紙の本
ふざけているように見えるが一抹の真実が隠されている
2016/07/31 13:17
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここには25の相談と回答が収めてある。ほとんどどうしようもない相談が多い。町田康が人生相談?って違和感があったが、町田康はいつもの町田康である。ふざけているのかもしれない。いや、ほとんどふざけているようにしか見えない。でもそこには一抹の真実が隠されているのである。しかも本質的な。それが町田康である。
紙の本
人生相談回答者の条件は苦労人
2016/05/21 14:02
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投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生相談はあまり読まないのですが、やはり悩んでいるから
相談するのであって、それに対して弁護士や医師や有名人がとんちんかんな
回答をする、または「気にしない」など一番言ってはいけない言葉で
なぐさめるなんてことはこの本にはありません。
人生相談の回答者になる条件は「苦労人であること」だと改めて思いました。
タイトルにパンクとありますし、町田康さんのいつものぶっとび感覚
からすると不真面目な感じを受ける方もいると思いますが、
非常に真面目に質問に答えています。
あとがきにもありましたが、非常に悩んだということがよくわかる回答。
人間関係(恋愛など)の質問が多いですが、「他人を変える」のではなく
「自分を変える」ということを書かれています。何を言ってもやっても
他人は変わらないのだ、という諦観に納得しまいした。
いい人生相談。人生相談の回答者は苦労人でないと痛みや悩みがわからない
のですね。
紙の本
引きこもりからペットロスまで
2020/07/24 17:47
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の時代が反映されているお悩みばかりですね。ひとつの答えを押し付けるのではなく、相談者の背中をそっと押すような言葉が温かいです。
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この人がいなければ、自分は違う人生を歩んでいただろうというくらい強い影響を受けた町田康さん。
もっとも、違う人生が今より良かったか悪かったかは分からない。
さよう。
人生とは選択の連続で、ひとつびとつの選択が果たして正しかったのかどうかは死ぬまで分からず、また、死ぬ時にしたって「あの時、こっちの道を選んでおけば」と後悔した方の道を仮に歩んでいたとしたら、歩き始めた瞬間不慮の事故に遭ってとっくの昔に死んでいたなんてことも可能性としては、これは大いにあるのである。
そんな不確実性に満ちた人生を歩んでいくうえで付き物の悩みや迷いに答えたのが本書。
その悩みや迷いたるや深刻で筆舌に尽くし難く、たとえば中でもこれはというものを紹介するとー
「彼氏とは別のバンドメンバーを好きになってしまった」
「頼まれごとをうまく断りたい」
「酒の隠し方を伝授してほしい」
「身体を壊したが酒をやめたくない」
「顔がきれいだけど、心がどす黒い女に、簡単に騙される男が許せない」
ーなどである。
町田さんはこうした悩みや迷いに対して、実にユーモラスに丁寧に回答しています。
たとえば、「顔がきれいだけど、心がどす黒い女に、簡単に騙される男が許せない」という28歳、女性会社員からの相談には、
「外見が一目瞭然、一目見れば、綺麗かそうでないかがわかるのに比して、心というのは目に見えず、その本当の心、心根を知ろうと思ったらかなり深く付き合わないとわからないからです。結婚が少なからず失敗に終わる原因はここにあります」
などと述べます。
そのうえで、「恣意的に男性陣の外見のみを評価してみては」と助言します。
どういうことかと云いますと、男性が「顔がきれいだけど、心がどす黒い女」をチヤホヤするなら、あなたも女性として同じことをやり返せと云っているのです。
「具体的には、地道に仕事を頑張っている男性ではなく、アーパーで仕事はちゃらんぽらんなのだけれども顔だけは綺麗、みたいな兄ちゃん、そういうのが職場にいなければ、外見が百点にもっとも近い人、を選出し、その人だけをひたすらにチヤホヤし、休み時間に飴を持っていったり、ちょっとした贈り物をしたり、ほかの者には仏頂面で応対するのにそいつにだけは笑顔で接したり、ほかの者にはヤンキー丸出しの粗暴な言語で話すのに、そいつにだけは丁寧に、或いは、可愛いぶって喋る、などするのです。」
そうすれば、男衆(「おとこしゅう」ではなく、「おとこし」ね、「おとこし」)は「理不尽だ」と思うようになるそうです。
実に為になります。
「恋愛は不在の不安に妙味があり、結婚は常在の安心に意義がある」
「自分から遠いものに対して人間は驚くほど冷淡」
「選択肢があることによって、いまの人間は、あったかもしれない可能性、について後悔し続ける、という苦しみを常に負っているのです」
「夜空を見上げれば必ずある星を見て進むべき方向を知るための羅針盤です。それこそが親が子に与えられる唯一の正しいものです。ではその羅針盤とは具体的にはなになのでしょうか。それは実は単純で、様々の局面で、なるべく善き��とをし、なるべく悪しきことをすな、ということでしょう」
など、思わず唸る言葉も散りばめられています。
角田光代さんが帯に書いていますが、猫を飼っている方には、最後の回答をぜっひ読んでいただきたい。
ラスト5行に涙すること必定です。
では、さようなら、さようなら。
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読者からの悩み相談に、著者がユーモアを交えながら答えていったもの。
クスッとなりながらも、妙に深く重く感じる言葉や文章が出てきてハッとさせられた。
「自分が変わればいいのです」
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あのパンク人生を送っている町田康の人生相談。さぞかしパンクな回答なのだろうと期待して読み始めたが、パンク度が意外と低い。笑いを取りにいくわけでも無い。かと言って、「今すぐ活用できる」というのともずれている。パンクな彼が出した真摯な回答が「この回答」なのだろう。いろいろ、悟りを語ってみたり、時には破天荒になりつつも、本当に質問者の質問に真剣に答えている。町田康の回答の中にあった言葉で「人間を忘れっぽく作ってくれたことこそが神の慈悲」とあった。今、感じる痛みや悩みもいずれ忘れて過去の物になるのかもしれない。
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P59恋愛は不在の不安に妙味があり、結婚常在の安心に意義がある
読者からの悩みに適当に面白な回答をし、しかし意外と的を得ていて笑いながら関心した。
ありきたりな悩みに無駄に悩まされても、ちょっと違う視点というか広い目で見てみると悩んでる本質がズレていてはっとさせられることがあるよなあ。
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本当に大好きです。
ああ、私もマーチダ先生に相談したい。
もしマーチダ先生がそれに答えてくれたなら、私の人生ももっと薔薇色にマーチダ色に変わることでしょう。それが正しいかはさておき、無宗教の私がマーチダ教の信者に成り果てるのではと少しく恐怖も覚えます。
こんなにも真摯にうけとめて、かつあとがきにもあるように、同じ地平の目線から一緒に苦しみ抜いて答えたと、握った手だけは離さなかったと、なんとも愛溢れるこんなにも魂震える人生相談の回答者がかつてあっただろうか?
まだお目にかかったこともないが、もしそんな機会があったらば、何語話すまもなく興奮して血が駆けめぐって死してしまうのではないかと思うほど大好きです。
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あとがきまでおもしろかったです。「まだ生きている以上、たどり着いた瞬間、そこが出発地になるのではないだろうか、…(あとがき)」ナビにより問題が解決したように見えるけど、本当の目的はその到着後にあるのだよと、出張とか旅行とかを思えば確かにその行程をいかに過ごしたかで目的の達成具合も変わってくることがあるよなあと思いました。
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進路に選択肢があることによって、人はあったかもしれない可能性について後悔し続ける。失敗をするなら自分で選択したうえで失敗をしないとその失敗が身に沁みない。助言や忠言はかえって害になるだけ。なぜなら、どのルートが正しいかは誰にも分からないから。親の辿ったルートは、一刹那ごとに幻のように消え、同じ条件の同じルートというのは決して存在しない。仮に設定できたとしても双六程度の粗略粗雑なもの。親が子に言えることは、なるべく善きことをし、悪しきことをするな、ということぐらい。さらに付言するならば、夜空にある北極星のように同じ位置で、羅針盤のように輝くこと。せいぜいその程度であることを、しかと弁えなければならない。
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中島らもさん、開高健さん、遠藤周作さん、今東光さん
面白い生き方をしていらっしゃる人生相談は面白くないわけがない
また一人、そんな生き方をしていらっしゃる方が
町田康さんです。
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雑誌に掲載された人生相談をまとめたもの。相談への秀逸な回答は様々な経験をされてきた賜物なのでしょう。我々読者もそれら経験の一端を共有できるという非常にお得な(?)本です。
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どの相談に対しても、そもそも悩みの本質について追究し、独特な回答で面白かった。自分の悩みなんて、人からしたらバカバカしいのかなと思えた。
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相談に対する回答で、特に目から鱗な解決策なかった。
でもその解決策の書き方や、そこにたどり着くまでのあれやこれや考え巡らしているところに町田康節が炸裂していて良かった。
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むかしWEBサイトをやっていて、インチキの人生相談を載せていたことがある。とある著名人に見初められたりしてその気にもなったが、まあインチキだからいくらでも書けちゃうのだ。
この本は一応人生相談の体をとっているが、あんまり信じない。というかどっちでもいい。聖書や古事記に書いてあることが事実かどうか語っても仕方がないように、だ。
冒頭の質問からフルスピードだ。同じバンド内に彼氏がいるが、別のメンバーを好きになってしまった。別れたら気まずい。どうしよう。
それに対しての答え。メンバーを増やせ。ホーンセクションを導入して一挙に総勢22人ぐらいにして、下の名前を知らないとか渾名しか知らない人などが現れればしめたもの。いっそのこと管弦楽団ぐらいまでいけば、かなり薄まる。交響曲がかけないようならダンサーを大量導入する手もある。でもアンタ、そうなったら他のメンバー好きになるよね。
まったくもって、僕好みの答えだ。
なかにはいい話もある。だがダマされるな。いい話もきっと、相談者のためではない。すべては作品を作るための、相談のための相談に違いないのだ。けれど、そこにはそれなりの答えがあると思う。悩める人には何でも答えになるのだ。悩んでいない僕にも、新たな道が拓けるのだ。