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作風としては本格ミステリとホラーの融合とのことです。時代背景は戦後まもなくの昭和、まだ生活が全て便利にはいかない地方の山村、主役の探偵は怪奇幻想作家、彼が取材を兼ねて訪れた村で起こる怪死事件!という流れで、民族学、伝承のうんちくも盛りだくさんで、少々疲れる部分はあるものの、ホラー的描写も効いていて、最後の謎解きに向けての伏線(読んでる時は全く気づかず)も巧みであり、ラストのどんでん返しも予想外の展開でとっても満足のいくミステリらしいミステリでした!
時代背景といい、ホラー趣味といい、さらに殺人における判じ物と、往年の横溝正史の金田一シリーズを思い出させてくれます。おそらく作者は相当影響を受けてるのでしょう、『八つ墓村』の恐怖は今もなお鮮明に心の隅に留まっています!もっとも小学6年の頃だったので感じる心も今と違い、ナイーブだったと思います。(自分でナイーブとか言ってちょっと恥ずかしい)
しかしながら解決へ導かれるプロセスは非常に論理的であり、主人公の怪奇幻想作家刀城言耶も、カミソリの如く切れ味鋭い推理で犯人を当てるのではなく、可能性を一つずつ検証していく中で真理にたどり着く…という解決のスタイルが親近感というか、臨場感というか、読者をその場へ引きずり込む勢いで迫ってきました。
そして最後の最後にホラー的モヤモヤ感を残すカタチで終幕となり、終わり方としても余韻に浸れるところが好みでした。
次は評価の高い『首無の如く祟るもの』に行く予定です、こちらも楽しみなんですが、まだまだ暑いから…頑張って読みたいと思います。
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本屋で表紙がずらっと並んでいるを見かけてから気になってた刀城言耶シリーズの一作目。
比率はホラー7、推理3くらい?
現代になりきっていない戦後の日本、隔絶された因習が根付く村、旧家同士の対立・・・
巻頭の系譜を何度も見返しながら横溝正史作品を楽しんだことのある人には特にしっくりくると思う。
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このおどろおどろしい表紙と題に惹かれ(爆)、一体どんな内容なのか、半分こわごわどきどきしながら期待を持って(笑)購入してみた。
ところが、、、
読み始めたのっけから、あまりのおどろおどろしさに続読を挫折(--;。
いろいろあって(何)、ようやく続きを読むに至ったわけだが・・・
先にも書いたが、まずのっけからこの話はとにかく、怖い(--;。
いきなり祈祷所みたいな場所から始まり、イタコならぬ「案山子様」を前に憑き物落し(汗)
まぁその描写が凄く怖い(T_T)・・・またその憑き物落しが終わった後、憑座(簡単に言えばいたこ役)の役目の紗霧が憑依させた依代を川に流して帰るまでの様子も、もう読んでて逃げ出したくなるくらい、怖い。
・・・私が耐え切れず「この話がホラーなら読むのやめとこ(--;」と思った気持ちも、そんな出だしだったからなんである。
だが更に読み進むと、この話しの舞台となる暗く小さな山村へ、一人の客がやってくる。
「探偵役」刀城言耶の登場である!
この物語の中でまず第一に私が「面白い!!」と思った登場人物は、やはりこの刀城言耶だ。
だいたいこいつが登場した側から、その特異な性格がモロ出しで、興味ある話題にはTPOを忘れずかずか入り込んでゆくずーずーしさに、まー度肝を抜いた!
(殺人事件の舞台となる神々櫛村へ向かう道中のバスの中で、村人の噂話にいきなり首を突っ込むくだりなど、読んでてヒヤヒヤしたほどだ(--;)
・・・だが彼がやってきたことにより、迷信や言い伝え、しきたりに塗りこまれた暗く陰鬱なこの村に、一条の光が差し込み、ぼんやりとした「希望」のようなものが生まれてくる。
刀城言耶というなんとも風変わりな、それでいて憎めない彼の性格も多分に影響しているのだろうが、彼の論理的分析により、それまでただただ気味が悪いとされてきた出来事も、濃い霧が少しずつ晴れてゆくように日の光が当てられ、解明されてゆくのである。
読み進んでゆくにつれ、次々死人が出てゆくのは仕方ないとして(苦笑)、
初め真っ黒に塗りつぶされた絵が、少しずつ漂白され全貌が明らかになってゆくような、そんな感じで謎が解明され、少しずつ安心感をともなってゆく。
だが最後まで読み終えた後も、依然としてこの物語の中には釈然としない謎が残る。
なんとも薄気味の悪い感覚・・・(別れを告げてバスに乗り込んだ刀城言耶自身がそのことに気付き愕然とするのだが、)
この物語の中には、合理的説明だけでは決して片付けられない、其処かしこの闇に潜む禍々しい気配、村に伝承されている怪異、その境界線が非常に曖昧である不気味さが、常に存在するのである。
最後に。友人はこの小説のことを簡単に、
「そうですね。。横溝正史みたいな感じですよ。
刀城言耶は言ってみれば金田一耕助みたいな感じでしょうか」
と表現していた。
なるほどそうかもしれない。だが、私に言わせると刀城言耶は金田一耕助よりアクが強い(笑)。
いいヤツではあるんだけど、金田一のように温厚で人畜無害的な感じでは、ない。
事実は事実として伝���、自分の意見をはっきり言うし、事件の最中でありながら自らの好奇心を決して隠そうとはしない。
刀城言耶というキャラクタが活き活きと動く(関わる)ことが、闇く澱んだ何かを搔き回し、一本の筋道を立て、光を当てる。
それが、この物語の面白いところだと私は思った。
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読み始めたら止まらなかった。
読んでいる途中、思わず振り返ること数回…。
鳥肌が立ちました。
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前から気になっていたシリーズの第一巻。閉鎖的な山村で起きる呪術をベースにしたミステリ。雰囲気は嫌いではないのだが、若干盛り込み過ぎで読むのに疲れちゃったかな。
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ミステリーなんだろうと思って読んでいたらホラーでした。
クトゥルフ好きの友人が面白いと言っていたのですが
なんとなく頷ける感じがありました。
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憑き物とか妖怪と聞くと別の作家のやたら分厚いシリーズを思い出すがこちらはミステリー色が濃い。次々と語り手が代わる構成に何かあるなとは気が付いたが入れ替わりに叙述と2つトリックを重ねられると驚くしかない。ただ読み飛ばした部分も多かった。好きな人は好きだろうが、ミステリーとして読むと癖が強すぎたか。最後までモヤモヤさせる構成はホラーを楽しむには最高だろう。
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作り込まれた作品と思う半面、どこかで読んだことあるような話だなという感じ。序盤はその世界観の説明などに割かれてる為、ミステリーだけどなかなか人が死にません。最後の謎解きで犯人に行き着く過程では、なんとなくすっきりしないというか、もや~っと真犯人に辿り着く感じがして微妙でした。
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あらすじ;
カカシ様信仰が根付く山間の小さな村・神々櫛村(かがぐしむら)では代々巫女・依巫に「さぎり」と名付ける習慣がある憑きもの筋の有力者・谺呀治家が信仰を司っていた。対立する有力者・神櫛家の娘千代の憑きものを落とす際、トランス状態に入った同い年の依巫・紗霧の口を借りてカカシ様から「さぎり」が憑いているという言葉が発せられる。対立が深まる両家と神櫛千代と連三郎と谺呀治の紗霧の三角関係。そして不可解な紗霧の目撃情報。何かがおかしい――。そんな中、不可解な殺人事件が起き、村は恐怖に包まれる。
忌山と畏れられ崇められ敬われ忌まれるカカシ様。数年前の紗霧の双子の姉、連三郎の長兄の死。この村には何かがある――。民間伝承を求めやってきた刀城言耶が謎に迫る。
初読三津田氏に圧倒された。犯人候補は簡単に2人まで絞れるため、謎解きとしてはそこそこのレベルだが、民俗学的な見解はやや難しいのかもしれないのだが、それは内容よりも昔の作家を思わせるような重厚な文体のせいだと思われる。だがこの文体が作品の不気味な雰囲気がマッチしていて読者を恐怖に陥れる機能を十二分に果たしているのだ。ホラーは基本的に平気なのだが私自身読んでいる最中ぞっとして後ろを振り向いたりするのに勇気を要した。恐怖に直面した登場人物たちの心理描写は秀逸で、同調し「ああ何で独りの時に読んだんだろう」と後悔したほどだ。
残念なのが見せ場とも言える謎解き部分なのだが、それまでの格調をみだすような焦りを感じてしまった。様々な可能性を潰して行くのだが、散々推理を語った後で「こうでなければこうだ」「それだとこういう問題があるから、こうだ」のように掌を返されてばかりだと少々疲れてしまう。最も否定されてゆくトリックたちがもれなく凄いので、この部分は完全好みの問題だろう。
一つ一つの話は恐怖体験をメインに進んでいくように思われ(勿論殺人事件の描写もちゃんとあるが)、本格ミステリ臭は少ないように思われるのだが、それが最終的に撚り合わさって骨太なミステリを生み出している構成には脱帽だ。
怖いがそれ以上に面白い。
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文章が読みにくい。
ミステリー+ホラーということだが、ホラー部分はちぃとも怖くなかった。無念。
民俗学的部分は中々興味深く読めました。因習って面白いよね。
まぁなんだかんだ外れではないかなといったところ。続きは図書館にあったら読みたいかな。
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刀城言耶シリーズ1作目。
ミステリとホラーの融合。正直ホラー色の強いものは苦手。特に最初の方は怖くてページを捲る手が止まりそうに。だけど、刀城言耶が出てきて、いざ殺人事件が起こり、謎解きに動き始めると、俄然面白くなってきた。民俗学的薀蓄も好きなのでそのへんも興味深く読めた。最後は少しホラーも残るけど、一応ミステリとしての謎解きはきちんと出来ている。リアリティがあるかは別だけど。
シリーズ続編を読んでみたい、と思わせる一冊だった。
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刀城言耶シリーズの第1作目。
戦後、古い因習の残る山村、対立する二つの旧家、憑き物信仰…
本格ミステリーとホラーが融合した長編小説です。
事件が展開していくのは後半からで、前半はホラー要素が濃い感じでしょうか?
章ごとに異なる視点から語られていて、おどろおどろしい雰囲気のなかに真相につながる伏線も数多くちりばめられています。村の地図や家の見取り図も重要です。実際に読んでいて違和感を感じた部分がかなり重要な伏線になってました。
探偵役である刀城言耶の謎解きシーンでは、試行錯誤しながら推理を組み立てていきます。
一度組み立てた推理を壊して、また新たに推理を組み立てる…といったことを何度か繰り返すため、ややこしかったかな…
でもラストの真相が明らかになった場面での衝撃はかなりのものでした。
ある意味単純なことなのにすべての伏線が回収できて、「そうだったのか!」というスッキリ感がありました。
書店でなんとなくタイトルが気になって読んだのですが、すっかりこのシリーズにはまってしまいました。
読み終わった後でもう一度読んで、伏線を確認するのも面白いですよ。
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前半部分は、重たくてとても読みにくいので、踏ん張って読んでいましたが後半になると、まるでうそのようにすらすらと読み進んでいけました。
そして言耶の謎解き部分には大笑い。とんだ迷探偵ぶりです。それでも、この重たい雰囲気は全然変わらないから、不思議な物語です。
このシリーズの決して説明のつかない事柄とそれに真摯に向かう言耶の存在が頼もしくて、読み始めのとっつきにくさはあっても、読んでいてやっぱり楽しいです。
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刀城言耶シリーズの第一弾。
ホラーと推理小説が融合した感じで物語りが進む。
横溝正史の金田一耕助シリーズのような雰囲気で時代背景も
昭和の初期を感じさせる設定になっている。
主人公である刀城は探偵役もこなすが、本業は小説家でこの本自体を
彼が書いたような体裁にしてある。
『あらすじ』
舞台となる神々櫛村には黒の家系と呼ばれる憑き物筋の「谺呀治家」と
白の家系と呼ばれる「神櫛家」が勢力を二分している。
この村で起こった神隠しや両家の役割、とくに谺呀治家の憑き物に
関しての話が主体となりホラー的な雰囲気を全体に醸しだしている。
谺呀治家の人間が次々に殺されていくのだが、山神様とも厭魅とも
捉えられている「かかし様」がキーワードとなり、殺人事態がどこか
タタリ的な様相を呈するのだが、最終的には推理小説風の解決が
なされる。
その推理の場面が金田一のような感じで刀城が行うのだが
金田一のようにズバッと解決するのではなく、間違った推理を
披露してしまいながら確信へと導かれて行く。
この本の視点は一人称でも第三者的な視点でもなく、刀城の取材ノート、
紗霧の日記、漣三郎の記述録、穴埋めとして刀城が小説として書き足した部分からなる。
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な、長かった…。特に前半部分。なかなか事件が起きない!そして、ラストの謎解きはあっちへ行ったりこっちへ行ったり。「いい加減にしろっ!」って感じ。ホラーミステリーなんでしょうが、私の趣味には合わなかった。横溝正史とか好きな人にはオススメかもしれん。