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鬼だらけ
2020/10/11 18:41
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻の不倫の相手の男を殺そうと、全国を追い続ける男。逃げ続ける男は、その非道さに鬼と呼ぶ。その鬼を追う元刑事がいる。また追う男、逃げる男を助ける男、立ちはだかる男がいて、みんな鬼である。なんで日本はそんなに鬼だらけになっているのか。現代においてはセックスに関する情報が氾濫し、脳が灼かれ、嫉妬に狂うのだという。いささか情けない鬼ではあるが、狷介にして苛烈な性格による行動は容赦がない。
そして山形から九州へと逃亡と日本を縦断する逃亡と追跡の旅が続くが、どこにも鬼はいる。山奥の小さな村は、今ならgoogle mapで見つけてTV局が乗り込んで行きそうなところでも、昭和の頃なら平家の落ち武者部落かと思うようなところが残っていて、ここにもまた一度決めたらテコでも動かないような頑固一徹の鬼がいて、またそこら中に仁義に篤い鬼がいたりもするのだ。
彼らが出会うことで、案外お互いに自分のことを客観視できたりして、いい加減にしろと言いながら、自分は変わりはしない。その諧謔的な人間関係と、熾烈な闘争が平行して進んでいくのが、どうにも妙な雰囲気になっている。このすっとぼけた距離感が、西村寿行の後期の持ち味になっていくのだが、それがストーリーの後半あたりから覚醒していく感じがある。
彼らの行動が常識はずれで、浮世離れしているのはたしかだが、それもやってるうちに自覚するようになる。だがやめるわけにはいかない。行くところまで行くしかない。愚かな男たちと言わねばならない。人妻キラーの男も、実は人妻に喰われまくっているだけで、そこから抜け出せないだけだったりする。闘争は過激になり、世間を巻き込んでいく一方で、現実社会は彼らを押さえつけ、取り込んで行こうと冷徹な論理で圧力をかけてくる。
妥協点はない。そして勝つのは現実であり、また女でもある。
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