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自分が正しいと思う道を突き進んだが、継之助がやったことは正しかったのか。誰の立場で考えて正しかったのか。藩公か、町民か、考えさせられた。
解説で官軍に従っていれば、過酷な戦いに巻き込まれなかったと継之助を憎む声もあると知った。
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とある会社の先輩の影響で久しぶりに読み直してみた。
やっぱりいい小説だなぁ。
河合継之助は全然メジャーな人じゃないけど、
上杉謙信と並んで郷土新潟の誇りだと思う。
新潟人は「義」にアツいな。
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教科書に書かれるような「歴史」ではほとんどスポットを当ててもらえない人物が、山ほどいる。
彼もその一人。
本当に彼が『最後』の侍だったかはわからなくても、侍が滅びようとしていくことを確かに感じながら敢えて侍として生きたかったという彼の気持ちは、切ないけど美しい。
徳川幕府の300年間を否定的に論じる声も多いけど、私は戦国期を経てたどり着いたこの時代を肯定したくてたまらない。
「武士」とか「侍」とかいう日本独特の、奇跡のようなこの概念が理屈抜きに美しく感じられるから。
この300年がなかったら、後世の日本人が「侍」という言葉をよりどころにできなかったら、日本なんてとっくに滅びていたかもしれないとさえ思う。
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長岡藩が北越戦争で奮闘し、そして敗れ去る物語。能力が高いはずの河井継之助が結果として負傷から死んでいく。何に価値を置いて生きるかにより、人生の全うの仕方も違うし、後世の受け止め方も違う。
言えることは、他人の視線、後世の評価を気にせず、自分の信じる道を生きよ、ということか。
戊辰戦争の一局面を切り取って、一物語に仕上げた司馬遼太郎の手腕はさすが。
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河井継之助はこの本を読むまで全く知らなかった。
司馬遼太郎の著書は歴史を小説にしているところに面白さがある。
事実は小説とは必ずしも同じでは無いとは思うけど。
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本作『峠』はリーダー論である。幕末という時代が急速に動いている時期において、一小藩の家老として、藩がどうあるべきか、どう行動すべきかを徹底的に考えた上、それを自ら実践し、また、藩内の武士、町人及び農民に実践せしめた人間を描いた、リーダー論である。先の見えない時代に生きる今の日本にあって必要なのは、河井のように、日本はかくあるべしというビジョンを示すリーダーである。
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河井は己の志を達せずに敗れ生涯を終える。
「継之助は・・・」「悲しかっただろうよ・・・」
と長岡の古老は筆者である司馬氏に語ったという。
当時、薩長は勝利の勢いに乗り、徳川家や会津藩を徹底的に潰しにかかっていた。そのやりようは汚く、卑劣なものが多かった。
河井は正義を貫き結果とした敗れ去った。
大人しく強いもの(薩長)に従っていれば、生涯を全うできたはず。それだけでなく河井の頭脳を持ってすれば新政府での栄達も可能だったはず。
それをせずに、敢えて藩をあげて滅亡のリスクを負った行動に出た。
自らの信念を貫き死ぬか・・・
大勢に妥協し生き延びるか・・・
河井継之助の生涯は非常に重いテーマを私たちに投げかけていると言える。
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多分15年位前にナベから勧められて読んで、自分の趣味が読書になってしまった運命の一冊。
何故か毎年夏に読みたくなり、何度と無く読み返しています。
下巻の後半。。切なすぎて読むのが怖いっす。。
キャプテン、元気ですか?
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他の作品に比べると、長岡藩(新潟中越地方)の継之助というあまり知られていない人物が主人公のせいか、そのキャラクタに問題があるためか入り込めない。しかしながら文章の表現は読んでいて楽しく、内容も多くの示唆に富む。面白く心に残った場面としてこのようなことがあった。主人公と同じ職場で意見が合わず、敵対している学者が火事になった時に主人公が必要なものを新調して融和を図りに学者のところに行く。その学者はとても感謝し、感謝しているがお返しができないのでせめて主人公の誤った考えを指摘してこれを恩返しとしたいと言い、主人公の痛いところを一層つくように批判を並べた。主人公は不愉快になりながらも、少しの卑しさを見せずこういった態度をとれる人物は偉いと感動する。なるほど、強い男だと思い、かっこいいと思う。
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北越戦争に散った長岡藩河井継之助の物語。官軍と旧幕府軍の調停にあたろうとするが…。開明論者でありながら、武士道に生きた男の物語。「もし戦争をせずに済むならば汽船の二、三隻も買い入れ、藩士の二男三男坊を商人にし、貿易を学ばせ、シナヤ挑戦にやって大いに国富を豊かにするところであったが、その望みもどうたら絶えたな」、
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凄まじい人生。磨き上げられた哲学。はずかしながら、今回この本で初めて継之助を知りました。何と大きな人間なんだろうと。。読後感の良い素晴らしい小説でした。
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幕末の越後長岡藩の河井継之助の話。百石取りの家柄の武士ながら幕末の時勢のため、執政家老に抜擢され越後長岡藩のために奔走するが、結果的には官軍(薩長)に滅ぼされてしまう。藩に召し抱えられるまでは江戸留学や諸国を放浪したり、横浜でスイス人商人や国籍不明の商人と懇意になり開明論的な理想を持つようになる。この遊学期間中に自分の思想に磨きをかけ、執政家老となったときには官軍を大いに苦しめたが、結果的には滅ぼされる。藩を巻き込んだとんでもない人生を送った。
余談であるが、この当時からスイスは山に閉ざされた地理的な不利を、材料も完成品も小さくて済む時計を産業と輸出の主力とするという戦略で克服しているらしい。スイスのような単純明解(実行は困難だろうが)な戦略を幕末も今も日本は持てないだろうな。
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幕末の長岡藩(現在の新潟県長岡市)に生まれ、後に藩の家老となる河井継之助の一生を描く歴史小説。
河井継之助の生き方を通して、人生哲学を読んだという印象。
フィクションではあるが、若い頃から自分の力量を見極め、人の上に立つべく自分の思想を創り上げる過程が興味深い。
早くから先見性を持ち、理想の国を作り上げるべく奔走する河井であるが、理想と現実の間でぎりぎりの駆け引きを行い、最終的には近代化とは相反する武士としての立場で、藩を巻き込んで死んでゆく一見矛盾に満ちた生き方が、魅力的かつ人間的であると思う。
長岡市には記念館があります。
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うーん。レビューの高さに比例した期待値が高すぎたのでしょうか。惰性で何とか読み終えた感じです。話の濃さで言えば「竜馬がゆく」「坂の上の雲」に到底及ばない気がします。あくまで個人的主観ですが…
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小説や時勢の影響で大した人物でもないのに大物と思われてしまう人物が、まま存在する。西郷の使い走りだった坂本竜馬や、吉田茂の取り巻きだった白州次郎とかがその代表格だが、河井継之助もそのようだ。戊辰戦争の滅びの美学と言えば土方歳三ぐらいだったのを北越戦争の河井継之助を発掘して小説にしたのはさすが司馬さんだが、さすがに著者も迷いがあったのか所々に批判的な言葉があるのは本音なんだろう。自分の思想に酔って、現実の渦中で空想的な発想しかできず無益な戦闘をした愚者としてこの人物を評価しながら小説としては封建制の崩壊に殉じた最後の侍として描き、悲劇の英雄に仕立て上げた司馬さんの小説家としての技量はたいしたものだ。