紙の本
名作誕生の瞬間
2017/05/10 20:27
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんと言っても「七人の侍」に関するくだりが印象深い。「農民が侍を雇う」というコアが出来上がった瞬間 全てが動き出した流れは圧巻。関係者のその後の人生といい 運命の映画だったんだな。
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脚本家の橋本忍が書いた「複眼の映像」読了。これは文句なしの名著。ビジネス書でもないのに21カ所に付箋を貼った。映画好きに向けた内容だけど、ここに書かれていることはどれも仕事に活かせる話ばかり。特に黒澤明と「七人の侍」の脚本を書くシーンは壮絶&圧巻。
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とにかくクロサワの『羅生門』『生きる』『七人の侍』を
読んで、そんでこの本を読んでください。
モノをつくっている人々には必読だと思います。
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稀代の脚本家、橋本忍が日本映画界の巨匠、黒澤明との葛藤を描く。
以下、まずは気になるところをつらつらと。
・黒澤明は閃きを掴む。
・脚本の善し悪しは誰もが手をぬきがちになる人物の彫り。黒澤明の脚本つくりの最大の特徴は手抜きしてはならないものは徹底的に手を抜かない。
・脚本直しは三流監督。
・黒澤明は芸術家へと変貌していった。
この本はいわば橋本忍が黒澤明との間に感じた自伝的書である。
作中に黒澤明が自伝はどんなものでも面白いと語っているが、全くその通りである。
人にはそれぞれの人生があり、ドラマがある。
それが面白くないはずはない。
感動する。
巨匠として日本映画界に君臨し続けるイメージのある黒澤明だが、この本の中では監督の苦悩と苦闘が見える。
それは常に複眼の目でともに脚本を作っていた橋本忍だから知っていることである。
橋本の黒沢映画への批評は黒澤という人物を知っているから出来る批評でもある。
そしてなんとまあ、面白く書いてくれるのだ。
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単行本で一度読みました。橋本氏の現在のお住まいが、私にとって馴染み深いところなので、何だかうれしいです。完全なノンフィクションなのかどうかはともかく、黒澤映画の共同脚本の執筆システムがこれでよく分かります。
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まず、久々にのめり込んで読んだ
そもそもこれが日本を代表する脚本家の技なのであろう・・・
映画ファン、黒澤ファン必読
また、職人と芸術家の差異、プロフェッショナルとは何か、など、仕事論としても価値ある一冊
明らかに名著です
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「激マン」好きはぜひ。大傑作。「生きる」「七人の侍」など数々の黒澤明作品の共同脚本を手がけ、独立後は「砂の器」「白い巨塔」などの傑作を残した日本映画界の巨峰にして脚本家の中の脚本家・橋本忍が、黒澤との出会い、シナリオの書き方、そして生涯をハイテンションに綴る。文章うめえし、勉強になる。
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まず黒澤作品を見ること。
脚本を書くということは才能だ。けれど他の才能もある。あがいてあがいて、その末に、その、才能の無意識が成せる業。
もし私が人を書きたいのであれば、カメラを据えて意味のある顔を探し、観察し尽くす。形に拘らず書き出すこと。しかし、私には続け、終わらせることこそが次に進むための鍵なのだ。
橋本さんは共同脚本を念願にしている。同時競作。それこそがストーリーを複眼でとらえる画期的な手段だと。
映画のために。
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日本映画を代表する脚本家が、共同で脚本を書いた黒澤明監督との仕事や付き合いを中心に書いた自叙伝。
「羅生門」「七人の侍」の脚本製作時の裏話は非常に面白い。七人の侍は2つの映画の没シナリオからでてきたもので「百姓が侍を雇う」というアイデアが出てくる創作過程は当事者ならではの生々しさがある。黒澤監督の凄さや作品の欠点も丹念に論じている。
脚本とは何か、面白さは何かを明確にして黒澤映画の後期作品も俎上にのせて、的確な批評を述べている。非常にためになる意見が多い。
著者は、黒澤監督と別れ、自らのプロダクションをたちあげて映画製作始める。「八甲田山」「八つ墓村」と空前のヒットを飛ばすが、東宝50年記念作品として作ったのが「幻の湖」だ。マラソン、ソープランド、戦国武将、宇宙船という要素を合わせた歴史に残るスカタン映画だ。一週間で配給を取りやめることになる。この映画のことは語らないのかと思っていたが、ちゃんと論じてて面白い。
脚本を作っていく過程で、複数の人間がチェックして問題点を治していかないととんでもないことになるのだなと。これは著者も黒澤監督もなかなかうまくいかなかった。特に巨額な製作費と宣伝が必要とされる映画制作と配給会社との兼ね合いは難しい。これは映画だけのことではないと思う。
いやあ、これは映画ファンは絶対に読むべき本だと思う。ただの資料だけじゃなくて今でも通用する話が多い。引用したい面白いエピソードや意見ももりだくさんだ。
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ブログに掲載しました。
http://boketen.seesaa.net/article/384962496.html
黒澤明が秋田出身で、持ち唄は秋田民謡?
橋本忍は、「七人の侍」の脚本を黒澤明、小國英雄と共同執筆した。
その一事で、世界の映画史に名前が刻まれる脚本家だ。
自身のオリジナルでも、「私は貝になりたい」「砂の器」(山田洋二との共同)「八甲田山」など数々の名作・ヒット作を書き、日本のシナリオライターの最高峰に位置する。
その橋本が、黒澤に声をかけられて「羅生門」の共同脚本を書くところから、8本もの作品を共にしたその執筆の現場が、ありありと、あたかも映画のシーンを見るように再現される。…
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2014/4/18 読み始め 4/30 読了
黒澤明と羅生門や七人の侍作り出した裏側を中心とした話。脚本家が何をしている人か、映画がどう作られてきたのかを知らなかった自分には、新しい世界が見えたほど勉強になった。おかげで芥川龍之介にも興味がもてたし、黒澤明の映画も見たくなった。
黒澤明のその輝く経歴と比例しているのか、共同執筆後の話はだいぶダレた感は否めず、先を読むのが苦痛だった。気持ち的には☆4.5
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映画で重要なことは何か。脚本はどういう役割でどう作られるべきなのか。その答えが書かれている。まさしく、ある時期までの黒澤映画は「複眼の映像」なのだ、ということがこの本の”テーマ”だ。
脚本家として出発したこの人らしく、この本の書かれ方もとても脚本的。たとえば、感情を直接描かず、風景や画面、もしくは行動や仕草で示している。
映画をそれなりに深く楽しみたい人にはとても示唆に富む一書。
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物心ついてからの黒澤明作品といえば「影武者」であり「乱」だった。巨匠の作品は私にはどうもわからないようだと何十年も彼の作品を見ることはなかったが、たまたま映画館でみたデジタルリマスター版の「七人の侍」に度肝を抜かれた。このあまりに鮮烈な作品のことが知りたくて本書を手に取った。戦いにも似た共同脚本という形式を初めて知った。橋本氏は黒澤明は職人から芸術家になったという。80年代の作品がどうにも理解できず重苦しさだけが残った理由が分かったような気がした。「夢」を観てみようと思う。
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脚本という企画。
それは、監督という相手あってのもの。
この共同関係と対立関係が、作品に緊張を生む。
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「生きる」「七人の侍」「八甲田山」砂の器」。予備知識なく見て面白かった映画はみな橋本忍さんの脚本だったのだな。