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決して耐えることも慣れることもできない恐ろしさに放り込まれて
2006/07/09 23:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作で八面六臂の活躍を見せた癌病船は、イタリアに寄港した。その時ミラノの病院で大物テロリストの情人が謎のウィルスで死のうとしていた。南アフリカからリビア経由で入り込んだ女は、その経路のどこかで感染したと思われる。テロリストはウィルスをまき散らしながら逃亡している。折しもソ連の原潜がアメリカの攻撃を受けて沈没したと発表され、東西冷戦の緊張が一気に高まり、黒海に艦隊が対峙する。さらにリビアから帰国途中のソ連軍飛行機が撃墜される。
癌病船と船長白鳥鉄善は、ウィルスによるパニックの発生を防ぐべく、政治・軍事的障害を突破し、イタリアからスペインへと秘密警察、CIAと協力してテロリストを追い、ウィルスの秘密を探るためにボツワナからリビアへ至るまでの密林探索行を進む。
ウィルスとの死闘だ。ウィルスの正体を突き止め、ワクチン製造にかかるための研究調査と、欧州での感染拡大とのスピード競争。判断や行動の遅れ、方向性のミスは、即人類の敗北につながる。癌病船に後退は無い。不退転の決意は文字通り。
そしてウィルスの秘密の中には、地獄絵図があった。人間の因果の恐ろしさとして、これほど凄絶で禁忌を犯すものはちょっと他に思い当たらない。犠牲者は発狂する。この暗黒のイマジネーションには驚嘆しかない。病院スタッフも狂いかける。常人の耐えうる範囲を越えている。そしてその地獄を、癌病船は突き進む。なぜそうまでしてと問うなら、やらねばならないから。そうであっても、実行できる者は多くない。ほとんどの者は、理解はしても、自分がその役にはなりたくないと思うだろう。それが当然だ。
船長、その地位が生む使命感、そして命と人類に対する責任。そうだとしてもこの意志の強さ、とてつもなくおぞましいウィルス連鎖に立ち向かう力は、超人的に思える。ファンタジーとしてはリアリティが有り過ぎるし、しかし現実としたら悪魔的過ぎる。
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