同様の境遇にある者としては
2015/08/08 20:47
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投稿者:サラリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
既に私は退職したのですが、同業他社で勤務した者としては、非常に参考になりました。ソニーといえば、我々の業界では最高峰に位置する会社であるものの内部の実態が本書のようであるならば、今日の状況も納得できます。これを読まれたら、「さよなら僕らのソニー」もおすすめです。
日本の縮図なのか?
2015/08/06 09:13
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投稿者:みるお - この投稿者のレビュー一覧を見る
会社体質の変遷による崩壊と、終わりない人員整理による崩壊で過去に積み上げたものが凄い勢いで瓦解していく様が当事者の口から語られるリアルで物悲しい
それでもまだソニーは持ちこたえているのだから、私は妙に感心してしまう
2024/06/06 11:21
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投稿者:Patto - この投稿者のレビュー一覧を見る
先ず「第6章 切り捨てSONY(2012-2013)」の「1 人事部の哀しみ」を読んだ。
早期退職を勧めるソニー人事部の辛さがわかる気がする。
真っ先に「贅沢三昧」の経営幹部をリストラすべきことは十分わかっているのに、下っ端の社員だけを解雇しなければならない、という辛さである。
そういう片手落ちという思いはあるが、結局、下っ端の社員をリストラすることはやるべき仕事だからきちんとやっている。
ソニー人事部にリストラ担当の「吉松」という有能な女子幹部社員がいて、彼女がどこか腹の底ではリストラ対象者らを軽蔑しているように感じられるのは、私の偏見であろうか。
「吉松」女史は平出社長に見惚れて「水晶のように透き通って翳りのない真っ直ぐな眼差し、そう、彼は全世界16万人の社員を率いるCEO」と評しているから、リストラされる男どもには目もくれない。
また、こんな話を知人から聞いたことがある。
ある米国系半導体企業では、1990年代中頃、ヒューマンリソースの女性マネージャーが律義にせっせと社員をリストラしていたという。
女性らしく生真面目にオヤジたちに迫っていたらしい。
そういう話も、私の中でネジくれて偏見のようなものになったかも知れない。
その会社のOB会には退職者や現役が大勢参加するが、怨念を感じるのだろうか、その女性マネージャーは参加していないという。
話をソニーに戻すと、リストラは人事部も例外ではなく、リストラをしながら自分たちも「お前も早く辞めろ」と肩を叩かれているように感じていた。
ソニーの誤算は、有能な女性人事部長だった「井原」女史が辞めてアマゾンに転職し、更に約1か月後に有能な「吉松」女史も辞表を提出したこと。
「ソニーは一挙に2人の有能な人事部幹部を失った」。
しかし、そういうことでソニーの経営幹部が動じないだろうことは、容易に想像がつく。
原田節雄氏の 『ソニー 失われた20年 内側から見た無能と希望』にこう書いてある:
<創業からずっとソニーは技術の会社だった。世界へ進出し、日本企業に先駆けて海外で株式を公開し、世界のソニーになり、保険会社や映画会社を持つ、日本でも稀な業態の国際企業に発展した。それが、出井が社長に就任する頃から、組織と制度をいじくる経営ゴッコの会社に変った。>
<アメリカへのリベンジを目指したソニー創業者の時代が終り、高学歴社員によるソニー経営が始まった。現場での労働を嫌い、未知への挑戦を嫌う高学歴社員で占められた今のソニーに、かつてのベンチャー精神は甦らない。
出井の過ちは、ソニーのガバナンス改革と委員会等設置会社への移行であり、それは経営の監督と執行の分離を目指すもの。経営の監督ができる者は、経営の執行が出来なければならないが、それを分離した。
経営の監督をしているつもりなのに経営がわからない人や、経営の執行をしているつもりなのに経営がわからない人がエラくなった。
人間の問題を置き去りにして、組織と数字の話ばかりしている。それが出井時代から続いているソニーの問題だ。>
<ソニー経営者の終戦時の年齢と特徴
井深 +37歳 諦観(自由への歓喜→技術開発)
森田 +24歳 復讐(米国への凱旋→市場開拓)
大賀 +15歳 自失(自我への模索→名声願望)
出井 +7歳 飢餓(物質への羨望→贅沢三昧)
平井 -15歳 飽食(明日への迷走→無為無策)>
出井伸之氏以降のソニーは、「名声願望」「贅沢三昧」「明日への迷走」 等の「経営ゴッコの会社」という表現がピッタリするようだ。
それでもまだソニーは持ちこたえているのだから、私は妙に感心してしまう。
あんときのソニー
2018/08/13 23:22
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投稿者:nakyama - この投稿者のレビュー一覧を見る
たしかプレイステーション3が出たころ、ソニー株を買ったことがありまして。ただ手放しにソニーがいい会社なのかはよくわからなくて、他におもしろそうな銘柄がちょうどなかったので、安全牌のつもりで一時もっていたところ、じわじわと株価が下がっていき、何割か目減りしたところでやむを得ず損切りしたという苦い記憶です。株の売買を判断するのに各種の指標ではなく、その会社がおもしろそうな製品、サービスを出しているかどうかで判断したいと思っていて、その時のソニーに対する自分の評価の答え合わせが、ちょうどこの本になりました。うーん点数、60点...くらいか。なぜだかパッとしないな、とは思っていたけれど、会社の内情が、こんなことになっていたとは!勉強になりましたとさ。
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どういう基準で選ばれるか、たまたまその部署に配属されたから、コネがある人だけが残れたり、不公平感を感じる。
たまたま会社を辞めるタイミングが早期退職者制度とマッチしていたから多額の退職金をもらったり、その人の人生のタイミングでいいも、悪いもあるのだなと思う。
リストラされない、スキル、人脈をもってないといざという時に誰も守ってはくれない。
会社設立当時の井深さん、盛田さんの理想はすばらしいのに、会社がおおきくなると、それを維持するのは難しいのだろうか。
あと、興味深かったのは、工場を閉鎖する際、その市長にまず挨拶にいくところ。確かに、わかるが、だから企業と地方工場の癒着が生まれるのだなと思った。
しかし、辞めなくてもいいスキルの人が、辞めて他の企業特に海外メーカーへ転職していき、そこで活躍するとなると、一企業の衰退問題だけでなく、日本企業としての衰退にもつながってくる。
「社員が朝、鏡の前に立った時、さあ今日もがんばるぞと燃えられる会社」を目標としてきたが、そう思える人はリストラされた人に多いというのも皮肉な感じがした。
ブランド力ってあっという間に、変わるんだなとさみしくもなった。
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一気に読みきった、日本のもの作りは何処に向かってるんでしょう…
どんな大きな会社でも社長次第で傾いちゃうもんなんですね~
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この本で、リストラ後の再出発が示されてるのはほんの数人。他の数万人はどうしてしまったのだろうか。日本の一流企業(と呼ばれてる)の内面が垣間見れ興味深い。一方で、SONYが復活の原石をどんどん自ら消してしまっているようで、悲しい点もある。
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ソニーの1990年代後半からの一連のリストラ試作の歴史について学ぶことができた。出井氏以降のトップの施策を痛烈に批判しているが、かなり偏っているように見える。ビジヘスサイドからのアプローチを見てみたい。
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読了。新聞報道等でソニーが厳しい状況であるのは知っていたが、あのソニーがこんなにも苛酷なリストラをしていたとは…昔、テレビ事業部が元気な頃に大崎TECに出入りしていたので衝撃的だった。また、人生や仕事についてあらためて考えさせられた。
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会社が衰退するとき、その原因はどこにあるか。
従業員か。経営者か。
単純にそう切り分けて説明できるものでもないとは思う。
しかし、痛みを伴う責任を取るのは、立場の弱いもの。
仕事の実力、組織遊泳術、運不運など、どの要素が大きいのか知らないが、一歩でも組織の真ん中に近く、高い職級を得たものが、その下のものを蹴落とす。
「あなたのために次のキャリアを」などという、うすら寒くなるような言い訳ともいえない言葉で、人をはじき出す。
自分が就職活動をしていたころ、まだSONYは輝いていた。
学歴不問はウソ、などいってることとやってることが違う会社だな、と思ったものの、理系の連中は少なくとも、他社とは違って面白く仕事に取り組めそうな会社だと思って見ていた。
しんどいのはここだけではない、もっとえぐい職場が、万一就職先を間違えばあったんだと思った。
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この本、数か月前に購入したのですが、あのソニーがああなってしまったのか、という悲しい思いが先行してしまい、しばらく積読になっていた本でした。
先月末(2015.6)米国主張する機会があり、長時間のフライト用に持って行った本のうちの一冊で、飛行機の中で悲しい思いで読み終えました。
ソニーと言えば、学生時代から、ウォークマン、ビデオカメラ、8ミリポータブルビデオレコーダ等、多くの製品を憧れとともに、何か月分のアルバイト代をつぎこんで買ってきたので、思い入れが大きいです。
私が就職をした平成元年頃、歴史的な「売り手市場」だった時期、ソニーの人気は抜群で、理系で大学教授の推薦が効かずに入社試験があった唯一の会社だったと思います。それでも多くの同窓生が各学科一人の割り当て目指して試験に臨んでいました。
そんなソニーから変わってしまった現在の姿が、この本には克明に書かれています。創業者の事業を引き継ぐのは難しいと、よく中小企業では言われることですが、創業者が偉大であるほど、大企業であっても似たような状況になるのでしょうね。
私も以前勤務していた会社で経験がありますが、何度も行われる早期退職制度は、徐々にモチベーションを失います。ソニーも17年間で6度、合計8万人がリストラされたわけで、リストラに怯えながら、また転職するかどうかの悩みとともに仕事をする時間が長くなって、業務にも集中できないことが容易に予想されます。
昨年(2014.7)に、我が家は遅まきながらテレビを地デジ化して、購入したのが、ソニーの4K(829万画素)テレビ、その素晴らしさに1年経過した今も楽しんでいます。まだまだ素晴らしい製品を開発、生産する技術がある会社なので、この時期を乗り越えて、昔の魅力ある会社になって欲しいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・新しい世の中や画期的な発明、発見はたいてい異端者によってもたらされた。日本企業のなかで異端の才能を最も評価していたのは、かつてのソニーだった。その異端者たちがリストラ部屋に収容されるところに、その後のソニーの不幸があった(p30)
・転校生を待っているのは、教室に漂う違和感である、私は誰も知らないのに、みんなは私を知っている(p33)
・社内公募はソニーらしい制度だが、所属上司の頭越しの移籍なので、新たな部署が気に入らなかったからといって、元の部署に戻ることはまずできない(p39)
・携帯電話メーカは、製品を販売したところで商売が終わっていた、これに対して、プリンタメーカは赤字ギリギリで本体製品を売り、いったん売った客に純正インクを販売し続けることで、利益を回収する戦略をとっている。ソニーのプレーステーションも同様、ゲーム機本体を売ったのちに、多くのゲームソフトで新しいビジネスに繋げている(p43)
・ソニーのリストラがマスコミに取り上げられるのは、98年の「セカンドキャリア支援」制度が管理職にまで広げられた翌年、6代目社長について5年目の出井氏が99年3月に、大がかりな経営機構改革を発表した(p68)
・ソニーが大きく利益を出しているものの一つは、CMOSイメージセンサー、これが屋台骨を支えている。これは絶対モノになると信じて開発をやり続けた結果である。これを経営数字でがんじがらめにして目先の利益で評価しようとすると、リスクはとれなくなる(p78
・リストラ便乗組や、数字合わせの人事部員が現れるのは、ソニーの社内にモラルダウンが広がっていたことを意味する(p83)
・2007年春、ソニーは新本社に移って行ったが、その時、3種類の人間が「ソニー村」に取り残された、リストラ部屋の人々、研究者やエンジニア、そして、5代目社長だった大賀氏(p85)
・米国流の出井氏は、これからはモノづくりができなくても、「経営」という技術さえ備えていれば、世界最大の企業も成長させていけると考えた(p88)
・研究の計画を話して、その席で「いいね」と言われたら、やってはいけないテーマ、皆が知っていてできそうだと思う話は、価値がほとんどない。「とんでもない、やめろ」、と言われた方が価値がある(p100)
・よく「社風」なんて言うが、本当は「社長風」があるだけ。大将の一人か二人変わるだけで会社は変わる。ソニーもガラッと変わる。今からでも再起できる(p128)
・管理職の役職定年制度は、元副社長や役員たちでさえ、「一番やってはならなかった」と口を揃えるリストラ策(p134)
・自分がリストラの対象になるという自覚の低い社員ほど抵抗は厳しい(p192)
・ソニー労働組合は、1961年に会社側と激しき対立して分裂し、現在は労使協調路線を取る「ソニー中央労働組合」が多数派である(p221)
2015年7月20日作成
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ソニーの黄金時代を知る者にとって本書で描かれるソニーの姿はとても残念だ。経営陣の失策は度々語られるが凋落の原因を経営陣へ安易に求める一般社員にも問題がある。設立趣意の「自由闊達にして愉快なる理想工場」は傍若無人を許容することではない。経営陣を悪とし現場技術者を善とし勧善懲悪議論に持ち込んでしまうサラリーマン根性にソニー弱体化の本質を見てしまった気がする。
経営幹部にも研究テーマを極秘にする近藤氏のエピソードがソニーらしさの美談のように語られているが、それは近藤氏の実力だから許されたこと。アップルより先にタブレットの開発を進めていたとあるがiPadより優れたものは決して生み出すことはできない。技術と製品のバランス感覚の優れた発明者が数多くいたことがソニーの強さだった。研究開発と商品企画の土壌は完全に分離し自己防衛と他者批判に走ってしまう文化が根付いてしまっている。志願してキャリ開に行く社員がある種のカタルシス的に描かれる一方、リストラ執行人として立ち回る人事の苦悩が切ない。ソニー復活はないのだなと感じさせられる本である。
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ソニーの人切り実態をレポート。なかなかにエグイ現実である。そうなったら自分は強く立ち回れる自信がないです。
個人の問題でもあるがやはり社会システムが受け皿を提供してほしいと思うのは甘えだろうか。
有利な退社条件を得て次の環境へ飛び込める人は凄い。
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僕らの描く自由闊達にして愉快なる理想工場のSONYが1997年以降繰り返した人員削減の歴史を綴る一冊。盛田昭夫のソニーはレイオフをしない、との対比が興味深い。構造改革の先に終わらない整理を続ける姿が語られる。メモ。(1)個性ってものは無駄の積み重ねの様なもの。(2)部下の個性と能力を知り、その業を生かすのが管理職や会社の仕事だ。リストラ部屋行きを通告する事で、その務め自体を放棄しているのだ。(3)naver too late.だよ。遅過ぎることなんかない。
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昔のSONYは技術者天国のいい会社であったらしいが、高度成長期の大企業は、どこもそんな側面があったのかもしれない。でもやはり腐っても鯛、大企業は違うと思った。
少し期待外れかな。雑誌連載記事をそのままくっつけた感じだ。前に読んだ清武氏の著作がよかっただけに残念だ。
それとも、今、村上春樹の作品を読みたくてうずうずしているので、読み急いでしまい、印象が薄かったのかもしれない。