紙の本
これは短編集「ニート」に入っている「愛なんかいらねー」の続編
2024/02/07 21:05
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは短編集「ニート」に入っている「愛なんかいらねー」の続編である。そこに出てくるスカトロ好きの乾ケンジロウの話である。前の話はスカトロの描写がエグくて気持ち悪かったが、ここではそのような描写はない。ラストの描写が意外だった。ただ、もう一度読む気にはなれない。
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だらしない男の話。
続編てそんな本なかったけどなと思ったら
そういうことだったんだな。
当然あらちは全く覚えとりません。
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いつもながら一切無駄のない乾いた文章。
にもかかわらず、独特の色気がある。
文体に惚れてまう、いやほんまに。
まぁ、よくもここまでリアルにくず男を描けるものだと、
いつも感心させられる。
ウソつきで軽薄で倒錯者で非道で気まぐれで・・
嫌な奴、なのに哀しい。
どこにいても、誰といても、
常に居場所のない生来の「ヨソ者」。
そんなヨソ者、乾の、
愛することも愛されることも
信じることも信じられることも
認めることも認められることも知らない、
透徹とした「コドク」を、
美しく、
正しいとさえ感じる。
だって、乾こそが人間そのものでしょ。
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生まれながらの「たびの人」。
どこに住んでも、誰といても、何をしても、きっとそこで生きている実感が持てないのだろう。
生まれながらの「よそ者」の人生。
変態性癖や嘘つきであることや無駄に持っている資格や、そういうあれこれに何重にも守られて保っていた何かを解放したラスト。これでようやく楽になれたのか。
(『ニート』の中の「愛なんていらねー」につながる物語)
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何だかわからないけど「凄い!!」
実は人生初のぎっくり腰。動けない程の重傷ではないのですが、動くほど悪化するようなので一日会社をお休み。普通の倍くらいの時間をかけて行った整形外科医院のジジババ一杯の待合室で読み始めました。
いきなり引きずり込まれます。待ち時間1時間半。その長さが気にならないほど没頭していました。
まともに読めば不愉快な主人公です。パリへの留学経験を持ち高学歴でありながらヒモのように暮らし、変態的な性癖を持ち、金貸しとして陋劣な手段を平気で行い、他人を顧みない。しかしそんな主人公がなんだか愛おしくなる。何やら著者の魔法にかけられたような。その不思議さも小説というものの楽しみだと思います。
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富山の美術館に足を運んだ時にこの小説が掲載されていて、久しぶりに絲山さんの本を手に取ってみた。ニート以来倦厭していたのですが、まさかニートの続編とは思わず…。タイトル見れば分かるんだけど笑。やっぱりちょっと苦手かも。
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「ニート」収録作「あいなんていらねー」で語り手を翻弄するスカトロ男がいたが、彼のその後。
不思議な題名が気になるが、表紙にはカミュ「異邦人」(すなわちよそもの)、裏表紙には乱歩「芋虫」が刻印されているらしい。
そして絲山秋子ならでは、不在の人物こそが登場人物を操っていると、あるタイミングでふと気づかされる。
本書では弟だが、実は書き出しすぐに言及されていた。
ただしそれを初読時に感じさせることないほどにふらっと現れた語り手。
本が開かれたから現れたといえるほどに。
(まあ成田さんと別れてしばらくヒモ暮らしをしていたみたいだけと)
流れるように新潟に行き、好きになった女と結婚するが、「不愉快な本」(性)を預けきれない。
なぜなら彼にとって生は孤独で、性は孤独を際立たせる苦痛に他ならないからだ。
ちなみにいつも怒っているところにキュートを感じるというところ、とても「いい」。
相手の浮気を知り富山へ。
ここでジャコメッティに感動。芸術ってやつはお互いの魂が飛び出しちまうことなのか。言葉を捨てることの快さ。
たまったま再開した同級生が空き巣趣味に狂っていることを知り、衝動的に美術館から盗み出したジャコメッティをあげて、逃亡。広島は呉へ。
弟の死を知り、時間が止まる。
そして本の中へ入ってしまう。
書かれたコトになり、ボクを読むあんたと向き合っている。
筋だけを追えばなんということのない駄目男。
しかし方法に意識的で、知的で、深みのある小説。
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フランス留学を機に場当たり的な人生を送る主人公の一人称伝記。
文体はキャッチャー・イン・ザ・ライのオマージュ…てか単に馬鹿にしてるのかな?と。主人公のいい加減な放蕩人生に至る経緯はいっさい描かず,ただこーいうダメ人間はいるんだよ理由なんてなくて?という描き方と地方都市の描写は絲山さんぽいなーと思いました。
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思わず手にとってしまうタイトルに衝動買いしましたが、短編集『ニート』に収録されている「愛なんていらねー」の著者を主人公にした作品なのだそうです。短編のスピンオフのはずが堂々の1冊になったというところでしょうか。いわば続編ではありますが、本編を知らなくても問題なく読めます。本編は私の苦手なスカトロの描写もあるようなので、むしろ知らずにいてよかったかも。(^^;
この続編から察するに、主人公のボク、「乾ケンジロウ」はイケメンの賢い奴。しかしというのかだからというのか女が放っておかず、ずっとヒモとして暮らすろくでなし。性的倒錯者でもあるが自分のほうから女にのめりこむことはない。そんな彼が初めて恋をする。金を貸してやった友人を追いかけて行った新潟で。結婚までしたのに、まさかの相手の浮気。恋破れて乾は富山へ、そして故郷の呉へ。
ろくでなしなのに、なぜかこの男には惹かれます。嫌な奴になりたいのになりきれない。スカトロの描写があるとしてもやはり本編を読もうかなと思ってしまう(笑)。各地を転々とする彼が出会う言葉がまた面白くて、それを書き切る著者の感性にぞっこん。呉ではよそ者のことを「たびの人」というのですね。素敵です。
タイトルは主人公自身を表しています。「ほんとはどういう人間なのかと聞かれたら、不愉快な本の続編みたいなもんでしたってはぐらかすかもしれないね」。不愉快でも知りたくなる。
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2017年、37冊目です。
主人公の故郷の町には、何度か行ったことがあるので、物語の最後あたりで急速に親近感を感じました。
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読んでないと思ったら単行本版で読んでいた。
誰もが持つ不愉快な本に身を委ねることは理想であれども難しい。
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呉から始まり、各地を転々とし、呉に終わる話。主人公が終始好きになれず、物語にも結局いまひとつ肩入れできなかった。