紙の本
虚構が境界線を越えて...
2020/09/25 18:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:枝乃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代に懐古趣味がまざった怪奇幻想系の連作短編集。隠れ長編の赴きもあるので、最初から順に読むのがおすすめ。古本を媒介に、虚構が境界線を越えて現実に迫ってくる方向性かと思いきや、そんな単純な仕掛けではなかった。各話の「私」は同じ古本屋で購入したのか、という疑問も最後まで読むと吹っ飛んだ。一編ごとにゾワリとする。夜にひとりで読まない方がいい。できれば、同じ空間にペットでもいるほうが安心する。
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久しぶりの芦辺拓。ご多分に漏れず『良い読者』ではなかったわけだが……。
本格ミステリの著者ではあるが、本書は怪奇幻想小説。作品もさることながら、古書という自分にとっては身近な世界を舞台にしているだけに、文章のひとつひとつが突き刺さっていたたまれない気持ちになることも多かったw
『本に閉じ込められる』というのは別に不幸でも怖くもないよね。寧ろ幸せだよね……(ちょっと人としてダメっぽい)。
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陳腐と言えば陳腐な構成。
特に感慨はなく読了。
無理やりかつパラドキシカル さらに
無限の合わせ鏡のような設定は
決して心地よいものではない。
どっと疲れた。
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『また買ってしまった─』からはじまる短編集。
古書怪異譚とあるだけあって本好きはもうそれだけで惹かれるものがあります。
装丁やタイトル、発想はすごく好みでワクワクしましたが本編はもちろん悪くはないもののなんだか物足りない感じというかなんというか…。
予想外の突飛な展開とか驚くような展開はなかったように思います。
さらっと肩肘張らず読めるので怪異譚とか不思議系の話、古本が絡む話なんかが好きな人は一読を。
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初めての芦辺拓。
「幻想怪奇の魅力を横溢させた、全六編の悪魔的連作短編集!」
という煽りに期待して読んだらガッカリする。
この世界観、嫌いじゃない。嫌いじゃないんだけどなんか残念。
【こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻】
【青髯城殺人事件 映画化関係綴】
は好みだったのに、オチとなる表題作でしらけてしまった。すごく蛇足に感じる。
作者のあとがきと解説まで込みの作品なんだろうけど、本編で盛り上がらなかった読者には逆にあの煽りにイラっとします。
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短編で読みやすいです。
不思議で少しゾッとするようなお話し揃い。
最後は驚きの結末で若干のホラーでした。
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本屋のポップに惹かれて手に取るが、家に帰ってさあ読むかと言う段になって再び表紙を見て少し後悔、私に合う本か。。。?
古書好きな主人公が古書を書うところから始まる短編集。古書との出会いでその本にのめり込み、奇妙な体験をすると言うもの。
読んでいるときは、合わないなと2話読んで辞めてしまったが、物語の始まり方は良いのではないかな、私も本好きだし、本との「出逢い」と言うものを感じるし。そこからのストーリー展開が合わなかったんだよなぁ。
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「また買ってしまった」はとてもわかるのでそこに惹かれて読んでみたのですが、のんべんだらりとした本編に楽しめずに3話程で切り上げてしまいました。。
面白そうだったのですが。
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芦辺拓氏が「小説宝石」に連載されていたものを2013年にまとめて発表した古書店と古書を巡る連作怪奇短篇集の文庫版。第14回「酒飲み書店員大賞」を受賞。いずれの作品も現実と非現実のちょっとした隙間に迷い込んでしまった「私」がひどい目にあっています。全体的に少し懐かしい匂いがします。テンプレートは決まっているようですが、微妙にそれぞれの作品にカラーがあるので好きなタイプを探すのも楽しいかも。世にも奇妙な物語で映像化とかしたら良さそう。
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古書を買う人々を恐怖の世界に引き摺り込む、奇譚を売る古本屋。
買ってしまった本にどんどん吸い込まれていくその様子が不気味でした。
やはり「帝都脳病院入院案内」が一番面白かった。
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怪奇幻想小説や、日本のレトロな雰囲気が好きな人にとっては、この本の醸し出す、なんとも言えない匂いたつ雰囲気がたまらなく心地よいはず。
まずもって題名がいい。
『帝都脳病院入院案内』『這い寄る影』『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』…などなど、江戸川乱歩を彷彿とさせるレトロなセンスを感じさせる。
とある埃っぽい古本屋から、「私」は毎回古本を買ってしまう。
本の中身は多種多様であるが、いつの間にか本の中身にのめり込んだり、不思議な出来事が起こったり、奇怪な体験をしていく。
個人的には二作目の『這い寄る影』のなんとも言えない展開が好き。この話は、売れない作家の、貧相な作家性の哀れみが真に迫ってるし、いつの間にか、駄作である一連のシリーズを追ってしまうという、よくわからない好奇心が興味深い。
読んでいる最中には、たまらなく古書を手に取りたくなり、古本屋の持つ本来の魅力の一端を感じ取ることもできる。
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現代に懐古趣味がまざった怪奇幻想系の連作短編集。隠れ長編の赴きもあるので、最初から順に読むのがおすすめ。古本を媒介に、虚構が境界線を越えて現実に迫ってくる方向性かと思いきや、そんな単純な仕掛けではなかった。各話の「私」は同じ古本屋で購入したのか、という疑問も最後まで読むと吹っ飛んだ。一編ごとにゾワリとする。夜にひとりで読まない方がいい。できれば、同じ空間にペットでもいるほうが安心する。
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「また買ってしまった」。何かに導かれたかのように古書店に入り、毎回、本を手にして店を出てしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は目眩く悪夢へと引きずり込まれ、現実と虚構を行き来しながら、背筋を寒からしめる奇妙な体験をしていく…。古書蒐集に憑かれた人間の淫靡な愉悦と悲哀と業に迫り、幻想怪奇の魅力を横溢させた、全六編の悪魔的連作短編集!
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単行本を手に取った瞬間、オッと思います。
どこかノスタルジックな装幀。全体は薄っぺらいにもかかわらずがっちりした表紙の厚みにも雰囲気が有ります。そしてちょっと変わったフォント。なかなか凝っています。
「また買ってしまった―。」と古本屋を出た時のつぶやきで始まる6編の短編。ストーリー的にはどこか大正・昭和を思わせる幻想奇譚なのですが、その雰囲気の割にインターネットが出てきたりして時代は新しい。そして最後に物語がぐるり廻って・・・。
所謂「奇妙な味」に分類される作品ですが、切れ味はイマイチかなぁ、というのが私の感想。でもそれは最初に装填で期待してしまった反作用かもしれません。ぴったり嵌る人には堪らない作品のような気がします。ちょっと変わったB級奇譚をお望みの方に。
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「また買ってしまった。」古書店で一冊の書物を手に取った古書マニアの''私''は、読んでいくうち、奇妙な世界に落ちていく。そして読み手の自分までも、''私''に引き摺り込まれていく感覚。そして最終章、ようやく現実に戻ったかと思われたが…。短編6話。楽しい読書体験だった。