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まことに勉強になった。正確には、知らなかったいくつものことを知ることができた。新進気鋭の学者が培ってきた学識を一般に伝えるという古典的な新書を久し振りに読んだ気分。おすすめの文献の中から読みやすいものを見つけて読みたいがどれも一覧的には読めそうにない。次著を用意しておられるようなのでそれを読もうかな。類書もチェックしよう。
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アウトラインを知るために購読。目の前の現実で起こっていることを理解、解釈し、自らの思考を客観視・コントロールするにあたって、6章以降だけでも目を通すと良いと思った。
著者は、今日現在、日本に於いて「知的中立的」と受け止められるであろう「一般的な」解釈に対しても、一定の懸念を抱いており、そのことに私たちは耳を傾ける必要がある。
イメージだけで恐怖心を抱いたり、表面的な分析を行うことは極めて危険。それこそ、さらなる混乱の元となる。冷静で大きな視野を持って事態を把握・理解しようとする態度が何より求められているのだろうと思う。
ただ、そもそものイスラム教の概念、イスラム教とが見ている景色については、この本の内容が不足という意味ではなく、勉強不足という意味で、やっぱりまだわかりにくい。(そもそも、キリスト教も仏教もわかっていないが)
無意識に八百万の神を感じ、「お天道様が見ている」ことが自己統制の軸となっている自分にとっては、特定の「神」や指導者に正統性を求め、忠誠を誓う感覚が掴みにくいのだろうと思う。この点については、引き続き勉強が必要。
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昨今ニュースに取り上げられるテロ集団について、背景も含めて理解したいと考えて購入。
Kindle版があったことを書籍版購入後に知った。
「アラブの春」といった中東で起きた歴史的事件とイスラム国の関連、アル=カイーダやタリバンなどの過去のテロとの関係、比較等をデータを用いて客観的に丁寧に解説している。
ニュースでの中東情勢を一層理解する助けになると思った。
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ISについての基本的なことを勉強するつもりで読みました。とても読みやすくて、客観的な視点で書かれてて良いです。
一応他の人が書いたのも数冊読んでみるつもりですが、必要ないかも。
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たくさんの人に読まれてほしい本。いかんせん日本では、研究者有識者が少ない。だからこそ、たくさんの人がこの本で勉強してほしいと思う。
再読
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基礎知識としてよくまとまっておる、というのは今更俺が言う必要もないですけどまあ。
なんでイスラム国はうまくいっているのかはよくわからん。メディア戦略が洗練されていると言われてもよくわからぬ。過去の聖典に結びつけた宣伝というのも、他の人にもできそうなものなのだが。今のところ、数多くある同じような中小団体の中から偶然出てきた一つで、環境が異なれば他の団体が出てきたのかなあ、と受け止めておる。
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イスラム国はテロリスト集団と揶揄されるが、彼らには彼らなりの思想がある。そして、この状況を生み出した背景には、欧米の過去のイラク戦争、アフガニスタン侵攻などの中途半端な軍事介入もある。そういった事を知ってからイスラム国を見ると、少し見え方が変わってくる。また、彼らのメディア戦略を知ることで、あの脅しに使われる殺害予告映像の裏側に隠された思惑通りに、不用意に拡散する人も減るのではないか。
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これからますます多くなるであろう、イスラーム国に対するニュース。
そんなニュースに接する上での、予備知識補充のために。
ですが、そんな甘い覚悟では立ち向かえないほど情報量と考察量が多い本でした。
2015年2月初頭現在において非常にタイムリーなテーマなので、他社新書でも類似テーマの書籍が刊行されています。
2014年より国際情勢で目立ち始めた通称「イスラーム国」について、その台頭までの歴史的政治的背景・行動の原理・メディアを使った宣伝方法について独自の分析がなされています。
イスラーム世界ということもあり、語られる名詞や言葉があまりに多く、読むのに一定の体力を要します。笑
おそらく私のように、ニュースを読み解く基礎知識だけが必要であれば「2 イスラーム国の来歴」「3 蘇るイラクのアル=カーイダ」だけでよく、
”なぜこれほどまで台頭したのか?””どこに向かうのか?”といった問題意識を持つのであれば「4 「アラブの春」で開かれた戦線」以降の章をじっくり読み進めてよいのかなと思います。
読了後に深い考察にふける。。。ほど深くは読み込めず、悔しさの☆3つです。
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ぼくはたぶん、この本に書かれていることの前段階が知りたいのだと思う。
彼らは何を求めているのか。
現地のひとはどう思っているのか。
彼らにとって、人質殺害や各国でのテロはどのような意味があるのか。
有志連合 vs ISILの戦いは、当局とメキシコのギャング、イタリアのマフィアとの戦いと同列に考えていいのだろうか?
現地の治安部隊が彼らを止められない理由や、世界から戦闘員が集まってくる理由(の一部)はなんとなくわかって、それだけでも十分読んだ意味はあったけれど。
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[分水嶺形成の一撃]2014年の6月にイラク第2の都市・モースルを陥落させ、度重なる人質略取やその処刑により国際問題の筆頭格に挙げられることになった「イスラーム国」(ISIS、ISIL、ダーイシュなどとも)。目まぐるしいこの組織の変遷と特徴を明らかにするとともに、「イスラーム国」に結晶化し、そしてそれがまた今後もたらすであろう中東地域の不安定化についてまとめた作品です。著者は、中東地域、イスラーム政治思想の研究を専門とする池内恵。
「イスラーム国」を正しく怖がるために非常に有用な一冊。急速に変転する中東情勢の内幕をイスラーム思想史と国際政治学の二方向から読み解くことによって、地に足のついた視点から、何故にこの組織が問題なのかという点が明らかになっていると感じます。今や日本にとっての対岸の火事ではなくなった「イスラーム国」をこのタイミングでここまで把握できる新書が出たのは本当にありがたく嬉しい限り。
突然発生したかのように見える「イスラーム国」が何故に「2014年」という時期に勃興したのかを歴史軸から読み解く試みも、この組織を不必要に「神秘化」しないための素晴らしい視座だと思います。中東政治の紹介は、一般には馴染みのない組織名や人物が乱立することから複雑になりがちですが、一般に興味をお持ちの方であれば、本書はその分野への窓口になるとともに、国際知への良い導き手になってくれるはずです。
〜「イスラーム国」は、当事者や共感する者たちから見れば、病状を一挙に解消する「夢の療法」なのであるが、実際には、中東の抱えた問題のいわば「病状」なのである。〜
池内氏の作品はたびたび手に取りますが本当に勉強になります☆5つ
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【125冊目】池内先生による「イスラム国」の解説本。「イスラム国」をイスラム思想史・宗教学の側面と、アラブ諸国を中心とした政治学・地政学の側面から分析した本。池内先生の論文は何本か拝読したことがあるが、いずれも豊富なイスラム教と中東諸国の政治・歴史に関する知識に裏付けされており、他の解説者とは一線を画す印象。「イスラム国」についてしっかり勉強したい専門家や学生向けの本。一般の人に向けにするにはちょっと内容が込み入りすぎているのではないだろうか。
イラク戦争以降のイラクにおける宗教・民族に沿った政治権力の配分の構図、過激なイスラム教解釈に対する論駁の困難性、イスラム穏健主義の衰退と「統治されない空間」の出現に関する時系列的な整理等は非常に役に立った。あとは固有名詞(グローバル・ジハード思想及びその実践については、本書よりも池内先生の過去の論文及び松本光弘の著作に詳しい。)。
本書はイスラム教(とアラブ諸国の政治)そのものを対象としていることから、西欧諸国による対応の検証及び日本を始めとする非イスラム圏の諸国での政策的対応への提言は弱い。むしろ、本書が提起する認識を基に、別個、これらの考察が求められるところ。
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イスラム政治思想史と国際政治学の二点からイスラム国を分析する。イスラム国をもたらしたのはジハード主義の拡大がもたらしたグローバルジハードの運動と、アラブの春で中央政府による地方統治の弛緩にあるとする。イスラム国はカリフ制の復活を主張し、既存の近代国家に挑戦し、一定の領域を支配していることが新しい。アル・カーイダのような国際テロ組織としての性質と、領域支配を行うタリバンのような土着勢力としての性質の両方を兼ね備える。動画の編集は計算されており、米人処刑動画の公開には米国を戦争に巻き込んで大義を得るのと同時に軍事介入を控えさせる狙いがある。
アル・カーイダがどのような道を辿ったか、ザルカーウィーの二十年計画、アルブの春でのシリアやリビアの内戦について、イラクでのスンニ派、シーア派、クルド人の抗争があり、イスラム国にフセイン政権残党が合流したこと、イスラム国の外国人戦闘員について、などなどとても知りたくて気になるところをおさえていて、イスラム国について知るのに必読の入門書と思う。
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話題の「イスラム国」ISIS。
サイクスピコ協定とか、あったあった。
久しぶりに中東の歴史をおさらいした感じ。これからどうなるのだろう。
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◎ISILとは、理解することがだいぶできた。
◎宗派、部族。日本人である私にはわからない違い。でもそれが大きな紛争の種になっている。
◎預言者、後継者、穏健派、過激派。
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「イスラーム国」の伸張の背景には、思想的要因(明確な組織・指導者を持たずに拡大するグローバル・ジハード運動の成立)と政治的要因(「アラブの春」を背景に政治的空白地域が発生、イラク・シリアでの現地化に成功した)の二点がある。
・「イスラーム国」が引用してくるイスラーム法上の典拠は通説を逸脱したものではなく、イスラーム教徒が強く反対できない一般的・基本的な内容である。
>指導者バグダーディーは2014年6月、カリフ制の再興を宣言した。イスラーム法ではカリフの存在の必要性は明確に規定されている。『コーラン』と「ハディース」に依拠して、歴代の法学者が議論で合意に達した見解を疑うことは宗教上許されない。
>征服地の異教徒を奴隷化することは、イスラーム法上明確に規定された行為である。(近代では奴隷制の廃止という国際規範をイスラーム諸国も受け入れているが、奴隷制を規定するイスラーム法学の通説に反して奴隷制を否定する近代の法体系そのものが、違法・誤謬であるというのが「イスラーム国」の立場。
>戦闘員らは、金銭的な代償よりも、崇高なジハードの目的のために一身を犠牲にしている状況が基本。貧困が原因、ならず者の集まり、というとらえ方は一面でしかない。欧米出身者も数としては少なく、「イスラーム国」側の宣伝・強調に起因する側面に注意。
・「イスラーム国」の資金源は諸説あるが、①支配地域での人質略取による身代金の強奪、②石油密輸業者などシリアやイラクの地元経済・地下経済からの貢納の徴収といった「略奪経済」の域を超えないというのが著者の見立てであり、現状の「イスラーム国」は略奪で賄える程度の組織である。(石油密輸にしても、市場価格の1/4というダンピング価格であり、「イスラーム国」台頭以前から地元業者が握っていた権益に過ぎない)。