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穂村弘が、
大島弓子のある時期の漫画は、まぶしすぎて読み返せない、
と書いているのを読んで、わかる! と快哉を叫んだことがある。
大きな家ではない。
自然、一定期間ごとに本を売らなければならない。
そのころの私は荒んでいて、自分への怒りや嫌悪を、小説や漫画や映画や音楽にぶつけてしまった。
『綿の国星』もその被害に遭ってしまったのだ。
あのとき確実に私の一部は死んだ。
手放さずにはいられなかった本である。
……じゃがいもで作った犬みたいな顔をした男が何をか言わんや。
好きと嫌い、好きと好きじゃない、嫌いと嫌いじゃない、
生きていると死んでいる、生きていると死んでいない、死んでいると死んでいない、
が濃密に圧縮された短編集。
これを読んで、少しだけ生き返った気持ち。
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「夢虫・羊草」→表紙の女の子はこの物語から。
父親が、同級生の母親(シングルマザー)と恋愛関係になって、離婚する話。娘の林子は同級生の男の子と一緒に暮らすかもと少し思う、結局は母の方について行ってその地を離れるのだが、小学生特有の心理描写が好き。
「水枕羽枕」→大学生の姉に振り回される妹の話。実は当時家計が苦しく妹は中絶されようとしていて、しかし赤ん坊の姉が病院に行こうとするたびに泣き喚き、機を逸したのだった。姉妹としてむかつくところもあるけれど何だかんだ愛がある感じが良かった。
「ダリアの帯」→表題作。階段で足を滑らせた妻は、それが原因で流産をする。自身が妊娠していたことに気づいていなかった妻は、徐々に常軌を逸した行動を取るようになり、夫のことを振り回す。ついに夫は会社を辞め、妻が望んでいた自給自足の生活を二人きりで送る。
ずっと妻が話しかけていたのは、有形無形森羅万象あらゆるもので、亡くなった夫は心穏やかに歳を取らない妻といつまでもいれると思う。すごい規模の救い。社会から外れたところにある安寧で、不思議な読後感だった。大切に心に取っておきたい世界。
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宝くじが当たってビンテージマンションを買った漫画家のはなし「ノン・レガート」が一番好き。神社にお参りするたびに、上で大島弓子さんタッチの神さまが願いごとを聞いてる想像をいつもしてしまう。