鋼鉄の暗黒兎騎士 電子DX版 みんなのレビュー
- 著者:舞阪 洸, イラスト:伊藤 ベン
- 税込価格:638円(5pt)
- 出版社:KADOKAWA
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紙の本
主に過去を綴った短編集
2009/12/30 22:38
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作全体を表した訳ではないが、なかなかナイスなタイトルである。『団』が外されているのは個人的な話がメインなのとタイトル全体の字数を合わせるためと思われる。『暗黒』を示すのが1人しかいないので、他の団員達から「これではまるで次期団長の私的短編集のようではないか」といった陰口が聞こえてきそうだが、中身はバラエティに富んでいるし、まぁ、短編集らしいお遊びと言えよう。作順が時系列でもないので好きな騎士の話から読んだり書き下ろしから読んだりする楽しさもある。騎士団内にある“仲良し組”が結成された経緯が判ったりして興味深い内容である。
冒頭を飾るガブリエラの“黒い”話、書き下ろしの1編は、「とうとうキタか」というタイミングの話なのに何だかちっちゃい。アナとの5分程度で終わりそうな会話(8頁)である。続く1編は少女時代の小話(17頁)。本編第9巻のネタを上手く再利用(?)しているのはベテラン作家ならでは。あと、何げに素晴らしいのがまさかの『白兎女学院』設定。みんなにセーラー服を着せたアイデアに最敬礼。第1巻冒頭、試験開始直前の様子を学園に置き換えてトレースするもこれまた僅か14頁、グループ編成だけで終えられては生殺しである。第一、ドゥイエンヌさんの超ミニスカ制服姿の挿絵が無いなんて……無いなんて!アスカの過去話では例の「何でも屋」とその面々の様子が窺い知れて良かった。
割と骨太の短編は『FBonline』に掲載されたものなので既読の諸兄も少なくないと思うが、改めて読み返すとやはり面白い。何気ない雑談の中で語られる体裁が、団員達の日常と普段からの仲の良さをさり気なく示している。デイリィのハードな過去、アフレア&シゥビーニュの切ない過去、アルゴラ&ヨーコの初顔合わせな過去だが、やっぱりアルゴラ様は面白いネ!実に奔放で能天気かつ辛口な独白で笑わせてくれる。
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