紙の本
黒子であるべき編集者が表に出てくるのだから、もっと自分をさらけ出す覚悟がいるのではないか
2008/05/06 08:24
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な出版物が著者の才能や努力だけでなく、それに関わる編集者の力によって世の中に出てくるものだということは、すでに知られていることだろう。無から小説なり、何らかの出版物、その他のメディアを生み出すのは実作者に違いないが、多くは混とんとした表現の塊にすぎない。それを世に問える形に直していくのが編集者ではないかと考えると、自分の仕事にも何か通じるものを感じて、何人かの編集者の伝記、評伝を読んでみた。それはいずれも過去の編集者であり、今この時代に編集者を語ろうとするならばどうしても避けて通れない人がいる。それがこの本の著者である見城徹だろう。
言わずと知れた幻冬舎の社長であり、角川書店時代からベストセラーを産み出してきた編集者である。彼が産み出した出版物と知らないままに何冊も読んできたはずだ。これは、押さえておくしかない。
三章立てに、序章とあとがきを加えた300ページにのぼる1冊だが、章立てされた本文はいくつかの雑誌に掲載された文章をまとめたもので、この本のための文章は序章とあとがきのみと言っていい。そのためか、いくつかの内容が何度も繰り返される。特に尾崎豊との交流(と言うより格闘とでも言いたくなるような話だが)や村上龍、石原慎太郎との関わりのあたりは著者の思い入れも強いのか、何度も何度も出てきて、途中から「またこの話かよ」と思わさせられてしまう。名編集者の本であるにも関わらず、このあたりは何も手を入れられていないようだ。何とかならなかったものだろうか。
現存する編集者の関わった仕事なので、出てくる作家らも最近の人が多い。ベストセラーの隠れたエピソードとして読むには興味深いものもある。しかし、そこに出てくるのが作家らだけでなく、見城自身の話が随所に出てくるようになると、また趣が違う。見城の手法が、作家らに肉薄して刺激して最後には書かせたいと思っているものを作り上げてしまうというものである以上、見城がいかに作家らに関わったのか、どう刺激したのかということを描かざるを得ないのだろうが、それを突き詰めていくと「こんな作品を作らせた俺ってすげえだろう」みたいな雰囲気になってしまう。もちろんこの本は見城徹の本なので見城が前面に出てくることになるのだろうが、あまり前面に出てこられるとかえって作品が遠ざかってしまうようにも思う。
やはり見城徹はすごい編集者だと思う。しかも今は単なる編集者を超えて、出版社社長として出版文化全体を手掛けてもいるわけだ。そんな彼の、ここまで事を起こそうとする内面をもっと知りたいと思った。尾崎豊の復活を手掛けた話や、村上龍とテニス三昧だった話や、石原慎太郎に裕次郎のことを書かせた話もいいけれど、「そんなことができるあなたってどんな人なの?」ということを教えてほしい。そこにはきっと作家ら以上に魅力的な人生があるのではないかと思っているのだが、どうだろう。時にはそんな姿を見せるのも、編集者の力量の一つだと思う。
そうか、この本の編集者は見城ではなかったのだ。見城が自身を俎上に載せて作り上げたものを見てみたい。
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今までに読んだことがないタイプの本。自己啓発本よりもためになる。小説を読みたくなる。
「それほどの努力を、人は運という」この言葉を思い出せただけでも価値がある。
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見城徹さんの「編集者という病、は、読み始めたらやめられなかった。
角川で本の仕事をはじめて、幻冬舎を設立してすぐからたて続けにベストセラーを出している出版編集者とは知っていた。お寿司屋さんで何度かお見かけした事があったがお話はしたことはなかった。
すごい! の一言。自分が好きな感じる音楽家の本という読み物にしてだしたり、好きな作家にとことんつきあって、作品を一緒の気持ちで生み出したり、まさにカリスマである。
かかわり合った作家たち、出版界のこと、対談もおもしろいが、
まだ五十代後半の彼が、人生を語り、オンリーイエスタディー あとがきに代えて、のなかで沢山の友に感謝しているのがなんとも素敵だ。
「僕が生涯で勝手に恋した九人の女性たち。あななたちにほめられたくて、ごくはここまでやってこれたような気がします。この本をあたたたち九人と我が母に捧げます。とある。
そして、そのゲラ読みの途中で大きな事件がおきたという。
どんな事件が起きたのだろう、、、(と自分のことの重ねて考えてしまった一夜であった。)
それもオンリーイエスタディー として思い出す時が、やがて来る。とする感性。
へたな小説よりも、よりすばらし驚きの小説的な一冊であった。
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テレビで見城さんのことを知り興味を持ちこの本を読んでみたがこの人は只者ではない!氏の好きな言葉は「これほどの努力を、他人は運という」2007/5
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型破りで情熱家な著者、幻冬舎の社長の生き方は十分に伝わる。著名人との魂の果し合いのような対峙は、人と関わるという以上に、人に「賭ける」ことの重要性をこれでもかと示唆してくれる。ただ、一冊の本としては重複する箇所があまりに多く、食傷気味で胃もたれ感は否めない。また、強大な自我をアピールするだけで尊大な響きが止まない箇所も多く、貴重な逸話や教訓の色が褪せている。
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角川書店を退職して「幻冬舎」設立し、13年で13本のミリオンセラーを出した編集者、見城徹。
「作家は、自分の内部から滲み出る、やむにやまれぬ気持ちを作品化してる。
そんな本物の人たちの異常さは僕にはまるでない。
しかし、作家が苦しんで搾り出す作品に対して刺激を与え、限りなく続く暴走のための補助線を引いてやる。
偽者の僕にも本物のプロデュースは出来る。」
これを読んで、改めて編集者という仕事に強い憧れを抱いた。
見城さんと同じことはきっと出来ない。
けれど、自分が今まで感動し、助けられてきた、本に携われる仕事が私も出来たらいいな。
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体を張って仕事をする凄みがビシバシ伝わってくる自伝。興味を持った対象ととことん関わり「切り結んで」いく姿が印象的だ。藤巻幸夫著「人脈の教科書」の実践編としても読めると思う。
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幻冬舎の本をよく読んでいたので、見城さんに興味があった。尾崎豊との関わり方が圧巻で息がつまった重複する内容が多かったのが残念。
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なんてエキセントリックな人なんだろうって、勝手に椎名林檎を連想した。
「いつもクヨクヨ考えているから、いろんなことを用意周到に埋めることもできる」
「人は結局自分の持っている感情でしか人を推し量れない」
なるほど、と思った。
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「人の間」と書いて「人間」なんだから、人と関わり衝突しその先にある心がふるえるような想いをしなきゃ、何のための人生だか
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2008年3月ごろ。市立図書館で。
面白いんですけど。あとがきでも書かれてますし、事実再録本だから仕方ないとは思いますけどっ。
なんというか、ぐだぐだ。尾崎豊連呼が特にしんどかったです。連呼状態の方って、他にもいらっしゃるんですけどね。
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どこまでも熱い幻冬舎社長のエッセイ。
編集という仕事に抱くロマンと憧れと自負の念が行間からにじみ出る。
「筋金入りの不眠症」の彼が眠れぬ夜に見る夢は。
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見城徹氏の書き下ろしなのかと思っていたら、過去あちこちで掲載された文章がまとめられているだけだった。だから同じエピソードが何回も何回も何回も・・・これ同じ部分を削減したら半分以下の薄さになるんじゃない?ってくらいのしつこさ。だから読んでいてしんどかった。またこの話かって思っちゃう。あとがきでも書いてるけど・・もうちょっと何とかならないもんか。でもやっぱり幻冬舎の作品は実際面白いと思うし、見城徹氏の生き方には驚かされるし、安易な表現やけど、本当に凄い人。それにしてもFree&Easyが、そんなに見城さんのことが書いてあった雑誌とは知らなんだ。フツーのメンズファッション誌かと思ってた。
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角川書店から幻冬舎へ。さまざまなベストセラーを飛ばす筆者の著作で、前から読んでみたかった。が、中身は80年から06年まで、さまざまな媒体に発表したエッセイなどの再録本。まえがきの意気込みから、てっきり書き下ろしと思い込んでいた。すっかり本書も著者の戦略に乗せられ読まされた気がする。中身はかなりエピソードの重複ある半生記。終盤の対談を読めば、概略の主張や中身を理解できる。
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どこまでも我が道を主張するというか、…自己顕示とか何だかよく。興味深かったりする言葉も多かったけど、読み進めるのが結構大変だった。