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十二の暗殺事件から幕末の混沌とした時代を俯瞰した作品。
この時代の男達は、何かしらの己の志を持っていた。
その志を遂げるためなら暗殺も辞さず。
その強い意志によって、生かされ殺されていった。
現在、生きている我々には想像すらできない暗澹とした時代だったのだろう。
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生きているものが勝ち組。死んだらそこで終わりなんだと思った。無駄死にはしたくないなぁと思ったら自分の人生目的なく生きていることに恥ずかしさを感じた。人を殺した人が総理大臣なんて、今じゃありえん話だな。
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あとがきで著者は「暗殺だけは、きらいだ」と語る。そんな著者が幕末に起こった暗殺事件を記した連作短編集。
普通に考えれば、暗殺なんてものに政治力や体制変革を期待するもんじゃない。むしろ、暗殺によって変わってしまうような社会や組織は遅かれ早かれ、変わってしまうものだし、ろくなものじゃなかったのだろう。
が、幕末はそんな暗殺が評価された時代であり、志士たちは世直しになると信じて暗殺を企画し、実行し、死んでいった。
本作品に登場する暗殺の当事者の多くはバッドエンディングを迎えている。政治判断もないし、自身の将来も考えず、暗殺に没頭する彼らに対して爽快感や死への同情も起こらない。司馬作品にしては、ちょっと異色の味わい。
結局、亡くなった彼らと今知られている幕末の英雄たちとの違いは運良く生き残ったかどうかだけ。伊藤博文や桂小五郎、田中顕助など教科書に載るような有名人の扱いは本書では冷たい。
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龍馬がゆくと同時期に書かれた短編集。清川八郎を描いた「奇妙なり八郎」や何度か取り上げられる井上聞多(井上馨)、幕末の数年の間の暗殺事件をふまえて、どう歴史が動いたか淡々と描く。
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あとがきにあるが初期の作品であり、想像するにまだアシスタントは少なかったろう。しかし、自力で歴史を調べたのであろうがその濃密さは後の作品同様で細やかなエピソードでも取り上げ暗殺者達の生き様とその時の状況を浮き彫りにしている。それぞれが短編でありながらも有名無名を併せ数多くの人物を登場させ読み応えがある。
田中顕助のみ3編に登場しているが、作者がよほど気に入ったか、あるいは自叙伝やインタビューなど多くの資料が残っており書きやすかったからか。最後の攘夷志士がとても程よい笑いもあり悲壮感ありで殊更味わい深い。
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『桜田門外の変』に始まる幕末での暗殺事件が、12編の小説形式で語られています。坂本竜馬と中岡慎太郎が河原町三条の “近江屋” で横死、その復仇を企てた海援隊の陸奥陽之介が募った剣客・後家鞘(ごけさや)こと土居通夫(後の大阪府権知事、兵庫裁判所長)を綴った『花屋町の襲撃』。“蛤御門の変”で長州藩の武装入洛に反対し、逃げまわる桂小五郎(後の木戸孝允)を助ける京の芸妓・幾松(後の木戸侯爵夫人松子)のことに触れた『逃げの小五郎』に興味を持ちました。
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「暗殺者だけはきらいだ」「人間のかざかみにもおけぬ」という著者が歴史遺産と割り切って?書いた暗殺者たちの物語。著者については詳しくないが、基本的には主人公をヨイショする傾向があるようなので、その点では本書は異色作といえるのかもしれない。歴史書ばかり読んでいると政治情勢と政治思想ばかりに目がいってしまい、その当時に生きた個々の人間の生き様や事件の詳細に立ち入ることはない。たまには歴史小説を読んで、無味乾燥な歴史書に彩りを加えていく作業も必要に感じる。
確かに、著者も言うように暗殺者というものが歴史に寄与する事はないのだろうが、桜田門外の変だけは歴史を躍進させたという点で例外であり、世界史的にも珍しいのかもしれない。しかしながら、「明るい明治」という史観を持つ著者がその転換点となった事件を特別扱いするのは当然であるし、そういう史観に縛られて桜田門外の変を解釈するのはセンチメンタリズムでしかなく、さらには歴史にロマンを持ち込むという誤りを犯す事になるのだろう。(なら、歴史小説なんか読むなよって話だが・・・)
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幕末の暗殺に焦点を絞った短編集。暗殺だけは嫌いだといいながら、司馬遼太郎が書いたもので、小説ではあるが、人間と事実に重きを置いたもの。
幕末史を考えるには、良き一冊ではあるが、小説としては物足りない。
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【司馬遼太郎幕末短編再読①】
2000年に購入してから幾度目かの再読。
幕末に起きた12の暗殺短編集。
あとがき『時代が血を欲した』
酷いけれど、きっとそれが事実であり、大きく歴史を動かしたその躍動感が印象に残る作品。
司馬遼太郎の題目の付け方は絶妙。
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幕末から明治にかけてその変遷に関わった武士と暗殺を描いている。
著者は暗殺に対して非容認の態度で臨んでいる。
あとがきでも
「暗殺者という者が歴史に寄与したかどうかを考えてみた。
ない。」
としているが、
「このましくないが、暗殺者も、その兇手に斃れた死骸も、ともにわれわれの歴史的遺産である。」
とも書いてある。
そしてそんな暗殺事件の中で「桜田門外ノ変」のみは
「暗殺という政治行為は、史上前進的な結局を生んだことは絶無といっていいが、この変だけは、例外といえる。」と述べ、この事件の明治維新への大きな役割を認めている。
ならばきっかけを作ったといえる井伊直弼も日本の変革の立役者のひとりといえるのかもしれない。
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田中新兵衛「猿が辻の血闘」目当てで読んだ短編集だが、通して読むと田中光顕の話と言えなくもないかも。彼のファンなら買いの本か? (好意的な書き方をしてないが)
有村治左衛門「桜田門外の変」と伊藤俊輔&井上聞多「死んでも死なぬ」が良かった。有村は桜田門外ノ変に唯一参加した薩摩志士。少年漫画みたいな爽やかな印象に短編だった。
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坂本竜馬や高杉晋作、大久保利通、西郷隆盛などなどメジャー以外にも多くの人々が幕末から明治にかけて、激動の事態を生きていたことを改めて思い起こしてもらった。
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1963(昭和38)年刊。
幕末の頃の、攘夷運動などが盛んになりしきりと「暗殺」が流行した時勢を題材とした歴史小説集。司馬遼太郎さん自身は「暗殺は嫌いだ」と思いながらこの連作を書いたそうだ。
文体とか書法に独特な癖があるが、流麗に話が進行していく。そんなに読みやすい方ではないと思うが、世には熱烈な司馬ファンが相当数いるらしいから、人を夢中にさせる魅力があるのだろう。
かなり史実に基づいて書いているようだが、もちろん、人物に命を吹き込みしゃべらせたり独白させたりするにあたってかなりのフィクション化が施されている。当然そこも作者の歴史観によってコントロールされており、全体として世界が統一されている。
読んでみて、面白かった。読むのはそんなにスピーディーにはいかず、ワクワク感も強くなかったが、これで長編であれば、もっと夢中になって読んだかもしれない。しかし司馬遼太郎の長編は何巻にもわたる「大長編」が何タイトルもあるのだから、なかなか手を出しにくい。
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幕末に起こった暗殺事件を題材にした短編小説集。
ワザワザ小説集と言うような書き方をするのは、事件自体は本当に起こった出来事であり、歴史的検証や登場人物の後日談等も丹念に綴られている為うっかりすると史実かと思ってしまう程臨場感タップリのお話ばかりである。
もっとも幕末の諸藩の立場や個々の事件に関しての予備知識が無いと読んでいてもつらいかもしれないマニアックな事件が多い。
筆者自らあとがきで「歴史書ではないから、数説ある事柄は、筆者が、この方が真実を語りやすいと思う説をとり、それによって書いた。だから、小説である。」とあるので史実とは多少違うところも有るだろうし、登場人物の人間関係や心の動きなどはかなりの部分筆者の推測が入っているだろう。
恥ずかしながら、司馬遼太郎さんの作品は初めて読みました。
やはり日本を代表する作家の文章は上手い。物語にぐいぐい引き込まれます。
個人的には短編集の前半の方が好きかな。登場人物もどこかしら凛としたところが感じられます。
後半の主人公達(特に幕末を乗り切って明治まで生き延びた人達)には今ひとつ感情移入が出来ませんでした。
なにはともあれ面白い本でした。