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幕末の動乱期に数多く起こった暗殺事件を取り扱うことで,その時代の雰囲気や人々の思いといったものに迫っている.あとがきの中で,司馬遼太郎氏本人は暗殺のことを否定的にとらえていると語っているが,同時に,時代の大きなエネルギーが噴出した場でもある暗殺を描くことによって時代の雰囲気を語ることができるとも語っている.私もこの解釈に賛成で,今まで流れをつかみ損ねていた感がぬぐえない幕末という時代を,この本を読むことで少しだけつかむことができたように感じる.
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思いのほか手間取った。短編とはいっても一つ一つには読み応えアリ。
新撰組にかかわりがない幕末史もいろいろと書いてあって、へえ、とは思ったけども、やはり新撰組が登場した方が面白いなあというのが感想。
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桜田門外の変から始まり、幕末の暗殺事件の連作になっている。歴史小説は要所に若かりし頃の偉人が出てくるから面白いが、本作はあまり知られていない人間が多く描かれている。
「土佐の夜雨」「逃げの小五郎」「死んでも死なぬ」の3編がなかなか面白かった。「死んでも死なぬ」には、小心者の伊藤俊輔(博文)が登場する。
「最後の攘夷志士」では、志士たちが倒幕のために攘夷思想を利用された末路で、少し切ない。
幕末小説を読んでいて面白いのは、のちの子爵だの男爵だのとカッコ付で書いてあったり、剣の腕はなんたら流の目録だのと紹介されるのがちんぷんかんぷんで、果たして凄いかどうかなかなか汲みきれないところ(笑)
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暗殺だけは、きらいだ。という著者が書いた暗殺の物語。 暗殺は殺される人間がどんなに嫌いであっても殺した側はヒーローにはなり得ない。それはフェアじゃないからなのか何なのか。時に時代が必要とすることなのかもしれないけれど、私もやっぱり暗殺は好きではないらしい。
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司馬遼太郎の幕末ものとして有名な「燃えよ剣」や「新撰組血風録」のサイドストーリーとも言うべき短編集。先の2編に出てくる人物や事件にかかわる人間が主人公の物語がほとんどである。
逃げに逃げて幕末を生き延びた桂小五郎を描く「逃げの小五郎」、後の外務大臣井上馨(聞多)とその命を救った医師の奇妙な関わり「死んでも死なぬ」など、すべて暗殺事件を扱っているのが特徴だ。
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血なまぐさい幕末を暗殺というテーマでまとめた短編集。司馬遼太郎さんがあとがきで暗殺はきらいと書かれていたように暗殺が行われたことにより歴史は動いたのだろうか?
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幕末とひとくちに言っても生き残って栄達を手にした人については
美談が山のようにあっていかにも偉人伝のように語られ
歴史の教科書にすら名前が残っている。
ただ、「そんないい話ばっかりなわけないじゃん」とナナメから観てしまう人間にとっては
この本に描かれた景色こそ幕末だったんだと思えてしまう。
ひとかけらの運やタイミングのズレ以外に彼らの明暗が分かれた理由がなさそうなところがまた、何とも言えない遣る瀬なさ。
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幕末の時代にピュアに筋を通す生き方をしたか、したたかに時代の潮流にのり、カメレオン化したか、後者の方が明治まで存命し位までついているように思う。
蛤御門ノ変の後、逃げ隠れする桂小五郎(のちの木戸孝允)を描いた「逃げの子五郎」。明治元年に英国公使の列に切りつけた朱雀操と三枝シゲル(草冠に翁)は、その罪として平民に落ちさらし首となった「最後の攘夷志士」、三ヶ月前では烈士と称えるられたはずで、司馬さんも「節を守り、節に殉ずる」生き方として心よせている。
婚礼資金の借りと「刀どおしが兄弟」と言われ坂本竜馬の仇討に加担するお桂と後家鞘(後の土居道夫大阪府県知事)。その個人的な気持ちの繋がりが暗殺する理由なのがさらに竜馬の魅了を増しているようで、好きな作品「花屋町の襲撃」
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春の雪を血で染めた大老井伊直弼襲撃から始まる幕末狂瀾の時代を、十二の暗殺事件で描く連作小説。
歴史はときに血を欲す。
暗殺者も凶刃に倒れた死骸も、共に我々の歴史的遺産である。
これも何度も読んでます。ww
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【なんでも芋】
司馬遼太郎氏の幕末を舞台とした短編集。
幕末から明治を駆けた偉人達の意外と知らないエピソードが満載です!
福岡国際大学:もんた
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ときどき、無性に歴史小説が読みたくなる。今回は大好きな司馬遼太郎作品のなかから、たまには短篇をと思い本作をチョイス。表題どおり幕末を舞台にしたこの短篇集は、暗殺にスポットライトを当てた作品ばかり12篇を収録している。内容は、桜田門外の変のような有名な事件や、桂小五郎(木戸孝允)や井上聞多(馨)のような有名な人物を主題にしたものもあるが、いっぽうではじめて耳にする事件や人物も描かれており、それ自体が歴史好きとしてはまず面白かった。また、井上や桂などのエピソードも、知っているものもあったがやはり筆力が一流なので、面白く感じずにはいられない。暗殺が主題ということだが、そこには血なまぐささよりはむしろそれぞれの熱い想いがこめられており、たんなるエンターテインメントを超えた面白さがあった。それと同時に、深く考えさせられる部分もある。歴史の教科書では、桜田門外の変すらほんの数行の記述に終わり、取り扱われてさえいない幕末の志士たちも多いけれど、暗殺ひとつとってみても、そこには多くの人物のさまざまな想いが詰まっていて、複雑な権謀術数を踏まえた結果として暗殺があるのであり、そういう背景は、教科書ではけっして知ることができないので、そこまで知ったうえで「幕末」というものをあらためて考えてみると、簡単には言い表せない複雑な気持にもなる。やっぱり人間ドラマの部分が、歴史小説の最大の魅力だと思う。本作もその要素がたっぷりと含まれているという点で、文句なしの傑作である。
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やはり司馬遼はストーリーの上手い作家ではない。
こういった短編になるとそれが如実に表れる、ただ話が羅列されている感じ。ご本人もそれを自覚しているのか、あとがきで少々の言訳がなされている。
それにしても皆血に染まってますな、それが革命というものだろうが、今に至るまでの日本を見るに考えさせられるものがあります。
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新選組のマイブーム経由で読んでみた。
自分はまだ幕末の知識が浅いので、背景はうっすらしか分からず本作を十分に楽しめなかった。
また歴史の知識を身につけた後、再読してみようと思ふ。
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幕末の暗殺に関する短編。書の中で一番印象だった言葉は(一流の人間は死んで残ったのは三流の人間だった。)くだり。多くの歴史小説を読んだか本当にそうだとうなづけた。司馬遼太郎はきちんと取材してあるので話に重みがある。
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山中に隠遁でもしていなければ何とも物騒騒然とした世相で、想像するほどに空恐ろしい。攘夷提唱なぞ到幕派の因縁かと思いきや、佐幕派も唱えていたり、とにかく狂乱、剣呑であること極まりない。いずれの側にせよ明日の命は知れず、斬るか斬られるか。暗殺事件、というより暗殺者を描いた12話。