだ孔子の半生もこのお話には欠かせない部分でしたので、論語を中心とした孔子の言葉が登場する度、私としても多少は理解できる年齢になっていたのでした。作者が10年という歳月をかけて書いただけに、時々筋書きとは逸れた蘊蓄の部分も多い異色とも言えそうな小説ですが、そのスタイルに嵌ると読むのが惜しい気持ちにさえなります。それだけに既に絶版になっているとはとても残念に思います。「陋巷に在り」の顔回が陋巷にいなくなるのではこの小説は陋巷に在りではないので…と作者らしい理屈を述べて、孔子と魯国を出立するところまででお話は終わってしまいました。嗚呼〜この続き書いてくれないかしら…と切に願う次第です。
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長い長い物語もとうとう完結となりました。
ラストで顔回が妤のところへ走っていって何て言ったんだろう、「私が戻るまで待っていてくれ」とか言ったのかなあ、いやあ顔回のことだからそんなストレートなことは言わないかなあ、とか色々妄想してしまいました(笑)。
あとがきで続編が出るかどうかは判らないと書かれていますが、是非是非出して欲しいなあ。でも現在絶版となっている小説の続編ってのは大人の事情的には難しいんでしょうねえ。
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13巻。結局どれくらいかかったかな。
あとがきのところで著者が指摘していたように、実は論語とか史記とか、記紀や万葉集ってしっかり読んだことなくて、部分部分しか知らなかった。
だから、孔子や顔回、儒や礼といったことを知るきっかけになった。もちろん、この小説だけで決めつけることはできないので、文献読まないといけないけど。
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お盆休みに、何よか最後まで、と思いながら読了。
ふう、間に合った、という読み方なので、ちょっと雑な読み方になっているかも。
少正卯の陰謀で、斉の黎鉏が魯国に女楽団を送る。
媚蠱の力で、魯の君主高官たちが骨抜きになるという事態を収めたのは、孔子と、その傍らで補佐していた顔回だった。
国の存亡の危機を救うためとはいえ、越権行為となる孔子のやり方に、国内から訴追の声が上がるかと思いきや…。
と言ったお話で、孔子の出魯までが描かれるんだけれど、酒見さんも書いているように、この経緯は謎だらけ。
出魯の日、孔子に詩を示され、顔回がはっとして妤に駆け寄るシーンで幕切れとなる。
やっぱりわからんなあ、と思いながらも、教えられるところも多かった。
前巻かもしれないが、車の話、車輪の幅と轍のことも面白かった。
日本の牛車でもそうだけれど、方向転換はどうするんだろうと思っていた。
なんと、車から人が降り、人夫が担ぎ上げて方向転換なのだそうだ。
それに、轍を通って行き来することから、秦の始皇帝医が初めて車輪の幅の統一もしていたとか。
こういう話だけでも、この本を読んでよかったと思えるし、作家の取材力にも敬服する。