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紙の本

滅ぶより逃げちゃえ

2009/05/19 23:30

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

畢竟、滅びの美学と言えば、東は真田十勇士、西は尼子十勇士としたもの。尼子氏は毛利によって一族を滅ぼされながら、幼少の孫四郎だけが人目を忍んで落ちのびる。瀬戸内海の小島に棲む謎の老人に拾われて奔放な若者に成長するが、その存在が山中鹿之介ら尼子残党に伝わって、名家再興の旗頭に据えられることになる。
孫四郎は、うら若い乳母とともに行くあてもままらない逃亡、島を離れて世の中を知るための旅、勝久と名を改めて尼子一党を率いてからの脱走に近いような彷徨と、少年期の多くを旅の中で生きてきて、城を造り領地を守るという武将の生き方にはかけ離れた価値観を身につける。彼の深く関わった村上水軍や、倭冦の生き残り、主君を離れた武士、女忍者集団、そして子供の時から行動をともにする狼のなどに大きく影響を受けたものだが、それらは大きく変動し始めた時代の流れを捉えたものでもあった。武芸を重視し、毛利元就を策略家として軽く見たことが致命的となったような尼子の武士団には到底相容れない、むしろ従来の武家体制を破壊しようとする信長や秀吉などに近いものだった。しかし孫四郎は、己のおもむくままに行動し兵を動かすようなことのできない血筋に縛られて、滅び行く確かな予感の中にいてのがれることができない。
尼子の頭領として滅びてく運命を受け入れるか、まったく新しい人生を切り開くのか。おそらくこの時代には同様の岐点に立った人は多かったのだろう。勝者と敗者の分岐点もそこにあった。奔流のような時代の動きの中で、それを見分けられる目を持つことは困難だし、単なる運によるところも大きかったかもしれない。孫四郎も実のところ細かい理屈を考えているのではなく、自分にとって窮屈な体制から生理的な反応として逃げ出そうとしているに過ぎないが、うん、つまり逃げちゃえばいいんだよな。むしろどう足掻いても滅ぶしかない道筋なら、とにかく思いのままに逃げ出すというだけでも正解な場合だってあるのだ。そういうぎりぎりの選択の場面が、この戦国時代に次々と滅ぶ者達や、入れ替わる強者達が行き過ぎる中で、明滅しては飛び去っていく。何もかもひとときの幻だとでもいうように。
その一方であくまで剛直を貫いた、裏の主役とも言うべき山中鹿之介達の生き様も見事、水軍達の立ち回りの素早さも、狼の悪太郎の幻惑的な動きの活躍も、みな激しく己を貫いている。その中を孫四郎は逃げる。逃げ切れるかどうかは知ったことではない。それでいいんじゃなのと。

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