核時代のディストピア
2022/12/14 11:38
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
松本清張には珍しいSF作品。しかも核兵器を扱っている。
女性史に連載していた1963年という時代を反映してもいるのだろう。
しかしここで描かれている出来事は、本当にSF小説の中の架空の話と言えるだろうか。今まさに起こり得ることだ。
しかもそうした極限状況の中で、松本清張の描く権力者や市井の民たちの右往左往ぶりや素顔(本能)が恐ろしすぎる。
しかしこれも現実だろう。
こうした状況を前に、防衛費を増やして防衛力強化だとか同盟強化だとか何とか言ってもすべてナンセンス。とにかく恐ろしく、後味が悪い。
今こそ読まれるべき、清張の変化球的一冊だ。
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
2時間もあれば読める分かりやすい(?)一冊。
雑誌(確かダ・ヴィンチ)で紹介されてたのを見て気になって読んでみました。
かなり古い作品なのに現代日本の状況から見ると「SF」とはとても考えられない状況。
現代なら当然絡むであろうスマホやネットが登場したらどうなるのだろうか、とか
考えてしまう。その設定で誰か『神と野獣の日アナザー』みたいの書いてくれないかな(笑)
そしてやっぱり「実際自分がこの状況に置かれたら」と考えてしまい、ゾッとする・・・
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死の前の耐えられない苦痛を逃れるために、人間は孤独ではいられなかった。
いかなる人間のもがきも、懊悩も恐怖も時間はいっさいを無視して進行した。
生きていることは素晴らしいことだ。
生きていてよかった。生きていることは素晴らしい。
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松本 清張には珍しいSFもの。
隠れた名品ということで復刊の声高かったとのことで、復刊本です。
アメリカの同盟某国の水爆ミサイルが誤発射され、あと数十分のうちに東京に着弾する・・・。
珍しく戯画タッチで、手塚治虫のSF短編を彷彿とさせる。
この手のものだと、新井素子「ひとめあなたに・・・」のが好きかも。
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核爆弾が誤射され、あと1時間でここ東京で爆発する。
無謀にもひたすら逃げる人、安楽死を選ぶ人、最後を愛する人と過ごすことを望人、理性をすて野獣と化す人。そんな中でも、こっけいにも己の政治欲を満たそうとするひと。
人々の混乱と政治の滑稽さが描かれている。
1分、1分に緊張し、ページを繰る手がとまらなかった。
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うわーんあと約一時間で東京に核ミサイルが飛んでくるよータイヘンダーなパニックSF。この極限状態で、さて、皆はどんな行動に出るのー? というのが主眼。まあ、短いし文章上手いんでサックリ読めますね。
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私にしては珍しく、夢中で読んだ一作。
あの、東日本大震災の時の東京について人から状況を耳にするに当たり、
この一作のエピソードが私の頭の中を鮮明に過りました。
松本氏にしては珍しいSF系の小説。なかなか現実味があり、こういった
仮定の中で日本は何ができるのか、私個人が何をする事ができるのか
緊迫感を味わいながら、深く考えさせられる一冊です
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Z国から誤射された5発の核ミサイル。迎撃も失敗し日本に向かうミサイル。着弾地点は東京。混乱する民衆と状況の確認を行う総理大臣と内閣、官僚。
2011年8月3日読了
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東日本大震災を重ねながら読んでしまう。人間って追い詰められたらどうなるのか、こうなるのか。とても短くスピード感もある本だけれど、内容は濃い。
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どっかで観たような先の読める話だが、
73年に描かれた小説ということを考えれば
その古典であると言えるのかもしれない。
核ミサイルが後一時間程で飛んでくると宣言された東京で起こる
集団ヒステリーや阿鼻叫喚の様子と
大阪に避難した総理大臣を始めとした内閣の
喜劇的なまでの不甲斐なさが素敵なコントラストをなしている。
ミサイルが着弾する最後の10分程の民衆の狂気と
タイトルのセンスが素晴らしい。
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1973年に発表された作品なのに、全然昔話になっていません。
某国のミサイルの誤射から東京着弾までを書いています。インターネットと携帯電話が出て来ないのを除けば、まるで昨日今日の話のようです。
あと1時間で、今いる場所が壊滅すると言われたら、逃げるのか、残るのか。ライフラインを守る仕事をする人たちが逃げたらどうするのか。
交通機関は動くのか?動かないのか?電気はいつまで供給されるのか?
頭の中で自分ならどうする?という問いを明滅させながら一気読みでした。
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神と野獣の日(角川文庫)
著作者:松本清張
発行者:角川パブリッシング
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
40年以上の間根強い人気を誇るSFパニック作品。
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「松本清張」のSF的小説『神と野獣の日』を読みました。
「清水義範」のSF連作集『博士の異常な発明』を読んで、SF作品を読みたくなったんですよね。
「松本清張」作品は、『ゼロの焦点』以来なので約半年振りです。
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「重大事態発生です」―ある早春の午後、官邸の総理大臣にかかってきた、防衛省統幕議長からの緊急電話が伝えた。
Z国から東京に向かって誤射された、5メガトンの核弾頭ミサイル5基。
1発で、東京から半径12キロ以内が全滅するという。
空中爆破も迎撃も不可能。
ミサイルの到着は、あと…43分。
ラジオ・テレビの臨時ニュースによって、真相が全日本国民に知らされた!
SF的小説に初めて挑戦した「松本清張」の隠れた名作。
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日本から2万km離れた太平洋自由条約機構のZ国から誤って発射された核弾頭ミサイル5基が東京に向かっている… 自爆装置は起動せず、日本(自衛隊及び在日米軍)の迎撃能力では3基しか破壊できない、、、
43分後の12時32分(のちに140分後の15時9分に訂正)には東京が被爆することを覚悟した政府の混乱、事実を告げられた住民のパニック等がリアルに描かれています。
東京から逃げるためにパニックとなった住民の蛮行は、ぞっ… とするような身勝手で野蛮な行動なのですが、実際に死の恐怖に直面した人間は、冷静ではいられないんだろうと思いますね。
極限の状態に置かれ、本能に任せ野獣と化した人々、最期まで人間性を失わず神として行動した人々、、、
その両方が描かれていますが、自分が、その場にいたら、どちらの行動を取っただろうか… 考えさせられる物語でしたねぇ。
(多分?)東西の緊張が高まっていた1963年に書かれた作品ですが、原発事故や北朝鮮の人工衛星発射等もあり、なんだか現実味のある物語に感じました。
現実にならないことを祈るばかりですね。
助かった… と思わせたあとの、このエンディングは巧みです。怖いです。
映画化しても面白そうな作品に感じましたね。
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昭和38年に週刊誌に連載された松本清張には珍しいSF作品。とある同盟国から誤って核を搭載したミサイルが何発か日本に向かって発射された。迎撃でないミサイル2発は、東京都心を直撃するという。この知らせが国民に周知されたのは、ミサイル到達予想時刻の1時間足らず前。首相はじめ主要な政府要人は、すでに飛行機で大阪に飛び立ち、大阪から各部署、国民に指令する。東京都内に残された人びとは、どのような行動を起こすか?
昭和38年に架空のSF小説として連載が始まるも、果たして、現在も仮想現実のことと言えるのかどうか?