紙の本
ライバル
2009/05/27 08:13
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この五月にNHKで「ザ・ライバル」という特番が放映されました。
再現ドラマとドキュメンタリーを取り合わせたこの番組の冒頭、「ライバルとは、好敵手でもあり、同志でもある」といった字幕が出ます。今年、ともに創刊50周年を迎えた週刊少年誌、『少年サンデー』(小学館)と『少年マガジン』(講談社)を記念して作られた番組ですが、創刊(実際にはその準備期間も含めて)から半世紀にわたり「ライバル」であり続けた二誌への、それは勲章みたいな一文でした。 この番組が本書刊行のきっかけでもあります。
同番組では「製作統括」であった著者の大野茂氏ですが、本書の「はじめに」で氏はこの本のことを「番組取材での知見を出発点としてはいるが、(中略)大幅に独自の調査とインタビューを加えて構成」し、「番組で扱った要素が占める割合は2割程度で、8割方はオンエア外の内容」であり、「単なる番組の活字化という類の書ではない」と自信をのぞかせています。
NHKの特番も面白かったですが、大野氏がいうように本書の方が幅広く、二誌の「死闘の15年」を描いているといえるでしょう。
番組と本書の大きな違いを三つあげておきたいと思います。
まずは漫画家についての秘話の量です。赤塚不二夫のエピソードは番組でもよく拾っていましたが、『8マン』の桑田次郎や『銭ゲバ』のジョージ秋山などは本書の方が詳しく描かれています。
次に漫画と双璧をなした少年週刊誌の特徴、そしてこれは現在の二誌ではほとんどなくなってしまいましたが、である大伴昌司に代表される巻頭グラビアです。これは本書でしっかり描かれています。後発の『少年ジャンプ』(集英社)がもたらした漫画一辺倒の編集方針が先発二誌にも影響させた結果が現在の姿なのでしょうが、WEB時代の新しい情報提示が生まれることを期待したい分野ではあります。
三つめは、『少年マガジン』が『巨人の星』や『あしたのジョー』の人気で部数を驚異的に伸ばしていた頃の記述です。
大野氏も「マーケティングの事例としても読めるように工夫した」とありますが、成長期における経営のあり方や商品、ここでは週刊少年誌ですが、の意義付けの難しさなど、興味ある事例として読むことができます。小学館が『少年サンデー』を少年誌という位置づけのまま、新しい青年誌を模索していく姿は滝田誠一郎氏の『ビッグコミック創刊物語』と併せ読むと面白いでしょう。
これからの新しい50年を『少年サンデー』と『少年マガジン』という「ライバル」がどのように闘っていくかを読者として共に楽しみたいと思います。
◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。
紙の本
サンデーとマガジン
2020/12/17 15:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dzoe - この投稿者のレビュー一覧を見る
同年同日に創刊されたサンデーとマガジンについて、創刊に向けた動きや、創刊以降の2誌の動向をまとめた本です。
紙の本
日本の漫画史を見通すノンフィクション
2016/02/08 17:37
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投稿者:雪風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何の巡りあわせか同日に創刊された少年サンデーと少年マガジン。創刊に至る経緯から15年間の抜きつ抜かれつの競い合いの歴史が語られます。作者はNHKのプロデューサーだけあって、テレビドキュメントを観るように楽しく読めます。
で、去年買ってあったこの積読本を読むきっかけは、何といっても「ゲゲゲの女房」。ドラマのアンチョコとしてもすごく役に立ちます。
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こんな風に、ダイナミックに時代を動かしひとつの文化を支えた人たちがいたのだなあ。ニーズやポピュラリティに偏重しがちな時代においては考えられない博打うちだらけだけれど、それこそが本当は新しいものを生み出すパワーなのかもしれない。
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http://ike-chan.at.webry.info/200906/article_21.html
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自分の全く知らない世界の話なのに、当時の勢いとか活気が伝わってきました。今巨匠とされるマンガ家さんたちはこういった所から出てきたのか、とかこの作品はこうやって生まれたのかとか・・・とにかく新鮮な気持ちになれる一冊。
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「電子書籍時代を考える上で」
人々に喜ばれるコンテンツを作り出すための情熱と人脈そして根性の物語。
電子化というどこか冷たい響きが一人歩きしている感が否めない昨今、コンテンツ作りの裏側にあるパッションと人間臭さをビンビンに感じる一冊。
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[ 内容 ]
1950年代終わり、高度成長の入り口に立った時代の空気を察知した小学館、講談社は週刊少年誌創刊に向けて始動。
早くも激しい先陣争いを展開した結果、サンデー、マガジン2誌同時創刊に至る。
線の太く丸いメジャー漫画家の獲得、“さわやか”イメージ戦略、正統派ギャグ漫画路線を掲げるサンデー。
他方、マガジンは、原作と作画の分業体制、情熱的な“劇画”路線と巻頭グラビア大図解を展開―それぞれ独自の方針を掲げ、熾烈な読者獲得競争を繰り広げた。
本書は、両誌の黄金時代を現場で支えた男たちの人間ドラマに迫る。
元編集者の証言は、私たちにスリルと多くの知恵を与えてくれる。
懐かしい名作やブームの裏話も満載。
[ 目次 ]
第1章 夜明け前
第2章 先陣争い
第3章 危機を好機に
第4章 サンデー快進撃
第5章 TVマンガの時代
第6章 なぐりこみ劇画野郎
第7章 万博とよど号
第8章 しのびよる黒い影
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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先日、番組予告をしていたのに、見逃してしまった。でも、この本によれば、番組に使われたのは、取材したうちの二割だそうだから、読むだけでも十分かもしれない。グラビアを一度原寸大でながめてみたいと思った。
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毎週発行という厳しいスケジュールの中で、ライバル誌とせめぎ合いながら発行を続ける編集者の苦悩と感動が痛快に描かれている。
「作画と原作の分離」「競争原理の導入」「創刊時の原点回帰」「最後は直感を大切にした判断」など、サービスの立ち上げにも通じるヒントが得られた。
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何の巡りあわせか同日に創刊された少年サンデーと少年マガジン。創刊に至る経緯から15年間の抜きつ抜かれつの競い合いの歴史が語られます。作者はNHKのプロデューサーだけあって、テレビドキュメントを観るように楽しく読めます。
で、去年買ってあったこの積読本を読むきっかけは、何といっても「ゲゲゲの女房」。ドラマのアンチョコとしてもすごく役に立ちます。
夜明け前
先陣争い
危機を好機に
サンデー快進撃
TVマンガの時代
なぐりこみ劇画野郎
万博とよど号
しのびよる黒い影
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編集者たちの戦術と戦略の話や、裏話が満載のこの新書、どこを切っても面白い話ばっかりで、中身を紹介する余裕はない。昭和30年代と40年代前半、マガジンとサンデーを読んでいたものならば、絶対面白い。
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少年マンガ誌創成期のチャレンジ精神とライバル関係のしのぎ合いが当時の時代性を感じさせて熱い。文章も熱い。校了日が一緒だから編集長同士はたびたびお酒を飲み交わしていたというエピソードがかっこいい。
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2009年刊行。少年向け週刊誌マンガの創刊に始まり、その激烈な攻防を経て、一定の社会的認知を得ていくプロセスを活写。後に新興勢力として競合関係に至ったジャンプやチャンピオンの話しは少なめ。
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サンデーとマガジンの創刊から、やがてジャンプに王座を明け渡すあたりまでの歴史をまとめたノンフィクション。
知ってる話も結構あったけど、やっぱり面白い。
いろんな漫画家や編集者などの群像劇が最高。
この続きもやってくれないかな?
ジャンプの隆盛、チャンピオンの躍進とか。