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みんなのレビュー84件

みんなの評価4.4

評価内訳

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83 件中 1 件~ 15 件を表示

オシムの魅力を余すところなく伝え、ユーゴの戦火と現代をつなぐ糸を鮮やかに浮き彫りにしたすばらしいノンフィクション。

2008/07/14 23:12

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:悠々楽園 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「オシムの言葉」というタイトルから、オシム語録的なものを--ジェフのHPにあったような--をイメージしていたが、全然違った。
 この本は著者の木村元彦さんの、旧ユーゴスラビアに対する強い愛着と関心(なぜその地域に関心を持ち始めたのかは書かれていないのでわからない)の上に立ち、周到な計画と綿密な調査、精力的な取材に基づいて書かれた素晴らしいノンフィクションであった。
 旧ユーゴの崩壊とボスニア戦争の記憶は、すでにわれわれの記憶の中でその影を薄めつつあるけれど、元々同じ国の民であったいくつもの民族がモーレツな殺し合いを始めたという事例は近代ではあまり例を見ない凄惨な事例だったのではないか。
 ソ連が崩壊した今、最も複雑な多民族国家は中国であろう。世界中で「フリー・チベット!」を叫び、デモ行進が行われ、警官と衝突する事態が起こっているが、人々をそういう行動に至らしめるメンタリティや国際認識は、民族自立意識の高まりという時代の流れが作り出したなどと歴史家たちは言うのかもしれないが、渦中にあってその時代を生き抜いてきた人々にとってはそんな簡単な話であるはずもない。
 オシムと彼の家族は、まさにそうした渦中にあって翻弄されたのだった。オシムという監督の複雑なメンタリティを理解するのは簡単ではなかったが、この本を読んで以前よりは少しわかったような気がする。彼自身はおそらくはそれほど複雑な人間ではない。ただ彼の生きた環境の複雑さに対応するために複雑にならざるを得なかったというだけだろう。わかりにくいといえばわかりにくい――ユーモアとアイロニーと警句に満ち、そしてもちろん深い洞察を感じさせる――言葉が、オシムの意図する通りオシムという人間を煙に巻いてきた。しかし、彼はなぜだか憎めない愛すべき人間として私たちには感じられたし、彼の発する言葉は、多くの場合強い説得力をもって耳に届いたのだった。そう、一言でいえば魅力的な人物。
 日本代表監督になって、試合後のコメントは少なくなり、テレビを見ている私たちは――とりわけ試合に負けた時には――オシムの姿を正視できないほど会見には緊迫感が漂っていた。「選手たちはみんな一生けん命やっているではないか。あなたはちゃんと見ていたのか? 何を言いたいのだ?」。勝ち負けだけでしか評価しない世間、もしくはメディアという存在の理不尽さに対する恐れと怒り。ユーゴ時代の記憶とないまぜとなって押し寄せたプレッシャーは大変なものだったろう。しかし、オシムはチャレンジしたのだ。結果は本当に残念だったけど。
 私はこの本を読んで、オシムが日本に来てくれて、日本のサッカーを指導してくれたことの意味の大きさを今一度噛みしめ、「本当によく来てくれたなあ」と感謝の意を強くしたのだった。事はサッカーだけにとどまらない。日本や日本人に足りないものを示唆し、日本の良さを引き出し鼓舞してくれたという意味でもその影響は大きかった。
 紹介したい言葉は数々あってきりがないが、最後に一つだけ私が共感した言葉をあげておきたい。

「作り上げることより崩すのは簡単なんです。家を建てるのは難しいが、崩すのは一瞬」。

 オシムの言う「家を建てる」とは「攻撃的ないいサッカーをする」という意味でもある。しかし、言うまでもなくサッカーに限った話ではない。自然だって倫理だって人間関係だって仕事だって、作り上げるのは難しいが壊すのは簡単だ。しかし、人しばしば、それこそ石ころでも蹴飛ばすように、考えもなくたたき壊してしまう。
 ところで、私がオシムが好きなのは--オシムのサッカーが好きだったのはと言い換えてもいい--、実はこの言葉に続いて次のようなことを言ってくれるからなのである。

「作り上げる、つまり攻めることは難しい。でもね、作り上げることのほうがいい人生でしょう。そう思いませんか?」

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言葉がもつ力を、オシム氏が教えてくれた

2022/05/12 16:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

イビツァ・オシムのことを覚えているだろうか。あるいは、その問いは、知っているだろうかの方が正しいかもしれない。
 サッカーの旧ユーゴスラビア代表監督としてサッカーファンの間ではその名前を知らない人のいなかったオシム氏が日本のJリーグのチーム監督として来日したのが2003年、その後その手腕を買われサッカー日本代表監督に就任したのが2006年、そしてわずか1年後には脳梗塞により監督を辞任。
 あれから随分月日は流れた。
 しかし、その短い期間ながら、オシム氏のことを忘れていない多くの人がいるはずだ。
 それほどに、オシム氏の口にした言葉が際立っていた。
 彼の言葉はサッカーファンだけでなく、あの当時の若者やビジネスマンを魅了した。

 本書は『オシムの言葉』というタイトルではあるが、名言集のようなものではない。
 2005年度第16回ミズノスポーツライター賞の最優秀作品となった、ノンフィクション作品だ。
 もちろん、主役はオシム氏。
 彼の出身地ユーゴスラビアが分裂紛争にあい、戦火のせいで妻と数年にわたって会えない生活を送ったという半生を描きつつ、彼が監督として選手たちに投げかけた言葉の数々が、選手たちの言葉として書き留められている。
 つまり、「オシムの言葉」はすでに彼のもとを離れ、選手たちや彼と接した多くの人の血肉となっていることがわかる。
 それこそ生きた言葉だといえる。
 言葉がもつ力を、オシム氏が教えてくれたといえるだろう。
 ※イビツァ・オシム氏は、2022年5月1日80歳でその生涯を閉じた。

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オシムの言葉

2015/08/24 10:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジェフ市原(現:ジェフ千葉市原)の監督として、日本サッカー界に旋風を巻き起こし、その功績が認められて2006年にサッカー日本代表監督に就任したイビチャ・オシムの半生を記したルポルタージュ。彼の一見穏やかだが、ずばりと本質を突く皮肉な言い回しは、彼が体験してきたことが影響している。旧ユーゴスラビア代表での、選手起用における様々な圧力をはねつけるには、相当強靱な精神力が必要だったはず。有形無形の圧力をものともせず、彼は代表の勝利のために全力を尽くす。凄惨極まりない内乱下での状況を生き抜いたのは、ただただ運がよかっただけとしか言い様がない。多種多様な民族が曲がりなりにもうまくいっていたい制度を壊した独裁者を、私は心の底から憎む。体調不良のために日本代表監督を退任せざるを得なかったが、もし彼がこのまま監督をしていたら、サッカー日本代表の行方は違ったものになっていたはずだ。なお、この本は改訂版が出る前のものである。

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2008/06/05 19:58

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2008/06/22 19:17

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2008/06/26 21:04

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2008/12/14 00:38

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2009/01/09 07:25

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2009/01/19 06:40

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