紙の本
穏やかで地味な恋愛にときめきます
2012/02/01 23:34
14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみうま - この投稿者のレビュー一覧を見る
木原さんの小説は「イタイ」「ツライ」と思うものが多く、読む前に心構えが必要ですが、この『深呼吸』はとても穏やかな恋愛小説でした。
攻めは40男(リストラされてアルバイト生活)と、受けは30男(エリート・攻めの元上司で、リストラを言い渡した人物)の物語と聞いて、読む前はその関係性がギスギスしているのかとも思いましたが、攻めの穏やかで優しい人柄からか物語は終始穏やか。
受けもツンツンしているクールなエリートかと思いきや、内面は幼い部分もあり、親しくなるにつれて攻めに甘えて感情を露わにするなど、はっきり言って可愛い人です。そして何より一途。
木原さんの小説にはよく登場する、いわゆる『性格悪い』人物は登場しません。
大きな事件もなく、地味で穏やかな物語かもしれませんが、読み始めると終わるまで目が離せませんでした。地味かもしれませんが、最近読んだ本の中で一番大きな存在感がありました。
最後は気持ちがじんわりとあたたかくなり涙が出ます。
何度も繰り返し読みたい本になりました。そして可能なら、ふたりのラブラブなその後も読んでみたい!
紙の本
心ほっこりできます
2015/12/18 22:11
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:智蔵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
劣等感と不器用さ。
いうなればそれだけを描いた作品ですが、普通すぎる谷地に、いちいち動揺する秦野がいじらしくて可愛すぎる。
序盤、優秀な上司・秦野に劣等感を刺激されて腐るイマイチな部下・谷地の心情が描かれる辺りは、いつもの木原イズムなんですが、徐々に絆されていった谷地が、秦野を可愛いと思ってしまうようになってからが読みどころです。
そこからは大人な谷地と精神的に未熟な秦野、と言う構造となり、立場が逆転します。
恋愛という意味で、本当に好きな人に、どう対応していいか分からない秦野。最初こそ面倒な元上司の来訪を忌む気持ちが強かったはずなのに、いつのまにか谷地も(意味が分からないながらも)可愛らしく思えていきます。そうなると谷地の包容力のデカさが徐々に出てきて、最初の卑屈な男はどこへ行った? な感じになるんですが、その谷地がとても良い。
ロンドンへ行ってからの谷地がとにかく素敵で、甘い言葉を言ってしまって照れる所なんてもう悶絶モノ♪
木原作品の中で、個人的にはベスト1です。
電子書籍
さすがです。
2016/12/23 01:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
木原さんの作品は何時も、まるで映画を観てるような感じになります。
感情、時間の流れ、今回の谷地さんの時間の流れ空気感が凄くイイです。
続きを早く読もう!!
電子書籍
不器用な年下の上司と穏やかな年上の部下
2016/04/05 20:38
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る
イライラ落ち着かない不器用なできる上司を優しく包み込むリストラされた年上の部下のバランスの悪いカップルでした。のっけからややこしい関係性にこんがりそうになりながら読みました。プレイスの時と同じように自分の気持ちに素直になれない年下くんに少しイライラしながら、まとまったラストにホッとしました。
電子書籍
比較的、穏やか
2020/12/27 10:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Sota - この投稿者のレビュー一覧を見る
単なる元会社の冷血年下部下の榛野が、だんだんと可愛く見えてきます。
単に、谷地が能無し社員だったとも言えますが、、
結ばれるまでに、結構、時間がかかったのが、逆に良かったかな。
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投稿者:にゃお - この投稿者のレビュー一覧を見る
いや最初からなんとなく榛野は好き何ちゃうかなーと思ってましたが、それにしても坂口の意地悪にちょっとハラハラしたりしました。
イギリス編では榛野の気持ちにフォーカスが当たってて、正直二人がくっつく瞬間納得をしたのがいつかよくわかりませんでしたが、なんかすごく丁寧な文章を読んだ気分です。
電子書籍
こんなに優しい伏線の回収
2020/07/28 19:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:み - この投稿者のレビュー一覧を見る
木原先生の地獄な展開が好きなので、この優しそうなお話は後回しにしていたのです。主人公ふたりとも空気読めない・言葉にしないと伝わらない感じの人で会話が面白い。中年の魅力の描き方が素晴らしい。何気なく書かれていた断片が最後に優しく繋がるとても愛おしいお話でした。
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また泣いてしまったww 心に沁みる置き土産。穏やかなパターンだった。これも好きだな〜じんわり萌えた。構えなくても読めますw
プライドもエゴも忘れた時間の中へ一緒にいける相手。
一緒に働く弁当屋のおばちゃんの何気ない行動で、元上司に対する谷地の感情の振れ幅を表していて後を引く。グイグイ読む読む。
耳の所は、ギャっ!痛いのきたか!と思ったらそうでもなくて良かったwwwww でもお人好しでツイてない人ってキャラが毎度の如くリアルな感じで…。
お腹がいっぱいになる方がいい。ここズシーンときて胸が詰まった。その前のノンケ相手に容赦なく往復ビンタ食らわすようなロマンチックさの欠片もない告白wwwwwww が強烈パンチww 好きだw
ロンドンでの甘いところも楽しかったし。満足〜!!
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最後、谷地のいない部屋に帰ってきたとき、榛野がリンゴを食べて涙をこぼすシーンにもらい泣きしてしまいました。わかるわぁ…恋ってそんな感じよね… 全体的にほのぼのでキュンキュンしました。
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完璧主義な受が、攻男の前では相手にもされず失敗ばかり繰り返して悶々と想いつづけるところが健気で可愛らしかった。
攻のゆるい大人の魅力も受のうまくいかなすぎて拗ねてしまうしぐさもとっても良かったし、何か後ろ髪引かれるようなラストも作品の雰囲気に合っていて良かったです。
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木原さんらしい作品。
好きな相手の気持ちを考えすぎるくらい考えて
ぐるぐるしているホモと
鈍感ではっきり言われてようやく気付くノンケ。
『美しいこと』とか『恋について』とか
似た路線だと思う。
でも飽きないなぁと自分で思う。
普通似た展開だとお腹いっぱいになる傾向があるんですが。
榛野がカワイイ。
どうしてくれよう、コイツ、と思うくらいカワイイです。
相手が大人だから余計なんだろうなぁ。
ぐるぐるしちゃって。
話はよかった。本当によかった。
で、挿絵。辛口コメントしか吐けません。
この方の初期のイラストか何かですか。
この挿絵描きさんの漫画とかイラストとか見たことなくて
今回が初めてなんですが、ラストの正座絵がいただけない。
バランス悪すぎ。描線が素人臭い。
他、手が気になるくらいにダメ。
BL絵描きさんて手に萌える人が多いので手がヘタな人が少ないのに
珍しいくらい手に魅力がない。
この作品においては残念な絵描きさんのレベル。
他の作品では知らないので、上手い人なのかもしれないけど
本音を言えば、絵は不要だったかも。
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思考の傾向もペースも全く噛み合わない二人の間にどう恋が生まれ成立していくのかとても面白かった。冷徹で合理的思考ゆえに常に神経尖らせてる榛野だからこそ、独特の視点を持つまったり癒し系オヤジ・谷地に惹かれたんでしょうね。小説掲載作では推測はできるものの明確には描写されてない部分もあるけど、榛野視点の書き下ろしで推測の裏打ちを貰える感じ。榛野の心情がわかって可愛く思えます。終盤は木原さんにしては甘々じゃなかろうかと思える展開で和みました。wこれからもっと甘くなるってところで終わってるのも木原さんらしい。
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大人の男の背負っている世間体とか、矜持とかに同情しつつも、そのシビアなしがらみの中にきらっと輝くピュアでかわいい恋心や、飾り気のない本音に、キュンとさせられてしまいます。
主人公の谷地は43歳。BLというにはアダルトですが、読んでいるとそんなに年齢的なことは気にならない、いい男です。ただ、谷地はその年齢で外資系の会社をリストラされ今は弁当屋でアルバイトする身。出来ない男ではないのに、出世欲も無く淡々と無難に働いていたのがかえって災いした感じです。草食系そのもの。後でリストラされた理由がそれだけではないこともわかってきます。
そんな谷地が働く弁当屋に毎週やってきて弁当を買っていくのが、彼にリストラ宣告をした張本人の榛野。元上司でしかも年下です。彼がどうして弁当を買いに来るのか、谷地には不可解で、気分も良くありません。
『榛野が嫌なのではなく、彼が引き連れてくる感情が嫌だ。榛野が来なければ、自分は単なる弁当屋のアルバイトでいられる。そこに榛野が来ることで、自分は年下の上司に会社をリストラされた無能な男になる。』この一文で、谷地の複雑な胸中が一発で理解できます。
読んでるほうには、榛野が来る理由はBL的にわかってますが、常識的な感覚で生きてきた谷地には悪く勘ぐってるくらいに謎です。だから、坂口が言った「リバ」の意味もわからず、携帯での嫌がらせにも無反応な谷地の、あまりの鈍さにかえってドキドキさせられました。それが普通の感覚なんだろうけど。
書き下ろしでは榛野視点で話が進行して、谷地への想いの変化からリストラの真相まで、気になっていたことが榛野の気持で描かれていて、とても納得できます。
仕事も恋愛も感情的にならず、冷静でドライな榛野と、捨て猫にも餌を与えるような情があって、求める者を受け入れる器の大きさがある谷地はとても対照的。谷地はノンケで榛野の恋愛感情には気付かなかった鈍さもあったけど、ゲイを受け入れようとする心の広さは持ち合わせている男なのがよくわかります。しかも、ロンドンでは意外に積極的でした。相手の気持に気付けば、谷地なりのペースで距離を縮めようとしています。
そんな谷地の行動に舞い上がったり、動揺したり、らしくない大失態をしてしまったりあたふたして、果ては鼻血まで出してしまう榛野に笑っちゃいけないと思いつつ笑ってしまいました。冷血漢に見えた榛野のかわいらしさがいちいちあふれ出ていて何度読んでも胸が熱くなります。恋するってこういうことだよね、と心底共感しました。好きな人の前で、恥ずかしい失敗をしてしまう榛野の気持全てが愛しくなります。あるよ、そういうこと…っていうエピがいっぱいでした。
谷地もここまで来たらもう鈍いのか鈍く見せてるのか微妙です。分かっていて膝乗りになった榛野のことを楽しんでいたとしたら、ちょっとSっ気アリかも。二人のHシーンは後半のみですが、感情の高まりと絡んで、とても印象的です。谷地の主導権が意外に?すてきで、とてもよかった。
遠距離恋愛の切ない気持に胸が痛くなりました。経験あったらこれは泣けます。マフラーにリンゴ、静かな部屋の描写、どれもたまらなかった。
その後の二人も気になりますが、もっと気になったのはロンドンでの谷地の心境です。アレを見つけたときの気持ちを知りたい…
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読みながら、この流れでこの二人本当に最後くっつくのかな…と心配しながら読んでた。
他のBL作家さんだとこんな心配しないけど、木原さんならありそうで怖い。でも思ってたより全然ハッピーエンドで終わって良かった。
てっきり逆かと思って読んでたのでそこもちょっと意外。
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甘酸っぱかった!雑誌の続きがずっと気になってたのですが、思ってたよりずっとラブラブで甘酸っぱかったです!ハァハァ 初恋って素敵。今後の二人については坂口の榛野リバ発言に期待したいと思います。てか、雑誌の時点では当然逆だと思ってたよ…。