投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
内容は最近の新聞社説などを読んでいれば目新しくは無いが、面白い。イスラム文化という長大なストーリーを、イスラム国を軸にして読み解き鳥瞰する体裁。「グローバル化」が、民主主義を金科玉条にした価値観の押し付けになっているところに、危うさの源泉がある。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
イスラムの思想と関係各国の政治的な関与をメインにイスラーム国を解説している本。ニュートラルな立場で書かれており、さて日本の皆さんはどうする?と問いかけている。
この本は湯川さんと後藤さんが拘束される以前に書かれているのだが、安易な回答に飛びつくのではなく、この様な本を読んでじっくり検討した上で個々人が中東に対して意見を持つ事が重要だと思う。
などと言いつつ本書は難読で一回読むだけだと大まかな流れしか頭に入って来ていない。
投票権を持つ全ての方と、これから持つ予定の全ての方にオススメです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
一般の日本人が今、知りたいであろう事柄を急遽まとめたー冊。イスラム思想史、比較政治学という著者の専門家としての見解を解りやすく書いている。
「イスラーム国」を過大でなく過小でなく評価し、彼らの来歴、行動原理を分析する。
メディアに情報はあふれているが、多数派の関心事のみが強調されがちなので、本書で大きく整理できたことは良かったと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
米国の対テロ戦争やアラブの春によって既存の支配構造が崩れ、そうしてできた空白地帯に今までよりもっとヤバイ奴らが現れてしまった、というのがイスラム国ってところか。
他人に「正義」を押し付けようというなら、自分も相当な覚悟をしないといけないってことだな。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日々垂れ流されている報道では見えないことも多かろうと思い、過去からの経緯も踏まえて幅広く理解するために購入。
内容についてはすでに各方面で触れられているのでここでは割愛しますが、こうやって地道な研究や調査を続けておられる方々には頭が下がる思いです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
イスラーム国の衝撃というタイトルにあるように、何が衝撃だったかといえば、以下の部分に端的に描かれている。
「『カリフ制が復活し自分がカリフである』と主張し、その主張が周囲から認められる人物が出現したこと、イラクとシリアの地方・辺境地帯に限定されるとはいえ、一定の支配地域を確保していることは衝撃的だった」(14頁)。
さらに、「既存の国境を有名無実化して自由に往来することを可能にした点も、印象を強めた。既存の近代国家に挑戦し、一定の実効性を備えていると見られたからである」(14頁)とあるように彼らは「挑戦」をしたのだと、つまり新しい展望を切り開くかのように見えたこと。
そのように見えたことが重要である。
なぜならそれは「現状を超越したいと夢みる若者たちを集めるには十分である」からだ。
また、メディア戦略とその卓抜さも指摘される。「『イスラーム国』は…少なくとも『ドラマの台本』としては、よくできているのである。ラマダーン月の連続ドラマに耽溺して一瞬現実を忘れようとするアラブ世界の民衆に、あらゆる象徴を盛り込んだ現在進行形の、そして双方向性を持たせた『実写版・カリフ制』の大河ドラマを提供した」。(19頁)
こうした戦略は「イスラーム世界の耳目を集め…それによって一部で支持や共感を集め、義勇兵の流入を促がし、周辺の対抗勢力への威嚇効果を生んでいるとすれば」(19頁)、その効果は単なるPR以上にイラクやシリアでの戦闘や政治的な駆け引きでも有効だと指摘されている。
そしてこうした「イスラーム国」はどこから現れたのだろうか。基本的には「2000年代のグローバル・ジハード運動の組織原理の変貌を背景にしている」(34頁)。ここでいう組織原理の変貌とは2001年の9・11事件以降の「対テロ戦争」によってアル=カーイダという組織が崩壊したためである。これは「『組織なき組織』と呼ばれる分散型で非集権的なネットワーク構造でつながる関連組織の網を世界に張り巡らせ…アル=カーイダの本体・中枢は、具体的な作戦行動を行う主体というよりは、思想・イデオロギーあるいはシンボルとしての様相を強めた」(34頁)ことによる。米国によるアル=カーイダへの攻撃に伴い、「それに共鳴する人員と組織は生き残り、新たな参加者を集め、グローバル=ジハード運動が展開していった」(45頁)。この運動の展開を、以下のように筆者は四つの要因として指摘している。
「(一)アル=カーイダ中枢がパキスタンに退避して追跡を逃れた。
(二)アフガニスタン・パキスタン国境にターリバーンが勢力範囲を確保した。
(三)アル=カーイダ関連組織が各国で自律的に形成されていった。
(四)先進国で『ローン・ウルフ(一匹狼)』型のテロが続発した。
」(45頁)
(一)及び(二)はパキスタン、アフガニスタンという国家機構の脆弱な地域において組織の回復が行われたことを指摘している。これは今のシリア、イラクと似たような状況に陥っていた地域、つまり国家機構の脆弱性を突く形での勢力範囲の拡大ともとれる。一方、(三)(四)は「フランチャイズ化」と呼べるようなものであるが、これも様々な形での脆弱な部分を突く形である��特にインターネットを介しているという点が目新しいといえばそうだ。
この本が刊行された時期はイスラーム国の衝撃が盛んに唱えられていた。そのイスラーム国誕生までの経緯は2000年代の9.11テロおよびイラク戦争を背景に、90年代のジハード主義者の国内テロ路線から対米およびグローバル路線への転換、80年代の冷戦構造下における対共産圏への対抗馬たるアフガンゲリラへのアメリカの支援等、イスラームの歴史として捉えるだけでなく、冷戦構造を支え、その後の唯一の超大国となったアメリカと関連する歴史上の産物でもある。もちろんその特性が宗教的特性と無関係ではない。
しかし、私にとってのこの「衝撃」は現状の支配的な価値観、つまり近代ヨーロッパ的な様々な枠組みに対しての極端な相対化とそれを行う実効力があった事は間違いない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
イスラーム国が派生した歴史と現代におけるこういったテロ組織が生まれる経過などが詳細に記されています。イラク・シリアなどの中東をはじめとした世界に於ける紛争があるかぎりこの手の集団は消えることはないでしょう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
それまでは、ふむふむと読み進んで来たが、最後の8章はノートをとって読んだ。
世界史の知識が致命的に欠けているのを実感する。ましてや中東の歴史やアフリカの歴史なんて真っ白だ。
高校の教科書でも読んでみるべきか。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
第一人者によるイスラム国の解説本。
これは、アル・カーイダを本店としたテロのフランチャイズ化だという。もともとイスラム国も2004-6年には「イラクのアル・カーイダ」を名乗っていたが、新たな家元になった。さらに、今度はイスラム国への忠誠を誓ってイスラム国の暖簾分けを希望する勢力も現れている。
ボストンマラソンテロのようなローン・ウルフ型のテロリストが先進国の若者に現れる一方、「アラブの春」以降の中東やイスラム諸国の政府の弱体化、紛争の激化によって「統治されない空間」ができた。イラクとシリアの国境をまたいだ空間はその最たるもので,そこに世界各地からジハード戦士が集結した。特に、アラブの春によって自由で穏健な政権交代が期待されたが、エジプトであからさまに武力による排斥が起こったのをみて、イスラム過激派が勢いづいた。アサド政権もいまや、一族の生き延びを再優先の目標とした民兵集団の一つと見做すべき。
・バグダーディーというのが指導者だが、このバグダーディーは2006年から3人目になる。この名前はバグダッドの、つまり、イラン人である、ということを言いたいだけなので、イスラム国の指導者は代々この名前を使っている。2006からアブドラ・バグダーディー、同じく2006にアブー・オマル・アル・バグダーディー、2010からはアブー・バクル・アル・バグダーディー。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
テレビでよく聞くイスラム国。実際はどのようなものなのかよく知らない、ということで本書を購入。
自分が思っていたよりずっとイスラム問題は複雑で根が深い。
ただの悪の組織かと思いきや、彼らは宗教上は筋を通しており、彼らなりの正義を実現しようとしていることがわかった。
アラブの春によって露呈した中東地域の政治の脆弱さと政治力の無さには正直呆れた。せっかく独裁政権を打倒したにもかかわらず、新政権もアメリカの指導がなくなった途端に崩壊する国家というのはどうなのだろうか。
また、アメリカの絶大な影響力に中東の未来が左右されることを思うと、中東地域は少しずつで自立していくべきだと思う。
イスラムの問題は日本とは縁遠いという考えは甘かったことを痛感した。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
私が今抱く疑問、「イスラム国は一体どこから発生したの?」とか「あの映像にはどんな意図がかくされているの?」とかに対して、丁寧に、偏ることなく答えてくれた。
イスラム諸国のそれぞれの事情や、「アラブの春」の影響やアメリカの対応の変遷。
日本人にとって、直接の対話が無理である以上、逆に表面上のプロパガンダ的な映像や日本国内の中途半端な報道に惑わされてはいけないと思う。
ただむやみに怖がるのではなく、正しい理解。それが私にできる唯一の手段だ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
現在の状況が簡潔に記されているように思えて有意義な本かと。
日本社会に生きる人間、つまりは原則として米欧の志向を是とする共同体に身を置く人間から見ると、昨今の軋轢は解決不能かなと思わざるを得ない。
拠って立つ位置がそもそも違う人とどうやって共感の場を設ければ良いのだろう?この本からその回答もしくはその足掛かりは見出せなかったなぁ、、、
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
国際政治の最もホットな話題であるIS「イスラム国」を解説した本で、今年の1月に発行された本である。
ISの誕生した背景や主張、思想、活動方法などを詳しく書いており、情勢変化が速いテーマだが、まだまだ賞味期限は切れていない。
本書を手にするような読者は、ニュースや雑誌記事などで中東での動きを概略は把握しているだろうが、本書はそれらを支持し根拠や裏付けを丁寧に説明している内容になっており、読者の考えをひっくり返すような驚きはない。
今後中東の地にどのような変化が生じたとしても、混乱が収まることはなさそうな予感までも本書で裏付けられたように思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
元々国際情勢を知るのは好きなんですが、イスラム教各国に関しては知識不足でこれまで敬遠気味でした。で、最近のイスラーム国のニュースに触れる度に、このままではいけないなということで、勉強気分で購入し読んでみました。
本書は読み始めるとイスラム各国の歴史と宗教に関する平易な説明がとても面白く、構造的なものが学べて非常に興味深い一冊でした。読み終えた成果としては、911とアルカイダとフセイン政権とブッシュJrのイラク戦争とアラブの春とISISの関係性を説明できるようになります(笑) ISISの思想的な新しさと構造的な新しさを知ることは、この時代に生きる者として必要な気がします。ぜひ一読を。
また、残念だったのは、Facebookを中心としたインターネットというツールがアラブの春を裏で支えたのは事実で、たしかにあの瞬間は成功だったけど、今はその手法でISISが台頭してしまっていること。政治的に運用するわけにもいかないし、とても難しい問題だけど……(2015.2.15ごろ読了)
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
イスラムの問題の複雑さがよくわかった。イスラーム国を消滅させたとしても、また新たなイスラーム国をうむことになるであろう。解決策がまったく思いつかない。