投稿元:
レビューを見る
物語は長く、紀州から江戸への筏による材木運びを無事に終え、那珂湊でついに船持船頭になる嘉兵衛。
しかし、2巻を終えてもまだ、「高田屋嘉兵衛」にはならない。
秋田・土崎で新造船の約束をし、故郷淡路に帰り2巻を終える。この巻の終わりで弟の結婚話が出てくるのであるが、いわゆる駆け落ちをした嘉兵衛との対比なのだろうか?この時代の普通の流れとして詳細に描かれている。
投稿元:
レビューを見る
江戸時代後期に現れた快男児高田屋嘉兵衛の物語。二巻では着々とステップを上がる話。江戸時代の日本について特に商品経済の発達を知ることができ、この動きが農本主義との矛盾を産み、やがて幕末に繋がると感じました。
投稿元:
レビューを見る
表紙絵が、2000年9月刊行のものと絵柄が違うが、内容的には代わりがないように思う。自分が購入したのは、2012年2月5日刊行の第10冊である。主人公の嘉兵衛は、未だ下働きをしながら湊の流通品の流れを勉強する事になる。樽廻船が、交易品の主な流通手段であり。松前からの日本海周りの流通品が莫大な富を齎しているのを知る事が出来た、彼は先達の智慧を得て同じ様に回船問屋の商売を中古の船で始めるのだが・・・。
江戸時代の廻船業の生活様式が面白い程頭の中で、思描ける事が出来る面白い本である。
投稿元:
レビューを見る
高田屋嘉兵衛を描いた歴史諸説第二巻。面白いです。
江戸は停滞の時代のイメージがありますが、北前船の発達で、想像以上に流通が発達していたことがわかります。
投稿元:
レビューを見る
実に面白い。過去読んだ司馬遼太郎作品においてこんなにワクワクしながら読んだ小説はあっただろうか。
いちおう、高田屋嘉兵衛という1人の男の半生を追った伝記であり、随所に史観を盛り込んでいるため歴史小説とも言えるのだろうが、私には冒険小説だと感じた。出自に恵まれない男が数々のチャンスを物にして、だんだんのし上がっていく様は実に愉快であるし、彼が航海する描写が緻密であるため自分もまるで航海の旅に出ているようだ。
明らかに他の司馬遼太郎作品とは違う。「翔ぶが如く」「坂の上の雲」などの大作は非常に骨の折れる作品だったが、本作品は実に軽快。本作品は司馬遼太郎の作家生活における後期に描かれているため、作風が変わって来て丸くなったのだろうか。(これはあくまで推測に過ぎないが)
本巻はあとがきを含めて430ページというボリュームのあるにもかかわらず、読めば読むほどどんどん引き込まれていき、ほぼ一日で読了。
高田屋嘉兵衛を取り巻くメンバーも兄弟3人を中心にして固まってきたし、後援者たる松右衛門や北風荘右衛門もイイ味を出している。今後、秋田は土崎の与茂平に船を造らせるというから出世したものである。後半において、生まれ故郷の淡路島に凱旋して親族などのお世話になった人たちに挨拶する様子は読書としても嬉しかった。
しかし…。駆け落ち同様で一緒になった妻、おふさはほとんど登場せず、高田屋嘉兵衛が海に出ている間、ずっと縁もゆかりも無い兵庫で一人留守を守っている。しかも、1巻の終わりくらいに妊娠したって描いてなかったっけ。今後二人の成り行きは…。
以下、興味深かった点。
「私には船を作る資金がございませぬ」
「ないないと言うのがお前の念仏か。先に一度聞いた。一度ならず二度も言うとは馬鹿か。そんな資金ぐらい自分で工夫せい。海から湧いてくるものを取れば良いのじゃ。わしは風からとったわい」
高田屋嘉兵衛と帆布を発明した松右衛門との会話。
この時代の日本社会の上下を貫いている精神は、意地悪というものだった。上の者が下の者を陰湿に虐めるという抜きがたい文化は、人種的に似た民族である中国にはあまりなく、「意地悪、虐める、いびる」といった漢字や漢語も存在しないようだ。
→子供の虐め問題がニュースその他で取り沙汰されるが、民族的な問題なのである。上司が部下をいびり、大企業が下請けの中小零細企業を絞るというのも虐めであり、大人の世界でも普通に蔓延していることであるので、子供の世界だけが理想郷ということはあり得ない。虐め問題の解決は、そんな根本的なものなのだ。
投稿元:
レビューを見る
2014.10.10
商人としての嘉兵衛が書かれており、用船をしている現在の自分の仕事と全く同じ事情であり、面白い。また日本の各地域の特色も垣間見ることができ興味深い。
投稿元:
レビューを見る
http://hinbeee.blog31.fc2.com/blog-entry-2573.html
投稿元:
レビューを見る
廻船商人高田屋嘉兵衛の物語。嘉兵衛の人物の大きさ。素晴らしい。司馬さんは初読みだがもっと読みたい。詳細は→http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou23901.html
投稿元:
レビューを見る
嘉兵衛が淡州へ帰り、律蔵さんに対して生涯の大恩人じゃ、と思うところが好き。こんな聖人のような人に支えられた嘉兵衛は幸せ者だな。
投稿元:
レビューを見る
二巻読了。
船頭としての実績を着々と積み重ねていく嘉兵衛。
彼の弟達も船乗りになり、兄弟が力を合わせていく姿にエールを送りたくなります。
当時の海運事情や、津々浦々の港の様子も興味深く読みました。
そして、嘉兵衛がいよいよ大型船を造船することに・・。船大工の与茂平と、嘉兵衛の関係がとても良いので、素晴らしい船ができそうで楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
徐々にのしがっていくところ。
リスクをとって = 生命をかけて、そして、やりきらんと、物語は先には進まんのですな。
そして、クルーを弟にすればいいかっていうところ、なかなか味わい深い。
投稿元:
レビューを見る
陸からはみ出たものという自意識と、船を持って松前にゆくという大きな野望のせめぎ合いを、波間に漂う船のように描く。
作中、各地の港や航路の話が出てきて興味深い。特に酒田、最上川のあたりは気になるところである。陸の中での歴史しか見ていなかったのだなーとこの冒険小説とも言える作品を読んでいて、目からウロコが落ちる思いである。海には道があって、高い山に閉ざされていても、そこに一足飛びに行けるという。重い荷物も、海だからこそ運べる。
陸送を充実させてきたのはたかだか100年にも満たないのではないか。
そして、ドローンによる輸送の時代、空の道が開かれつつある。
そんなことを思わせる小説である。
投稿元:
レビューを見る
彼が船乗りなのに関わらず
決して言葉が荒くないこと。
そう、彼は貧しさゆえに受けた不条理を知っているから。
痛みを知っているんですよね。
だからこそ決して部下をいびって
育てようとはしないのです。
これ、現代でもできない人がいますよね。
不条理な扱いをしても、部下は育たない。
でも力を持つと人はおかしくなるのよ、よくね。
最後のほうには嘉兵衛はついに故郷に帰ります。
因縁の場所。
だけれども恥じない活躍をした嘉兵衛を
決して故郷は残酷な扱いをしませんでした。
そして、もうそれは不相応な縁談を
ほかの兄弟に取りつけることができたのです。
それはひとえに派手な活躍でなくても
部下を大事にした嘉兵衛だからこそでしょう。
投稿元:
レビューを見る
高田屋嘉兵衛の生涯を描いた全6巻中の第2巻。中古の船を得た嘉兵衛は船乗りとして日本海を北上、海に躍り出る。
江戸時代後期、士農工商の身分からは外れた船乗りはコメとは別の貨幣経済の立役者である。身分制度の足枷から抜け出た嘉兵衛、1巻で切ない場面が多かった分、2巻は広い海へ躍り出る開放感が素晴らしい。
兵庫から瀬戸内海を経て遠路秋田まで。当時の西回り航路を辿る記載が、紀行文的に楽しめる。
太平洋の黒潮沿いに広まったと思われる海洋民族。日本人のルーツの一つであろう。日本海沿いにもその文化は散らばって残存しているようだ。裏日本ではなく江戸時代は日本海側が北前船の航路で表であったとのこと。
嘉兵衛の夢は蝦夷地との交易。優れた船大工との出会いもありいよいよ大型船の建造に乗り出す。
追われるかのように逃げ出した故郷に錦を飾り、順調なストーリー展開。
投稿元:
レビューを見る
江戸時代後期に廻船業者として活躍した、高田屋嘉兵衛の伝記小説、第2巻です。
二十代前半の嘉兵衛が、兵庫の廻船業者で働くシーンから始まります。
船の操縦者と、事務方の双方をこなす、嘉兵衛青年。
瀬戸内海を起点に、江戸や九州など遠方への航海を経験し、見聞を広めていきます。
この第2巻では、船乗りになった嘉兵衛が周囲の人に認められ、廻船業者として独り立ちしていく日々が描かれています。
自然相手の、船の仕事。
需要がありながらも、様々な制約がある、この時代の日本の船乗り。
操船技術も整っておらず、度胸頼りの部分が大きい、長距離航海。
そんな船乗りたちの活躍によって商品が行き交う、江戸後期の商品の流通。
嘉兵衛が寄港した街々は、どのような産物を扱い、どのような雰囲気だったのか。
嘉兵衛の日々の描写を通して、江戸時代の経済の成り立ち、さらには身分制度といったことまで、学ばせてもらいました。
第3巻も続けて、読みたいと思います。
『菜の花の沖 (1)』
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4167105861
.