歴史的蛮行となってしまった「革命」への鎮魂歌
2005/03/25 06:29
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投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
皆さんはポル・ポトと聞いて何を思い出すだろうか。私のイメージは,70年代後半,ベトナム戦争のあおりを食らって内戦を激化させたカンボジアで一時実権を握った革命政権の親玉で,仏教を否定,教育を否定,都市住民を農村に強制移住させるなどの圧政を敷き,およそ4年間でカンボジアの人口の4分の1を殺しまくった男……というものだ。
しかし一歩突っ込んで,彼とそのグループはどんな出自で,どうやって政権を奪取したのか。この未曾有の大虐殺に対して国際社会はどう対応したのか,あるいはしなかったのか。そしてその負の遺産は現在カンボジアにどんな影を落としているのか,といった話になるとからきしわからない。
本書は,讀賣新聞サイゴン支局〜バンコク支局と渡り歩きながら,この歴史的蛮行を間近に見て来た著者が,「まだ分かっていない」「謎のままだ」という表現が頻発することを気にしながらまとめた「革命」への鎮魂歌である。
なかでも印象深い話,ポル・ポト派は,革命前の教育を受けている大人は信用できないとして子供を重用し獄吏として収容所で働かせてた。ある時囚人全員の処刑命令が下され,37人の大人が殺されたが一人だけ生き残った男がいた。元教師の彼は看守の子供達にイソップや動物などの話をしており,全く教育を受けていない子供等は目を輝かせてそれを聞いていた。処刑命令が下ったとき,皆で相談して「物語名人」だけは残しておこう,となったのだという。芸は身を助くというかなんというか,この話,凄いよねぇ。
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
嘘と虐殺にまみれたポル・ポト政権とはなんだったのかを当時取材にあたった記者によって語られている。凄惨な様子が伝わってきてなぜこんな事態になってしまったのかと感じる。
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この本は、国際社会と日本という授業の先生である山田寛さんが書いた本で、期末テストに出ることや、興味があったこともあり読むことにした。まず、ポルポトという政権があったことも授業で知ったくらい歴史にはあまり詳しくなかったので、読むのにとても苦労した。しかし、授業でよく出てくる内容が本に多く書いてあったこともあり、自分の中ではよく理解できた方であったと思う。ポルポト政権がどんな政権であったか?この政権がどんなことをやってきて、どういう結末を迎えたのか?これだけでも知ることができて、自分にとってまた新しいことを覚えることができて良かった。これからもたまには歴史に関する本を読んでいこうと思う。
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図書館から拝借。
知らないから知ろうと思ったけど。
下地がないので理解するのが難しい。
どうして、こういうことを学校は教えてくれないのだろう。
どうして、もっと、真剣に取り上げられないのだろう。
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旅行がきっかけでカンボジアの内戦について興味が湧いて読んだ本。4年間で100万人以上を虐殺したポル・ポト政権(クメール・ルージュ)が一体どうしてそうなったのか、誰も止める者はいなかったのか、この本を読んでもまだよくわからない。この蛮行はほんの30〜40年前に行われおり、カンボジアでお世話になったガイドさんの親族もきっと犠牲になっていたんだろうなー、、、とやるせない気持ちになります。
この1冊だけではポル・ポトのことは理解しきれないので、引き続き漁ってみたい。
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カンボジアのことをアンコール遺跡だけを見て、感動し、愛していた。
カンボジアにはもっと知らなければならない過去が山ほどあることを気付かせてくれた一冊でした。
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カンボジア旅行後に復習として読んだ本。
大虐殺が、正義として行われていた時流の恐ろしさ。
そして、それは歴史と呼ぶには、新しすぎるほど、最近のできごと。
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なぜポル・ポトはあんなことをしたのか…独裁者とは…。良識ある人々が次々と殺されていったという謎…。
独裁者は自分の家族にだけ優しい、というのを読んで悲しくなった。
家族が出来たらむしろ国民や異教徒、異民族にも同じ愛情を持って接してほしい、これは無理な願いだろうか…
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「日本のジャーナリスト、学者にも「解放勢力」を応援し、主観的に「ポル・ポトは虐殺していない」と唱え続けた人たちがいた。」そのことを明らかにする・・・というようなことが確か朝日新聞の書評には書いてあったと思ったのだが・・・・そんなことは何一つなかった。したがって、僕の知らない新しい事実はなかった。
「なぜ同胞を殺したのか」(NHK出版)以上のものではなかったなー。
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カンボジアにおけるポルポト派、シハヌークの与えた影響を知ることができた。集団を暴走させる時の状況(恐怖心、無教育⇒偏った情報の提供)の人間の恐ろしさを感じた。
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1975年4月からの3年9カ月間で、当時のカンボジア人口の5分の1を殺してしまったポル・ポト政権。「アジアのヒトラー」との悪名がついて回るポル・ポトという革命家はどのような経緯で生まれ、政権下で実際に何をしたのか。こうした点を、筆者が自身の新聞記者時代の経験、そして海外の研究者の成果なども取り込みながら、明らかにしようとした一冊です。
原始共産制を掲げ、本来は人間の解放をめざす潮流の1つであったポル・ポト革命が、なぜ上記に挙げた「20世紀最大の蛮行」になってしまったのか。筆者は、その理由として(1)「バブル革命」、(2)「人間不在の革命」、(3)「借り物革命」、(4)「子ども革命」、(5)「自主独立偏執病革命」(6)「ブレーキのない革命」、という、ポル・ポト派による革命の6つの特徴を挙げて分析しています。
終章では、政権崩壊以降、森のゲリラへと戻って行ったポル・ポト派の動向、とりわけ彼らの最期に焦点を当てることで、「革命が乗り越えられなかったもの」とは何なのかについての筆者独自の主張が展開されています。2番目の妻との間に生まれた子供を溺愛したポル・ポトや親族を仏教様式の大規模な葬儀で送りだすかつての政権有力者たち、彼らの姿は革命が「家族の絆と宗教」を乗り越えることができなかったことを示している、というわけです。
ポル・ポト政権下で実質的に鎖国政策がとられたことや政権崩壊後も90年代半ばまで政治混乱が続いたこともあり、未だに謎が多いとされるカンボジア現代史ですが、筆者自身の経験に加え、他国の研究者の成果なども統合するかたちで詳細に説明してくれています。
当時の関係者たちのバックグラウンドやその発言まで、ここまで事細かにカバーしている本はそうそう多くないため、資料としての価値も高いと思います。
カンボジアへ関心がある方には、必読の一冊として、是非お勧めしたいです。
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原始共産主義。思想による狂気。文明知識人の徹底した粛清。その先に理想の国家??理解しがたいが実際に行われた恐ろしい事実だ。
映画 キリングフィールドを並行して見て欲しい。
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ぱらぱらとしか読んでいないので、評価するのははばかられる。ポルポトの生涯を追った本であり、学術書である。
共産主義というものの本質が明らかになっている。
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裕福な家庭に生まれフランス留学までしたクメールルージュ幹部による知識階級の破壊と超農本主義。矛盾してます。また、大量虐殺の反省も無いまま現在に至る状況には人間の恐ろしさを感じます。
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カンボジアはカンボジア。
独立のために戦い続けてきた弱小民族の心の底からの叫び。
教育は全く存在しなかった。ただひたすら労働だった。
外部からのものには物凄い警戒心だった。
ポルポトは1998年まで生存していたのだ。
いったい誰が責任をとったのだろうか。