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アイスランド作家によって書かれたミステリー。
筋書きも、アイスランドならではの内容。
ちょっと尻すぼみな終わり方にも感じられるけれど
楽しんで読めた。
レイキャビクの街歩きは半日しかできなかったので
是非また訪れた際には気ままにぶらりと歩いてみたい。
いろんな発見があるかも。
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アイスランドを舞台にしたミステリー。
湿地にあるアパートで発見された老人の遺体。この老人殺害事件を発端に、過去の哀しい出来事が明かされる。
まったくの偶然だがアイスランドを舞台にした作品を、つづいて読むことになった。
少し前に流行った北欧ミステリーともどこか違うアイスランドミステリー。アイスランドという地をイメージしにくいことは変わりないが、こういった書物で知らないことを知るというのは読書の醍醐味と言えるだろう。
ひとが殺されまくる派手なミステリーに比べると地味な作品ではあるが、扱うものが重いためドッシリした読み応えがある。
何を扱っているかというと、レイプである。
この作家さんは男性であるのだが、レイプに対して女性の受ける傷の大きさや深さを思いやっていることが感じられる。
以前読んだ横溝正史の「三つ首塔」でのレイプされた女性が自分をレイプをした男を好きになるという描写の、薄っぺらく女性を貶めていることと比べることがインドリダソンに失礼というくらいだ。
映画評論家でもある作家のためか、どの場面も脳内で映像化しやすく印象的というところも特徴なのかもしれない。
殺人事件を起こすには理由がある、というのがインドリダソンの自論らしい。そのため、殺される側にもそれなりの理由があると考えるようだ。
この考え方には全面同意はできないけれど、被害に遭うひとの中にはそれだけの恨みを買ったひともいるということはあるとは思う。全てがそうなら寧ろ簡単で、中には逆恨みや、たまたま目の前にいたから殺されるということもあるところが難しいところなのだが。
この作品は犯罪捜査官エーレンデュルシリーズの三作目。
主人公の悩み多く疲れたキャラクターも良かったため、他の作品も読みたくなった。
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2016年ユーロ(*サッカーの大会です)の話題と言えば,ポルトガルの初優勝と,初出場ウェールズの躍進,そしてアイスランドの独特の手拍子応援だったわけです。(*個人的な見解です)
アイスランドが躍進したおかげで,TVの視聴率が90%だったと聞いて,そんなことありうるの!?と思いましたが,人口が30万人ほどなんだそうで,それなら・・・ありうるのか・・・。
で,肝心のストーリーです。
ある湿地帯に立つアパートで見つかった老人の他殺体は,よくあるずさんな強盗事件,「アイスランドらしい事件」のはずだった。しかし,残されたメッセージに引っ掛かりを覚えた刑事のエーレンデュルの丹念な捜査により,事件の背後にある忌まわしい過去が明らかになっていくのだった。
近頃のミステリに登場する警察官はみんな家庭の悩みを抱えているのが定番みたいなのですが,このエーレンデュルも離婚してて子供たちと折り合いが悪くて・・・と,大変なんです。でも仕事もあるんです。仕事の合間に,なぜか元妻の親類というほとんど他人の頼みごとまで引き受けなくちゃならないんです。
ちなみにこの「頼まれごと」は事件にどうかかわるのかと思いながら読んでいましたが,事件の背景に流れる女性の抑圧といったテーマにつながっていて,しかし直接の関わりはない,という距離感がとてもよかったです。
犯行動機とかはとっても気が滅入る話で,しかし同じ島国ムラ社会の日本人には,現代でこそこんな話はないものの,結構想像できる範囲の話のように思いました。
人口30万人て,市町村レベルだもんなあ。
ところで,これを読んでいるとき,想像?でミートスープを作ってみた。たぶん違うものが出来上がったと思うけどおいしかったです笑
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アパートの一室で老人が殺された。
当初警察も無計画で単純な
典型的アイスランド殺人だと考えたが
犯人によって残されたと思しき
謎の3つの単語が事件に複雑な
背景の存在を匂わせた。
馴染みの薄いアイスランドを
舞台とている点でまず既に興味深い。
物語は重たいテーマを抱えていて
終始陰鬱とした雰囲気で進む。
だが、この陰鬱さが苦にならず、
逆に物語に厚みを与えていて
読み応えが凄かった。
物語が進むにつれ、
救いのない展開ばかりが繰り返され
主人公エーレンデュル警部でさえ
複雑な家族問題を抱えており、
爽やかで明るい描写は一つもないが
それでもこれは家族の愛を描いた
ミステリとして素晴らしいものだった。
読む人を選ぶ作品だろうが、
多くの人に試して欲しい一冊。
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アイスランドでなければ成立しないかもしれないストーリー。アイスランドのことを知りたくなります。ミステリーは、その国を知るためのガイドブックに良い、と著者が言っていたがまさにそうかも。読んでいる途中までは画面がグレーがかっているようだったが実際はカラフルな街並みなんですね。簡潔な文章も読みやすくて良いです。訳者あとがきも興味深くてためになりました。
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北欧ミステリー。
独居老人が殺害されたところから始まり、意外な過去とのつながりで犯人を追っていく。
意外性やどんでん返し系ではないもののわりと読みやすかった。(地名や名前に苦労はしたものの)
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淡々と、明らかになる事件の全貌。
派手さはないけれど、じわじわと迫ってくる、隠された真実の行き着く先に、そわそわして落ち着かない気持ちになった。
切ないなぁ、悔しいなぁ。みんな幸せになれる、そんな人たちなのに。やるせないなぁ。生まれてくる子は幸せになってもらいたい。
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空に淡い蓋をされているような…薄暗くて、湿気を帯びて、胸が詰まる。
哀しくてやりきれない、始終そんな空気があった。
なるほど作品全体から湿地を感じて、上手いものだなー、としみじみ感心。
読んでいる間ずっと私の眉はハの字になっていたと思う。
でもあまりの読み易さにページを繰る手は止まらず、遅読の私でもさっと読めた。
読後感は穏やか。
複雑なトリックや劇的な展開はないけど、事件背景に奥行きがあって面白かった。
先に読んだ同作家の『緑衣の女』もやはり同じように味のある描き方で面白かったので、他にもこの作家の作品を読んでみたい。
アイスランドというとビョーク、シガー・ロス、ムームといったミュージシャンのイメージが強いけども、そういえばこの作家もなんだか似通った雰囲気を醸し出しているなぁと感じた。お国柄もあるのかしら。
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12月-7。3.5点。
独居老人が、自宅で殺害される。
「おれはあいつ」という血で書かれたメッセージが。
被害者は運送会社の運転手。
しかし、被害者には暗い過去が。
暗い感じが続くが、意外な方向に話が進み、面白い。
次作も期待。
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同作者の作品を読むのは同じエーレンデュル捜査官シリーズの「緑衣の女」に続いて2作目。刊行順としては逆なので、「緑衣の…」で描写されてた主人公の家庭シーンなどは、こっちから読むと色々合点が行ったのかもしれない(いくつかそう思った記憶あり)。
だが刊行順などは些細な問題と言ってもいい、とにかく堂々の王道警察小説である。アイスランドではという但し書きがつくが。と回りくどく言うのも、とにかく日本や我々が馴染んでいる国々にない特殊な環境での殺人事件が取り扱われており、設定からトリック、謎解きに至るまで、アイスランドならでは尽くしなのである。
決して色ものではないが、人口30万人そこそこ、高緯度ならではの気候条件、宗教も民族風土も生活様式も我々日本人とまったく国を舞台にした小説だからこそ味わえる異世界感。そこにはファンタジーやSFにはない、決して作りモノでないからこそのリアリティがある。異世界異文化とはいえ、人間の罪や業そのものには決して差がない切なさも感じられて…。
意識して追いかけるかどうかは分からないが、機会があればシリーズの他の作品も読んでみたいと思った次第。
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捜査の過程がとても自然で、読者もエーレンデュル刑事といっしょに驚きの真相に導かれていく。最近アイスランドブームなのかな、と思うほどアイスランドものによく出会う。北国出身だからか、北欧の雰囲気は肌になじむような気がする。望まぬ妊娠が題材になった作品ながら、子どもたちはみな歓迎されて生まれてくる。それが悲しい物語の中で唯一救いになる。
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本シリーズが創元社刊の海外作品の巻末や帯で必ず紹介されているので、これは外さないだろうと睨んだ通りの作品。海外小説特有の婉曲表現は最小限に抑えられ、本編400頁未満の比較的コンパクトな作品ながら、哀しき【血】の因果を描いた濃密な社会派ミステリーを堪能出来た。アイスランドが遺伝子研究の先進国であることは初耳で、本国の文化や歴史背景を窺い知れるのも魅力のひとつだろう。タイトルさながらに仄暗く湿った憂愁な結末は酷くやるせないが、エーレンデュル父娘の関係修復には救われた。訳者あとがきも読み応え充分で二度美味しい。
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翻訳者の訳が良いのか、とにかく読みやすかったですねぇ…お話自体はあまり気持ちの良いものではありませんが…でも、書き方が良いからなのか、最後まで夢中になって読み進められましたねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
なんでもシリーズ化している作品だそうな…訳者の方のあとがきで北欧ミステリとしてはページ数が少なくて助かる、みたいなお話がありましたけれども、確かに海外ミステリにしてはページ数少ないかもしれません…けれども、お話そのものは重厚でありました…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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なぜ売れてるのか、まったくわからない。
これより面白いミステリーはごまんとあるのに。
超エンタメではなく、静かで暗い感じ。
肝心なミステリー部は突飛かつ安易に解けすぎ。
ページ数が適度で人物描写が丁寧、社会的メッセージがこめられ、落ち着いた雰囲気で、父と娘の葛藤もあったりしてオールインワン、万人にちょうどいい感じなのかなー?
なにしろこれだけがベストセラーなのは解せない。
ジョン・ハートも売れてるようだし、静かなのがいいのかも。
著者初邦訳だがシリーズ3作目。
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アイスランドのミステリーです。
ここに描かれているのは悲劇です。
殺人を犯すにもそれなりの理由があるということ、
人間として生きる苦悩が、
アイスランドという国の特殊性を利用して
表現されています。
暗く悲惨な物語なのですが、
グイグイと惹きこまれてしまうのは、
文章の簡潔さにあるような気がします。
余計なことは書かれていないのに、
それでいてアイルランド社会の状況や、
人物像がしっかり描かれています。
アイスランドのような
小さな国を舞台にしたミステリー小説は成立しないと
いわれていたそうですが、
その常識を覆したのが
アーナルデュルだったそうです。
しかも作品は世界中で翻訳され、
数々の賞を受賞するベストセラーになりました。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2