紙の本
よくよく考えてみるととても怖い本だ
2021/04/29 21:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
独ソ戦を読んだ後で、今更ではあるけれど、この本をよんでみた。お笑い芸人として、ヒトラーが現代社会に蘇って、「この街にはユダヤ人がいない、すばらしい」と絶賛する、そうするとギャグだと思っている観客は爆笑する、考えてみるととても怖い本だ
紙の本
現代に蘇ったヒトラーをテーマとした風刺小説です!
2020/05/15 11:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ドイツの作家ティムール・ヴェルメシュによって2012年に発表された風刺小説です。2010年代のドイツに蘇ったアドルフ・ヒトラーが巻き起こす騒動を描いた物語で、刊行されるや否や、ドイツではベストセラーになり、映画化もされた作品です!同書は、ヒトラーに対する数々の肯定的な描写から物議を醸しましたが、著者自身は、ヒトラーを単純に悪魔化するだけではその危険性を十分に指摘できないとして、リアルなヒトラー像を表現するためにあえてその優れた面も描き出したと述べています。現代に蘇ったヒトラーの面白く、楽しめる小説をぜひ、味わってみてください。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Fuji - この投稿者のレビュー一覧を見る
非常に面白い。
時代、世間、人間の表と裏が描かれている。
直視しなければ書くことの出来ない作品。
紙の本
今の時代だからこそ
2016/11/10 22:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はみぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
帰ってきたヒトラー
総統の行ったことは決して認められるものではないが、ユートピア思想の究極ともいえる状況が彼の思想だったと思うのです。
この本は相当の思想を面白おかしく冗談にしているように見えて、現在の多くの資本主義に根差した政治の閉塞状況を捉えており、とても分かりやす教科書であるとも言えます。
毛嫌いするのではなく、向き合ってみることに意味のある本だと思います。
投稿元:
レビューを見る
単行本が発売されたときから読みたく、早く文庫化されないかなと待っていた本書。
わたしの興味があるワードベスト5に入る『ヒトラー』。
これがタイトルに入っていて読みたくならないわけがない。
文庫化されたという情報を耳にするや本屋さんへ急ぐ。
どこだどこだと探したら、帯に映画化とある。へえ、映画化されるんだ。
ヒトラーが突然現代に蘇った。
周囲はヒトラーだとは思わず、ヒトラーの扮装をするコメディアンと思ってしまう。
こう始まり上巻は予想通り現代に蘇ったヒトラーとそうは思わない人々との間で起きる様々が面白く描かれている。
このままコメディで終わるはずはないので下巻でどのように現代を風刺させるか、どのように結末へ運ぶのかが楽しみなところ。
ドイツではタブー視されるヒトラーやナチスを敢えてドイツ人である作者が作品にするところが素晴らしい。
日本人にはなかなか出来ないことだと思う。
日本人は戦争の悲惨さは語るが、あくまでも被害者であろうとする。日本人が行った非人道的行為もきっとあったはずで、そこも含めて考えることが肝要だ。
面白く戦争についてのきっかけを提供する本だと感じた。
下巻へ。
投稿元:
レビューを見る
良く出来てる。日本では現代に蘇るのが宮本武蔵だったり、あるいは自衛隊を過去に送り込んだりしてるが、これをドイツで出せるってのは良い意味でタブーが無いんだろうな。名前を出すのも題材にするのもダメ、っていう言葉狩り的な思考停止に陥ってないのは羨ましい。どのように風呂敷を畳むのか。
投稿元:
レビューを見る
これはおもしろい。アドルフ・ヒトラー本人が死亡する瞬間に2011年現代にタイムスリップしてしまうというSF。ドイツの現在の文化や風俗を体験的に理解しているともっと面白いのだろうな、と思う。が、現代一般知識(例えばトルコ移民問題だとか€問題とか)と義務教育社会の教科書レベル知識で十分楽しめる。彼が現代に出現したらこんなに簡単に適応するだろうか?今だからこそあっという間に支持されそうな気がしてしまうのが、しみじみ肝が冷えますねぇ。
下巻が非常に楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
面白くて一気読みです!!ヒトラーが現代にタイムスリップ。噛み合わないようで何故か微妙に表面上噛み合ってく蘇ったヒトラーと現代人の会話に笑い、物語のなかのヒトラーが言う言葉や考え方に妙に納得しちゃうことも。続けて下巻読みます!
投稿元:
レビューを見る
文庫本になるまで待ってやっと購入、積ん読しているうちに映画を先に観てしまった。ちょと難しいから本の方にはなかなか手がのびず。だめなパターン。
投稿元:
レビューを見る
表紙イラストが秀逸だが…『帰ってきたヒトラー』という題名を視る以前に「ヒトラーの何か?」と思った…が、これは現代の世界を舞台にした、或る種のコメディーの小説で、非常に興味深い作品だった。
これはドイツで登場し、じわじわと話題になってベストセラーということになり、ドイツ語圏に留まらずに多くの国々で翻訳されているのだという。
投稿元:
レビューを見る
まず着想が面白い!笑えつつも説得力のあるというか納得させられるところが多い。「国民の真の代表者」ヒトラー。コメディとも、風刺ともまた異なる深い作品でした。
投稿元:
レビューを見る
コメディではない。風刺である。
タイムスリップしたヒトラーが現代文明を勘違いして巻き起こす騒動...だったら駄作になっていたと思う。
本作のヒトラーは誇大妄想のドンキホーテではなく、自分自身を「すでに総統ではなくなっているが、総統になる途上にある人物」と認識しており、復権に向けて着々と行動している。
彼は、世間から見れば「ヒトラー芸のコメディアン」だが、本人の視点では「マスメディアを通じて国民に影響力を及ぼしている段階」であって、世間の評判などは意に介していない。彼の中では1930年代の大衆も2011年の大衆も本質は変わっておらず、「以前、成功しかかった(「過ち」とは認識していない)道のり」を、現代のツールを使い、過去の経験を踏まえて、忠実な腹心と利用できる同調者を見極めながらリトライしている。
周囲の人物は、彼を過去の「アドルフ・ヒトラー」としては受け止められず(彼は1945年に死んだのだから)、「ヒトラー芸のコメディアン」として理解している。やがて「影響力、すなわち集票力のある人物」として既存政党の接触が始まる。そして、かつての人寄せパンダは「何事かをなそうとしている人間」になり、周囲も彼の主義主張と利害が一致する「支持者」や「崇拝者」に変わっていく...。
彼にとって状況は「二周目」であり、しかも民主主義のルールは変わっていないのである。
風刺というよりはホラーなのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
あのヒトラーが自殺直前のまま、現代に蘇るという設定で始まるコメディ小説。
コメディとはいいつつも、タブーぎりぎりの発言が出たり、風刺が効いていたりと問題作と言われるのが納得の作品です。
前半はヒトラー復活から、芸人としてテレビ業界に進出するまで
投稿元:
レビューを見る
「本人」が復活した。ただのモノマネじゃなく、「本人」であるから成り立つ。
みんながケッサクだと笑いものにしていながら、彼の野望に少しずつ近づいている感覚がするのが、笑っていられない。
作者の知識が非常に深いので、読みながら、そうだったのかと納得させられることが多いのもまた楽しい。この先の展開も楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
なぜかヒトラーが60年ほど冷凍保存され、2011年の現代ドイツに1945年4月末の意識を保ったままよみがえる。
ヒトラーが手がけたきた行為を反芻しながら、本書をよむことが、いかに面白いか。
映画化されたものは未聴だが、これは活字でなくては伝わらない面白さと著者の工夫が随所にある。
本書は、現代ドイツ版の『パパラギ』だろう。
70年前の筋金入りの国家社会主義者からみた現代は驚愕と落胆の連続であり、現代人からすれば懐古的な思想と発言しかできない男をどこまでも訝しく思う。
そして、それは徹底的な風刺であり皮肉であるが、そしてその皮肉を発する主体である「ヒトラー」その人物も、周囲からすれば「ヒトラーになりきった人」という見え方しかされていない。いかにこれが皮肉なことか。
現代におけるヒトラーの滑稽さと、ヒトラーから見た現代の滑稽さを、相当意識的に混同し、読者を困惑させる。賛同はしないが、応援は心から行う。
そういう小説ではないだろうか。