紙の本
王公族については…。
2009/03/10 23:31
15人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「梨本宮伊都子妃の日記」以来注目してきた著者の新著だ。皇族方についてはともかくとして、王公族方については?がつく記述が目につくのは相変わらずだ。韓国併合直前の英王来日から王世子殿下薨去までの百年間は大韓帝国の旧皇族-韓国併合から現憲法公布による身分消滅までは王公族-と日本の皇室との関係については、もっと語られても然るべきだが、せいぜい語られるのは李王垠殿下と李王妃方子女王殿下だけだ。李鍵公妃も秩父宮妃殿下や方子女王殿下と従姉妹だが完璧に忘れられた存在だ。
何しろ李王殿下に直接取材した張赫宙作「李王家悲史 秘苑の花」に一言も言及していないで、他の方が書いた、どうでもいい小説は引用までしている「李方子」という評伝を書かれた方だ。本当は「秘苑の花」抜きで李王垠殿下の前半生は書けないと思うが、そうなると植民地時代から戦後の朝鮮人の法的立場から張赫宙論・朝鮮人による日本語文学論(戦時下の朝鮮人による日本語や朝鮮語での親日文学だけではなくて)まで手を広げないと理解出来なくなるだろうが。
電子書籍
伏見宮について
2024/03/29 22:34
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のタイトル通り皇族に嫁いだ女性たちの伝記がたくさん載っているが伏見宮の人たちがどんな人たちでどんな歴史があるのかも詳しく記述されていて勉強になった。
紙の本
十五宮家の存続年の表は、よい資料だ
2022/07/04 17:03
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治の「斜陽」に代表されるように斜陽にともなう旧特権勢力の戦後の生活ぶりが雑誌等に掲載され醜聞として広まったようだ。閑院春仁の「無料結婚相談所」、李鍵妃誠子の喫茶店「桃屋」などが嘲りの対象だったようだ。本書にあった、十五宮家の存続年の表は、よい資料だ、わかりやすい
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「皇族に嫁いだ女性たち」と銘打ち3人の宮妃写真を表紙カバーにしているが、内容は彼女達の人生にクローズアップというよりは(してるけど)維新後の皇室全般を説明してくれている。
まぁ宮妃を話そうにも豊富なエピソードが伝えられているのは歴代皇后皇太子妃、梨本宮伊都子妃くらいだろうからそりゃこうなるよね的な。
それでも男系家系図だけでなく女性に基づいた家系解説などは当時の姻戚関係を感じ取るのに便利。
内容に特別新しいものはない(小田部氏の他本と大体同じ)だが、久邇宮良子のお妃選びについての考察で「実子のない昭憲皇太后を介して血縁が近すぎるとした一条朝子を外したのは謎、九条家出身の貞明皇后なのでは」「九条家連続はない」とするのは理解できるものの梨本宮万子について「石女という根拠のない噂、同い年禁忌というのも解せない」とだけに留めているのは「?」という感じ。
梨本宮伊都子日記の作者でもある小田部氏は、若き日の大正天皇の度を越した伊都子執心を知っているはずであり、また「女官」などに記された貞明皇后の嫉妬深さも知るはずである。伊都子の娘である万子を皇太子妃に選ぶなどは「九条家出身だから一条家を避けた」どころではないように思う。
貞明皇后の「維新後に急にイキリ出した皇族」嫌いを遥かに超えて梨本宮の娘2人は「絶対にない」選択肢だったのでは。
皇室関係の本をいくつか読んだが昭和初期の「胎中天皇」(内親王出産が続いた良子妃殿下対応。出生前に男女問わず天皇を決める。不測の崩御にも対応。)論は初めて知った。21世紀でも男系うんぬんがトップ議題となる皇位継承問題において、昭和初期にまだ生まれてもない子供に皇位を授ける(しかも内親王はもう4人もいる、次も女なら妹が女帝となる)話が出るなんて。
これを書くと朝鮮半島の方々からはお叱りを受けるとは思うものの。。。それでもやはり朝鮮王族への対応箇所を読むと、1945までの朝鮮半島に対する政策が一般的な侵略とは少し毛色が違う感じがする。まず(1)名前がそのままであること(2)王族の姫に子供を産ませるのではなく、朝鮮王族に日本の皇族姫達を嫁がせていること(しかも華族や末端の皇族ではなく皇太子妃候補として数人まで残ったような人材を)(3)公式文章ではなく日記の類で日本の皇族が朝鮮皇族たちに敬意を持った表現をしていること(4)皇族と王族を並列していることなど。勿論侵略された側からすれば「併合してくれなんて頼んでない」だし「国籍を剥奪され言語文化を奪われた」ことは多大な被害であるんだけども、それでもなんとかっていう神の書物でも「ケファ(アラム語)」を「ペトロ(ギリシア語)」とかに勝手に翻訳するんですよね?名前をね。繰り返しますけど神の書物をね。名前ですよ?(しつこい
それから考えれば名前残してるってのは小さいことながら重要な相違点のような。
敗戦後の皇室典範で何が残って(男系継承、陵墓、神武天皇)何が変わった(天皇は世襲だけど国会による助言と承認要、お妃の出自撤廃)も言われてみれば確かにって感じ。神武天皇はよく残ったねぇ。
「戦前であれば生母とはなれても皇族にはなれなかった人達」
そうね。確かに。しかも生母にすらなれないよね上級華族じゃないから。
敗戦直後の週刊誌。ここで商魂逞しいと揶揄された元皇族はまだ幸運だったのかも。
「冬菊のまとふはおのが光のみ」
平民皇太子妃決定は旧皇族旧華族を押し除けた結果ではなく旧皇族旧華族による皇室の見放しとするのも納得の考察。