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十人十色の140字の物語
2009/11/05 23:03
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の中で一番長いテキストの塊は「まえがき」である。
といっても、そんな「まえがき」も2ページ半だ。
他の本と比べたら短いほうになるだろう。
そんな「まえがき」を、「一番長いテキストの塊」と感じるのはなぜか。
10人の著者が書く10本の作品はもちろん、
巻末の各著者の「プロフィール」も「あとがき」も140字以内だからである。
なんだか本書を読んでいると、長い/短いの感覚が変わってしまう。
短いと思ったものが、思ったよりもずっと長く、
それぞれの書き手の個性を色濃く映し出す長さを十二分に持っていることを教えてくれる。
140字の作品は、それぞれ1つ1つで完成しているが、
各著者が10個の作品で、それぞれの世界を創っている。
恋をして失って、切なくて、それでも幸せを求めて次の恋をしてしまう世界。
源氏物語の世界を5人の女性の立場から見た物語がずっと続くと思いきや、
それをベースに、現在の心の闇の世界にシフトしていく世界。
「動詞縛り」、「7文字縛り」など、制限をかけて、
その後のテキストをその宣言通りの法則で埋めて創り出された世界。
頭の中でまるで誰かが音読しているかのように音声が響き渡るタイプの作品もあれば、
情景が浮かんでくるタイプの作品もある。
140字は短歌には多いということで、短歌の前に「詞書(ことばがき)」がついて140字になっている。
そうか、140字って、長いんだ。
twitter上の作品は、#twnovelというハッシュタグをつけたものが時系列順に並んでいる世界で、
その時間に投稿した人たちの世界が影響しあったりもするという味わいがあるが、
本書は、そのサイト上とは異なる、各著者の新たなる世界を構築した。
ところで、「何を書こうかな、いつもの癖で長文を書いたら、この本には似合わないよね」と思い、
ここにやってきて驚かされたのは、「内容紹介」が破格に長いことだった。
この「内容紹介」で、もう本書の真髄が語られている。
中身を紹介するという意味では、もう足すことはないくらいだ。
「まえがき」のエッセンスが入っているのだから。
ブログ、ケータイ、Podcast、そして、twitter。
どんな表現形式/媒体が出てきても、
内藤みかさんは、これで小説が書けないかしら・・・と考える。
彼女の「新しもの好き」の根っこにあるのは、その思い。
#twnovelは、その思いから生まれたのだ。
そして、作品がウェブ上で読まれるだけでなく、
最後に紙に降りてくる道を作っているというところも、
やはり、小説が好きであるというところからつながっているのだと思う。
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