紙の本
映画を見た人は驚くと思う。
2015/08/20 22:27
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投稿者:タナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者であり、映画「アメリカン・スナイパー」の主人公である。クリス・カイルは、アメリカ海軍NAVYSEALSの狙撃手であった。
その彼の自叙伝が映画公開と合わせて、改題の上で文庫化された。
同名の映画をみた人は驚くだろう。彼はものすごく淡々と起こったことを描写している。また、「この成果は私一人のものでは無い。SEALのチームのものである」と、彼以外にもNAVYSEALS出身者は、SEALの一員であることを誇りにしている。
そして、映画と違うのは、彼は精神を病んではいない。常にそこには、平常心を持った彼が居る。
彼の精神が強靭なのか、それとも軍の訓練の賜物か?
それは私には判らなかった。
電子書籍
本人によるノンフィクションの自伝書
2015/05/04 23:59
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投稿者:アヒル隊長 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画版も実話という触れ込みで劇場で観た。本だともう少し、個人の感情的な部分がより理解できるかと思った読んでみた。
なるほど、本人による自伝と言う事で、映画では大分と要所を取り出して脚色されているのだと感じた。
本書からは戦場に行った者が、どういう精神状態におかれてしまうのか、またその家族はどう言った想いでいるのか?
著者のクリス・カイルの妻による発言も、ところどころに同時に掲載されていてその気持ちが吐露されている部分も深い内容だ。
クリス・カイルは本当に国の為を思い、悪い奴等を仕留める事が好きな人物であった事も文面から非常に理解できる。
倒した人数が多い点は希望して戦場に向った事、時には体の傷を隠してまで戦場に残った。更にその傷を治すにも非常な苦痛をともなってリハビリをこ
なし再び戦地入りしている。
そういった数々の努力した積み重ねの上で築きあげた数字である差も大きいと感じた。
戦争についてだけではなく、家族や人としてのありかたなど考えさせる部分も多い一書だ。
巻末には解説に著者の不幸な出来事も触れられているが、正義の為に戦ったきた彼の運命とは…ともまた考えてしまう。
紙の本
戦場の光と陰
2023/11/07 22:29
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
イラク戦争で狙撃手としての記録を作ったという兵士の回想記。ただ戦果を誇るという話ではなく、そこに至るまで、そして退役以降までを含めた心理的葛藤の記録だ。まず文章や構成がうますぎる。この人物を映画化しようとしたクリント・イーストウッドが極上のライターを割り当てたのだろうが、それだけの価値があるドラマチックな物語だ。
始めは海軍の特殊部隊を志願し、水中から敵船に爆薬を仕掛けるといった作戦が本来の任務だが、イラク戦争ではそういう場面は少ない。それで地上戦に従事し、市街地を確保していく、建物の部屋のドアを一つづず開けて銃を構えて室内を制圧する、それを部屋の数だけ、建物ごとにやっていくというあの作戦に黙々と従事する。そこから狙撃部隊に志願し、そこで伝説的な戦果を上げることになる。
特殊部隊の訓練を耐え抜いたという時点で、クレバーでフィジカル・エリートなわけで、成果を出すことには不思議はない。テキサス生まれのこれぞアメリカ人といったポジティブな性格で、愛国心旺盛。イラク戦争が国を守るための戦争だと信じきって、軍に志願したのだ。
そんなわけでイラク戦争の大義みたいな話は置いておく。そういうことに関わらず、戦場というものは間違いなく悲惨な場所だ。そこで生き残り、個人で成果を上げるには、強靭さとタフなメンタル、それに素早い判断力が必要であり、彼はそれを備えていた。それは他の兵士であれば躊躇する場面でも、即座に撃つ、ということだ。
その彼も従軍中に少しづつ精神の変調をきたしていき、休暇のたびに家族との間にも距離が生まれてしまう。家族の独白をところどころに挟んでいく手法も効果的だ。
全体に、イラク戦争を正当化したり、指弾したりということはしないで、また主人公を英雄視したり悪者扱いしたりもせずに、戦場という場所に置かれた等身大の人間のありのままを描こうとしている。ある種アメリカ人の典型、あるいは理想的とされる人物像で、高い能力を持っているのに壊れていってしまうという現実が、戦争そのものへの批判になっているかもしれない。
一人称で語られる戦場の現実は、率直で、飾りがなく、生々しい。前線で真っ先に逃げ出して軽蔑された士官が、のちに司令官として出世するというエピソードにも考えさせられる。
戦争の光と陰、それはこの人物にスポットを当てていれば大きな栄光とささやかな陰というように見える。しかし少しだけカメラを引いてみれば、その栄光はごくわずかにしか存在せず、大多数が陰の中にいることが見えるのではないだろうか。どのようなカメラワークでこの物語を表現し、また読むのかが問われるだろう。
紙の本
悲しい現実
2016/05/30 11:24
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投稿者:デンジャーメロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画を観てから、読みました。双方とも壮絶。クリス・カイルがいかに悲しい人物であったかを痛感させられます。
「戦場の英雄も、帰ってみたら只にデブ、以下」
この悲しい現実も感じてしまいました。
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投稿者:しょーじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
とてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとても面白くて手が止まらなかった。
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(たぶん)標準よりも過激な愛国者のスナイパーの自伝。
敵を殺すことに対しての躊躇が全くないところが、十字軍的なものを感じます。
アメリカ国内なら爽快な話として読む人もいるだろうけど、個人的には性格破綻者の日記を読んでいるかのようでした。
奥さんの手記の方が共感できましたね。
主人公に味方がつけたニックネームが "The Legend" と読んで、地球最後の男(映画じゃ無くて、小説の方)を思い浮かべたような、そんな感じの本でした。
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どういう分野であれ「“現場”の経験談」というものには“傾聴の価値”が在るという、些か漠とした想いが、本書を読了して“確信”になったように思う…色々な意見は在ろうが、“戦争の最前線”で危険に身を晒し、「心身の限界まで己を酷使した男が、燃え尽きた」ような状況にまで至った、「熟練したプロの兵士」として戦場を駆けた著者の回顧録は非常に価値が高い!!
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映画を見て、物足りなさを感じて購入。
はやり、本を読んでよかった。
この本と合わせ、「戦争における「人殺し」の心理学」を読んでおかないと、大きな勘違いをしたままになる可能性がある。その間違いは、私たちが自分たちの立場を分かっていないことに始まっている。
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映画化原作ですが、本作は米海軍SEALの伝説的スナイパー、クリス・カイルの自伝です。
戦争とは、とか、ターゲットを撃つことに何のためらいもないことについて、とかはいろんなところでいろんな人が書き散らかしているので置いておきます。
本作、折々にクリスの妻、タヤの手記が挟まれており、ワーク・ライフ・バランスについて考えさせられました。
従軍中のクリスの優先順位はほぼ一貫して『神、国家、家族』ですが、タヤの優先順位は『神、家族、国家』です。
夫の職務の重要性を理解してはいるものの、納得するのはなかなか困難。
いつか夫の死をニュースで知るのではないかという恐怖は常につきまとい、電話中に銃撃戦が起こり通話中のまま応答がなくなるなど、心労ははかりしれません。
離れている時間が多いのに、戻ってきたら、バーで問題は起こすし、そのせいで出産に立ち会えなくなるし、そのくせ育児に偉そうに口出すし……。
タヤの絶望と怒りは深まるばかり。
当然夫婦間での衝突も。
結果的には、二人はセラピストの手を借りながら、難しい時期を乗り越え、家族を維持します。
障害をばねに愛が深まったといえば小説では陳腐なプロットになりかねませんが、そこは実話、タヤが冷静な筆致で当時の怒りを振り返るのには背筋がぞっとするものがあります。
そして読んでいるうちにこの夫婦の問題にやや既視感。
これ、うちの両親でないか……?
卑近な話になりますが、クリスにとっての国家を仕事と置き換えれば、私の両親もこういう問題を抱えておりました。
週休二日になったことを母に告げずに土曜出勤を続けた父。
平日はほぼ午前様で、珍しく早く帰ったのを喜んだ兄が「昨日、僕のお父さん9時に帰ってきたんだよ!」と友達に自慢げに話したら、そんな当たり前のことに何で喜んでいるの、と理解してもらえなかったとかなんとか。
タヤの手記を読んでいて、自分の母がどのような状況にいたかを思い知らされました。
この夫婦、クリスが尽くしたのが『国家』だったから危機を乗り越えられたのかな、と思うのですが、裏を返せば、そのくらいの大義名分でも危機を迎えるということ。
クリス同様従軍している軍人の中には破局する夫婦・カップルもやはり多かったようです。
男女問わず、クリスのような優先順位になっている人結構いる気がします。
女性の活躍を特集した記事で、とある業界初の女性役員になった人が「子育てもプロに任せたほうがいいと思って保育園に任せました」といった主旨の発言をしていて、それは両立っていうのかい、とか、保育園は子供の面倒を見るけどそれと「子育て」ってちょっと違わないかい、とか思ったり……。
家庭のあり方はそれぞれ違いましょうし、それで安定して幸せな家庭もありましょうけれども、これを『仕事と家庭を両立しながら役員になれる』というモデルケースとして示されても、ちょっと、ねぇ。
脱線はさておき、クリスとタヤのような、優先順位の違いからくる衝突はどんな形でもいくらでもあると思います。
出会った時や結婚した時はお互��の優先順位が一致していても、時が経つにつれ、仕事の内容、家族の形が変わるにつれ、それは変わっていくもの。
解決するには、結局のところ、きちんと話し合うことがもっとも重要なのでしょうけれど、それが如何に難しいことか、本書を読んで改めて感じました。
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原書房の単行本を読みたかったのだが、映画化と同時に文庫発売をネットで見つけ、思わず発売日に本屋に買いに行った作品。ハヤカワありがとう!
エリート特殊部隊の兵士としてイラク戦争に参加し、史上最高の狙撃記録を樹立し、トラウマや家庭の再生を描いた兵士のドキュメント。
ミリオタを喜ばせるだけでなく、実際に使用したライフルや服装、装備を丁寧に説明し解説している。
敵を殺したことよりも、戦友を救えなかったことを悔やむトラウマに苦しむ状況を述べている。
この作品が本当に優れているのは、若干の時間的ズレがあるのだが、妻の証言があり、夫婦・家庭の再生を描いたこの描写に、より深みが増している。
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映画を観て、原作を読みました。
アメリカ海軍特殊部隊SEAL所属の狙撃手クリス・カイルの自伝です。
訓練や実戦の肉体的な過酷さはもちろん
本人だけではなく家族の心も蝕んでいくのがよくわかりました。
戦争が悲惨なものだとわかっているのに
無くならないのは何故でしょう。
最期が悲しいです。
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個人的には主人公に賛同しがたいが世の中にはこういう人もいるのだと勉強になった。彼自身はPTSDになってたのだろうか?
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死生観も宗教心もまったく異なる米軍兵士の実録に憤っても虚しいが、こんな輩が自らを正当化し、愛国心を唱えるような国に生まれなくて良かったとつくづく思う。これからの日本もどう転ぶか不安ではあるが、ここまで排他的な民族ではないと信じたい。でも、世界で唯一の被爆国が、世界で唯一の投爆国に卑下してぶら下がり、自衛権だなどと小間使いをやるようなら、やがて国土はテロの格好のターゲットになるんだろうなぁ。
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クリント・イーストウッド監督の同名の映画の原作。著者は、イラクに従軍した後、その経験を活かしてPTSDとなった兵士のリカバリのためのNPO団体を立ち上げたという背景から、勝手に贖罪の手記だと思っていた。実際は、全くその反対だった。著者は米海軍特殊部隊SEALに所属して主にイラクに派兵され、狙撃手として射殺した相手の総数が公式記録で160人のアメリカ人史上最多のスナイパーである。人を殺したことをどう考えているかについて、「敵を殺したことはみじんも後悔していない」、「野蛮で、卑劣な悪魔 - それが、私たちがイラクで戦っていた相手だった」、「もっと多く殺しておけばよかったと思っている」、「戦争における自分の役割については良心の呵責はない」といった言葉が一貫して並ぶ。仲間の命や国家の威信は何よりも重いが、彼にとって敵の命は悲しくなるくらい軽い。
著者は常に戦場に行きたがる。たとえ傷病が原因であっても、妻に止められても、仲間が戦場にいるときにその場にいないことは、後ろめたい気持ちにさせる。自分の能力を証明したいという気持ちもあるのだろうか。そこには戦争反対を唱える人が期待するような人を殺すことへの躊躇いは一切ない。兵士としてのトレーニングの結果なのだろうか。人間の個としての攻撃性や、集団となったときの外部に対する冷酷さについて考えさせる。そういう本だ。それは著者の意図するところではないのだが。
本書は、入隊前の人生(農場での仕事やカウボーイとしての経験)から始まり、米海軍特殊部隊SEALへの入隊、そこでの過酷な訓練から実戦配備、そして史上最も活躍することとなったスナイパーとなり、除隊するまでの時系列に沿った自伝となっている。
その中に妻タヤとの出会いも含まれる。本書中ときどき、タヤがそのときにどういう状況でどのように考えていたかについてメッセージが挿入されているが、親しい第三者の視点が入ることで物語の質が高まっている。タヤは妻として著者のことを愛しているというが、不在がちであり家族よりも国家/仲間を優先する夫に対して激烈なストレスを抱えることになった。そして著者自身もそのことについては不満を抱いていないが、ストレスから心理面、体調面に大きな変調を来たしているように思える。
イラク戦争の一面の真実を描いているが、全体を描いているわけではない。ましてやイラク戦争自体の意義についてはほとんど何も語らない。あくまでも現場の非常に優秀なアメリカ兵士から見た戦争が描かれている。
あとがきによると、著者が皮肉にもPTSDの悩みを相談しにきた元兵士に殺されるという衝撃的な事件の前に、すでに相当のベストセラーになっていたということなので、この内容がアメリカでは多くの人にそのまま受け入れられたということだろう。もちろん戦争をむやみに美化するするものであるとか、命の大切さやイラク戦争の意義への反省がなされていないなどの批判も多かったことだろう。また、SEALでの訓練やイラクの戦場での描写が興味本位の人にとって読む理由になったことも確かだろう。それでも、著者の主張に心から賛同する人も数多くいるということもおそらく正しい。
ここに書か���ていることを事実として当然理解できるし、著者のように感じることがいるであろうことも推測することもできる。立場が人を作るということでいうと、そういった仮定をすることが意味があることかわからないが、自分がそうなっていたかもしれないということも想像することもできる。それでも、著者の行動に感情移入することはできない。自分が世の中の情報のソースとしているSNSで著者や著者を支持する人の主張を見ることはほとんどないだろう。自分の嗜好によってフィルタリングされているからだ。一方で、著者の言葉に心から賛同する人のSNSには、その嗜好に沿った言葉が並ぶ可能性が高いだろう。少なくともこの本がベストセラーとなったアメリカなら。ネットによる情報社会の「フィルターバブル」とはそういうことだと思う。
読まれるべき本だとは思わないし、賛同もしない。それでも逆に自分としては、この本でなければ触れることのなかった意見や情報に触れるという意味において、何かしらの理解が得られるような本であったのではないかと思う。
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同名の映画の原作本。
アメリカ海軍特殊部隊SEAL所属の狙撃手クリス・カイルの手記。時折、彼の妻の手記かかれている。
現場の記録として、重要な記述もある。
「別の場所では、化学兵器に利用されるはずだった化学あ物質の詰まったドラム缶が見つかった。イラクに大量破壊兵器はなかったと言われているが、そう言う連中は完成した核爆弾しか頭にないらしい.... 理由はおそらく、ドラム缶に描かれていた輸入先がフランスやドイツだったからだろう。」....
彼は多くの戦争に参加し、多くの場所で、祖国と家族と、そして仲間のために、多くの敵を射殺した。
自分の命を的に差し出し、敵と直接命の取引をした。
あまりに多くの人の死と向き合ってきたため、人の命は突然にでも断たれることがあると受け入れ、そして人は代替要員に交換しうると考えているようだ。
その闘いの記録が、優秀なスナイパーだった一兵士の目を通して語られる。
本書には書かれていないが、彼は退役後、自らが支援してきたPTSDを患っていたとされる退役軍人によって射殺される。
おそらく彼は、その死を素直に受け入れたのだろう。