紙の本
立ち読み再読。
2016/02/12 19:31
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋でぱらぱらとめくってみたものを改めて読んでみた。
下永聖高氏「猿が出る」。
再読でもこのヤラレタ感。
草上仁氏「スピアボーイ」。
記憶にもまして疾走感がいい。
円城塔氏の「φ」。
読んだ記憶は無かったが、これぞ実験小説という構成。
紙の本
ちょっと厚すぎ
2015/11/28 21:53
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投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本SFの短編を集めた、非常に質の良いアンソロジーのシリーズだ。
今回のめっけもんはオキシタケヒコの「イージー・エスケープ」。このアイデアを膨らませて長編化を果たして欲しい。
必ず入っているコミックが、今回は2篇だったが、星野之宣が懐かしかった。諸星大二郎はあくまでおまけ。
ただ危惧されるのは、毎年ページ数が増え、持って歩くのがしんどくなりつつあること。分冊でもいいので、もう少し薄めにしてはもらえないか。
小学生の頃から読み続けている創元(推理)文庫にはかなりの思い入れがある。その分、この年刊日本SF傑作選は大好きだ。
さらなる日本SFの発展のためにがんばって欲しい。
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2014年の日本SF短編から、星野之宣、諸星大二郎、長谷敏司、三崎亜記、円城塔、堀晃、宮内悠介、酉島伝法、草上仁、オキシタケヒコ、矢部嵩、理山貞二、田丸雅智、高島雄哉、下永聖高、遠藤慎一、伴名練の傑作17編を収録。
さらに、恩田陸氏をゲスト選考委員に迎えた第6回創元SF短編賞受賞作と選評を巻末に収録。編者による各作品解説や年間日本SF概況なども充実した、この一年の日本SFの収穫を網羅する年刊傑作選。
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長谷敏司「10万人のテリー」★★★
下永聖高「猿が出る」★★★
星野之宣「雷鳴」★★★★
理山貞二「折り紙衛星の伝説」★★
草上仁「スピアボーイ」★
円城塔「Φ」★★★
堀晃「再生」★★★
田丸雅智「ホーム列車」★★★★
宮内悠介「薄ければ薄いほど」★★★
矢部嵩「教室」★★★
伴名練「一蓮托掌(R・×・ラ×ァ×ィ)」★★★★
三崎亜記「緊急自爆装置」★★★
諸星大二郎「加奈の首」★★
遠藤慎一「「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ~その政策的応用」★★★★
高島雄哉「わたしを数える」★★★
オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」★★★
酉島伝法「環刑錮」★★★★
宮澤伊織「神々の歩法」★★★
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今年は、割とオーソドックスな話が多かった気がする。酉島伝法以外。酉島作品はほとんど理解できなかった。うどんを食べながら読んでしまったのも悪かった。
ベストを挙げるとすれば、オキシタケヒコの「イージーエスケープ」。好きな人にはたまらんタイプの雰囲気。「カウボーイビバップ」の絵でどうぞ。
草上仁「スピアボーイ」も面白かった。90年代にはほとんど読んでないけど。ただこのストールターンを利用して云々、ってネタは森博嗣「スカイ・クロラ」シリーズで見た気がする。どうでも良いこと。
そういえば、円城塔「Φ」。「ねえ、笑って」が可笑しかった。この手の小説でのこういうお茶目さが、円城塔の良さ。
しかし初出が同人誌という作品が多いのがちょっと気になる。需要者と供給者が一致してしまうのは、ジャンルの衰退じゃないだろうか。客が入れ替わりステージに立つジャズ喫茶みたいな。
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堀晃作品があったものの
こつぶ。面白いと思う作品には巡り逢えなかった。こっちの感性が後退しているのか?
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わたしには人間の気持ちがわからない。覚えることも考えることも、それから数えることも、わたしはずっと一人でやっていて、これを誰かに譲り渡すなんて想像もできない。
(P.373)
成長したあの子だと言われればきっと信じるだろう。そう思ってしまうくらい青年はあのときの少年の面影を引き継いでいる。しかし他ならぬその彼が、大人びた声で、あの子がもういないことをわたしに告げている。
(P.391)
(「私を数える」/高島雄哉)
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高島雄哉「わたしを数える」
遠藤慎一「恐怖の谷〜」
が心に残った。
「人間は頭の中に小さな思考補助器という機械を埋め込んで、それに会話も計算も任せてしまって、今や自分では数えることすらしなくなったという」
「数えることの本質 〜 数えることは確認することなんだ。そして人間たちは自分で数えることをやめてしまっているのだった」
「「恍惚の峰」には、進化生物学的にも興味深い問題があることに気づく 〜 圧倒的な知性への反応が一律であることから 〜 ホモ・サピエンスは、進化のいずれかの時点で、我々のような知性体の干渉を受けた可能性がある」
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2014年に発表された日本のSF短篇アンソロジー。素直な作品から実験的なものまで個性的な作品が揃っている。巻末の解説で2014年のSFの概況をまとめているので、これから読む作品を選ぶのに参考になる。なお、本書で個人的に好きなのは、「φ」が圧倒的によかった。他には、「猿が出る」「雷鳴」「スピアボーイ」「薄ければ薄いほど」といったところ。
以下、各作品の感想。
◎10万人のテリー(長谷敏司)
カードゲーム(マジック・ザ・ギャザリングやデュエルマスター、バトルスピリッツなど)を少しは知ってないと楽しめないかも。私は知っていたので楽しく読めた。囲碁や将棋の次はカードバトルでAIが活躍するのは現実の延長線上にあると思う。
◎猿が出る(下永聖高)
面白い。多重人格ものかと思いきや、どちらかというと生物の神秘に触れた作品と言った方がいいかもしれない。それとも輪廻転生ものか。
◎雷鳴(星野 之宣)
巨大な恐竜がどのように活動していたのか、その体重をどのように扱っていたのか、納得する理由を説明してくれるマンガ。恐竜が鳥の祖先である説があるので、このような体の作りであることが納得する。非常に面白い。
◎折り紙衛星の伝説(理山 貞二)
物語の風景は頭の中に浮かんでくるのだが、だから何? という感想。辛口かもしれないが、オチがないのである。もしくは、私がオチに気づかないのである。
◎スピアボーイ(草上 仁)
西部劇風のエンタテインメント小説です。理屈なんかいらない。スピアを操る老齢なスピア乗りと血気盛んな若いやつとの決闘シーンなど、ただ楽しむのみ。
◎φ(円城 塔)
円城塔さんの作品にしては読みやすいなと思っていたら、この作品での本当の意味、実験内容に気がついたのは、一段落の長さが一行を切ってからだった。実験内容に気がついた時、冒頭まで文章を遡った。震えた。なんだこれは! 実験までして内容が面白いなんて、ずるいよ。
◎再生(堀 晃)
手術という非日常を見事に表現した作品。私も手術の経験があり、やはり非日常を感じた。一方で病院側はというと手術は日常なので、何の特別感もなく手術は終わった。分かるよこの感じ。
◎ホーム列車(田丸 雅智)
意外な始まりに意外な結末。ものすごく短い作品だが、きっちりと楽しませてくれる。面白い。
◎薄ければ薄いほど(宮内 悠介)
最後の一行に胸を打たれた。ホスピスという人間の死が日常にある舞台で物語を展開するのは、ある意味卑怯である。誰もが自分や肉親について考えさせられるから。でも、良い意味で言ってます。SFの要素よりミステリの方が強いけれど、胸に響く作品です。
◎教室(矢部 嵩)
食事中に読んでしまった。後悔。
◎一蓮托掌 R・×・ラ×ァ×ィ(伴名 練)
ラファティをほとんど読んだことがないので、この作品の面白さを味わえなかった。奇想天外な物語であることは分かったが、そこまで。ラファティ作品を読んだことがある人はきっと楽しめるのだろう。
◎緊急自爆装置(三崎 亜記)
こんな恐ろ���い装置をよく想像できたなというのが正直な感想。あまりにも死が軽く扱われていて気持ちが悪い。作品としては悪くないし、アイデアもいい。でも納得してはいけない気がする。
◎加奈の失踪(諸星 大二郎)
実験マンガ。途中で不自然な台詞があるなと思っていたら、なるほどそういうことかと納得。内容が面白いかどうかは問わない。
◎「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ〜その政策的応用(遠藤 慎一)
シンギュラリティ後の人間がAIに対する印象を研究した架空の論文である。リアリティを増す効果はあったと思う。
◎わたしを数える(高島 雄哉)
舞台は怪談だが恐くはない。突飛な世界でおこる“数える”という行為は、時たまついていけなくなることもあったが、楽しめた。
◎イージー・エスケープ(オキシ タケヒコ)
静かに始まり大きく終わる。とてもSFっぽい作品。本格的だが気軽に読める。ハードSFとして読むと、いろいろ突っ込みたくなる部分もあるので、物語として素直に読むのがいいと思う。
◎環刑錮(酉島 伝法)
悲しい物語なのだが、主人公がミミズのような生き物だと思うと、個人的にはあまり好きではない設定である。物語としては面白いので、映像ではなくてよかった、小説として(文字として)楽しめたのは自分にとってよかった。挿し絵があったけど、そこは我慢した。
◎神々の歩法 (宮澤伊織)
第六回創元SF短編賞受賞作として収録されている。作品自体はラノベチックなところ(ニーナのキャラ設定であるなど)もあるが、普通に楽しめる作品である。続編も期待できる。物語の展開が想像の範囲であるので、読後の驚き範囲少ない。
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長谷敏司「10万人のテリー」まさかのカードバトル。デュエル脳最高だぜ!めっちゃ楽しい。
下永聖高「猿が出る」進化していく猿。こわい。
星野之宣「雷鳴」恐竜の巨体の謎。
理山貞二「折り紙衛星の伝説」『夏色の想像力』読みたいなあ。
草上仁「スピアボーイ」前回の「ウンディ」も好きだったけどやっぱり楽しい。宇宙西部劇。
円城塔「Φ」これは既読。
堀晃「再生」手術を受けるSF作家。私小説のような。
田丸雅智「ホーム列車」これ関係ない人も移動してしまうのでは…と思ってたらやっぱり。
宮内悠介「薄ければ薄いほど」うむ…薄い。
矢部「教室」授業つらすぎる。
伴名練「一蓮托掌(R・×・ラ×ァ×ィ)」寓話調に双子がどんどん割っていく。
三崎亜紀「緊急自爆装置」役場は大変だなあ。
諸星大二郎「加奈の失踪」栞と紙魚子をここで見ることになろうとは。
遠藤慎一「「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ~その政策的応用」こういうの好きだな!
高島雄哉「わたしを数える」ラノベにできそうで好き。
オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」日本人・本名ってのが印象に残りすぎて。
酉島伝法「環刑錮」珍しくストーリーを理解できた。
宮澤伊織「神々の歩法」『ウは宇宙ヤバイのウ!』の人か!ベタベタですけどピザ配達の件が好き。
長谷敏司「10万人のテリー」、草上仁「スピアボーイ」、遠藤慎一「「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ~その政策的応用」、宮澤伊織「神々の歩法」辺りが特に好きかな。
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読むものに迷ったらつい手を伸ばすSF短編集いつもお世話になっています。なので『Φ』『薄ければ薄いほど』『ホーむ列車』は既読でした。高島雄哉さん『わたしを数える』が一番良かった!他の作品も読んでみたいと思いました。草上仁さん『スピアボーイ』好みの話過ぎて先が読めてしまいましたがそれでも良かった!御馳走様でした。
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長谷敏司『10万人のテリー』★*3
さすがシンギュラリティ世界だからか対人対戦ゲームを5年間運営で調整2回で済む
凄すぎる
人間の想像力につきあってあげなければならないのは大変だ
単体としては文章の癖が印象悪いかも
下永聖高『猿が出る』★*3
普通に対決してあっさり倒せてしまうところが独自後味
長さのわりにはすっきりせずもうひとひねり欲しい感じ
星野之宣『雷鳴』★*4
硬式飛行船が行けるんだからまして地上専用ならばみたいな
タイムマシンが実用化されてもそういうことが問題になるという落ちが秀逸
作者らしい佳品
理山貞二『折紙衛星の伝説』★*3
郷愁雰囲気夏のロケット
ブラッドベリもSF
いまひとつ感興弱い
草上仁『スピアボーイ』★*4
カウボーイものというのが意外と目新しく良い感じ
西部劇も時代劇のひとつだと思うけど
娯楽活劇としては広がりが弱い
円城塔『Φ』★*3
泡坂妻夫作品風とでもいうべきか
形式先立ち過ぎで
この作者作品としては普通
堀晃『再生』★*5
外科手術を体験風に余談なく描いただけでありながら
しみじみ感が良くできた一作
短編小説かくあるべき
田丸雅智『ホーム列車』★*5
ショートショートとして過不足なく収まり良い一篇
隅々上出来
宮内悠介『薄ければ薄いほど』★*4
希釈するほど薬として良いという
理性に反するが納得させられる雰囲気を持つ事柄は面白いが
まとまりはもうひとつ
矢部嵩『教室』★-
SFというか雰囲気ホラー
ホラーはよくわからない
悪趣味なら偉いのか
伴名練『一蓮托生(R・x・ラxァxィ)』★*4
R・A・ラファティ作品の変奏
元がありきだが味わい再現度が上手
もうすこし短くまとめて良かったのでは
三崎亜記『緊急自爆装置』★*4
題材どうこうより職場ものとして嫌々しく良くできている
世界よこれが日本の職場だ
他の国もこうかもしれないけど
SFというかブラックコメディなのだがそこは弱め
諸星大二郎『加奈の失踪』★-
星野之宣と両御大を並べたい気持ちはわかる
題材の「魚籠に加奈の首」というのも確かに前例が思いつかないお題ではある
でもこの作品がそれはともかく面白いかというとどうか
それはともかくというのが違うのか
遠藤慎一『「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ-その政策的応用』★*4
論文形式にしっかり合致した内容で高い評価も頷ける佳作
「薬は薄いほど効果的」が理性と間隔の乖離を思い起こさせるように
「不気味の谷」「恐怖の谷」「恍惚の峰」も想像されて面白いが
『ビートレス』世界ほどひねらなくとも
シンギュラリティ環境下ならではの落ちがあってよかったのでは
高島雄哉『わたしを数える』★*4
表題作と同じような感じだが
核となる登場人物とそれが数えるという意義でSFに転回する設定が面白い
秀作
オキシタケヒコ『イージー・エスケープ』★*4
娯楽活劇その2
作成された背景上の必然か設定描写が多いが
上手く収まっているのは他作品でもある良いところ
登場人物が普通すぎて話の展開が狭いのが欠点か
酉島伝法『環刑錮』★*4
ファンタジー作家としての高い力量を感じさせる凡百にない独創
自覚的に使いこなせていて偉い
広く受けはしないにせよ狭く高く評価される作風
宮澤伊織『神々の歩法』★*4
『僕の魔剣が~』の一巻感想に書いたように
良くできているけれどあまりこの作者ならではというのがない
テンプレセリフ喋ってるだけでなく
決めるところは決めるから幻蔵せんせいは良いキャラなんですよ
作者もわかってるだろうけれども
とりあえず選評にある「歩法の影薄」がその通りだと思う
他の娯楽活劇『スピアボーイ』『イージー・エスケープ』と比べても
一長一短に達しているので
長所を磨いて頑張って頂きたいところ
SFマガジンが隔月化して発表の場がますます減っているけれど
電子書籍や私家版などでSFの勢いはまだまだあるぜな解説が
時代を感じさせる2015年
いや2014年の選集か
今回これはと思ったのは堀晃『再生』次点で『ホーム列車』くらいで
突き抜けた傑作というのがなかったのは残念
来年でなくあと20日ないが今年に期待
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長谷敏司「10万人のテリー」
下永聖高「猿が出る」
星野之宣「雷鳴」
理山貞二「折り紙衛星の伝説」
草上仁「スピアボーイ」
円城塔「∅」
堀晃「再生」
田丸雅智「ホーム列車」
宮内悠介「薄ければ薄いほど」
矢部嵩「教室」
伴名練「一蓮托掌(R・×・ラ×ァ×ィ)」
三崎亜記「緊急自爆装置」
諸星大二郎「加奈の失踪」
遠藤慎一「『恐怖の谷』から『恍惚の峰』へ~その政策的応用」
高島雄哉「わたしを数える」
オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」
酉島伝法「環刑錮」
宮澤伊織「神々の歩法」(第6回創元SF短編賞受賞作)
SF?とは言い難い気がしますが「再生」は面白かったかな。「わたしを数える」も電脳空間でお菊さんが皿を数えるイメージがなんか好きです。
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20190427-0503_座間味ダイビングツアー中に。
アンソロジーであるため、作風は多彩。
アイディアも多彩。
気分を変えつつ読了。
作者の言葉や解説も興味深い。
お気に入りの作家や作品を深読みする手がかりにもなるかな。
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豊穣な年だったようですが個人的には期待値ほどではありませんでした。やっぱり国産SFと相性がわるいのかもしれません?
[○]長谷敏司「10万人のテリー」/カードゲームのレアカードのデータに人格を分割コピーしたオーバーマンが世界大会でデータが集まり甦った。世界の命運を賭けたゲームがいま始まる。《ゲームみたいな悪役がいれば、世界がゲームみたいになると思わない?》p.26。シンプルで三十分アニメにしたら楽しそうです。
[△]下永聖高「猿が出る」視覚に猿があらわれしだいに進化していくのと同時に恋人との仲が進展し結婚、娘が生まれる。
[○]星野之宣「雷鳴」恐竜があの巨体でなぜつぶれなかったのかというのは昔から疑問に思っていましたがそのひとつの案ですね。『星を継ぐもの』では月がまだ衛星でなく地球の自転がめっちゃ速かったからという説で面白かったのですがそれより現実的かも。
[△]理山貞二「折り紙衛星の伝説」《それなら自分は、と彼は思う。墜ちない機体を作ろう。金星の空をいつまでも飛び続けられる飛行機を作ろう。》p.119。しずかに淡々と。
[△]草上仁「スピアボーイ」名を馳せたロートルカウボーイが自信満々な若者の挑戦を受けて・・・という構図の西部劇。馬ではなくジェット推進で飛翔する回遊魚のような生物スピアを駆るスピアボーイですが。
[△]円城塔「Φ」宇宙、言葉、自己、一文字ずつ。
[△]堀晃「再生」不整脈の手術、宇宙の構造。
[△]田丸雅智「ホーム列車」大阪環状線を利用しているとときおりホームの方が走ってもええんとちゃう? とか思うことがあります。あと、駅のホームがひとつなががりになってたり、あるいは全部の列車がひとつながりになって動いてもええかも(それはムービングウォークか)とか考えることがあります。そんなお話。
[△]宮内悠介「薄ければ薄いほど」《自己存在を限りなく薄めたその最果てに、自己の不滅があるのだと》p.271
[▽]矢部嵩「教室」とある日の教室の風景。
[▽]伴名練「一蓮托生(R・×・ラ×ァ×イ)」双子はなんでもまっぷたつにしちゃう。
[△]三崎亜記「緊急自爆装置」市民には自爆する権利があるがお役所的にはなかなかたいへん。《業務を円滑に遂行する上では、抜本的な解決能力ではなく、調整能力の方が重要である。》p.327。このくらいのナンセンス度が読者の現実感を喪失させるのにちょうどいい感じですね。星新一さんっぽい読後感も。
[△]諸星大二郎「加奈の失踪」なんか不自然なセリフと思っていたら・・・びっくり。
[△]遠藤慎一「『恐怖の谷』から『恍惚の峰』へ~その政策的応用」論文っぽい形の小説。純文学系では評論っぽい小説はときおり見かけますがSFと科学論文は相性よさそうでほんとうにありそうな気がしてきますね、恐怖の谷と恍惚の峰。そしてそれを利用しようとするあるいは利用してきた何ものかも。
[○]高島雄哉「わたしを数える」人間が数えるという機能を失った後もお菊さんは数え続けていた。《数えることは確認することなんだ。》p.378
[○]オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」ガンダムSEEDのコーディネーターと地球のような関係の中で亡命を成功させる逃がし屋。SFはまず特異なあるいは興味惹かれる設定が重要で基本的に馴染みのない世界なのでやはりストレートな物語性があり魅力的なキャラクタが出るといいですね。あと思いがけない展開と。尖ってるだけでは読みにくい。「トリノホシ」は持ってるはずですがPS2が壊れたのでまったくプレイできてない・・・
[▽]西島伝法「環刑錮」うにゅうにゅうにゅ。《自身の脳もまた牢獄なのだ。》p.468
[△]宮澤伊織「神々の歩法」既視感がありました。いろいろ考えて、ウルトラマン? と思ったときかつてこの続編のような話を読んだことを思い出しました。調べたら「草原のサンタ・ムエルテ」という作品でした。そこで触れられていたかつての事件を読めたということでしょう。ニーナと船長は『ケロロ軍曹』のアリサとネブラの感じ。最後に出てきた兵器は「鉄血のオルフェンズ」でバルバトスを貫いたヤツや他でも似たようなのを知ってるような気がするという感じでどこかで見たような設定ではありますが普通に楽しめました。