イギリスのマンチェスター大学の生物学博士ロビン・ベーカー氏による革命的な発見の書です!
2020/06/29 10:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、イギリスのマンチェスター大学の生物学博士であるロビン・ベーカー氏の作品です。同書では、ベイカー氏による興味深い実験とその驚くべき結果が紹介さr手います。一部を紹介すると、ベイカー氏は、合計約100組のボランティアのカップルから、約千個の射精された精子を収集しました。男性にはコンドームを渡してセックスやマスターベーションで出た精液を採取してもらい、女性には射精の後に膣から流れ出たフローバック(逆流)を大変な努力を強いてビーカーに集めてもらいました。そして、その中の精子の数を顕微鏡をのぞいて逐一数え、他の男性の精子がミックスされている時は精子はどのように違った行動をするかを観察したり、子宮内に残っている精子の数を割り出したのです。こうした調査を通じてわかったことは、射精された精液に含まれる精子の数は変化するということです。その変化は前回のセックスとの間隔がどのくらいあいているか、パートナーとどのくらい一緒の時間を過ごしたかに関係するというのです。これは、生物学者を驚かせる革命的な発見でした。この革命的な発見の詳細を知りたい方は、ぜひ、同書をお読みください。
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不倫の場面がケースとして挙げられ過ぎている。
でも、そのメカニズムは大変面白い。
それにしても、両性愛者のほうが早熟というのは、
本当に結論づけられるものなのだろうか……?
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『精子戦争』は、科学的な研究調査によって、人間の日常の性行動を解釈し直したポピュラー・サイエンスのベストセラー。震災後の日本では、不謹慎と受け取られかねない内容だったので、書評掲載を自粛していたけど、福島原発が終息するまで数年から数十年かかる見通しなのでw、書評をあげる。以下印象的な箇所のまとめ。
・女性の体が、二人以上の男性の精子を取り込むと、それぞれの精子は、卵子を受精させるために競って闘う。
・精子は一種類ではなかった。競争相手の侵入を阻む「ブロッカー」、競争相手を殺そうとする「キラー」、卵子めがけて突入する全体の1%にも満たないエリート集団「エッグ・ゲッター」など、様々な役割を持った何億もの精子たちは、たった一つの精子が卵子に突入するまで、戦争を繰り返す。
・男性と女性は、何故特定のパートナーを持って、ルーティン・セックスを繰り返すのか。男性が、常にパートナーの子宮に自分の精子を入れておこうとするため。男性は、女性の排卵時期がわからないし、恋人が他の男とセックスしているかも究極的にはわからない。女性自身も、自分の排卵時期が正確にはわからない。故にパートナーの女性が、他の男性の精子を受精しないようにするため、男性はパートナーの子宮の中に常に自分の精子を入れておこうと試みる。パートナーとのルーティン・セックスは、無意識に行われる生存維持行動戦略。
・女性は排卵の時期を隠す、意識的にも、無意識的にも。
・不倫男性とパートナーの男性の精子を両方取り込んだ場合、勝つのはたいてい不倫男性の精子の方。パートナーの男性の遺伝子では、子孫が守られないと思うと、女性は別のより強い男性の精子を取り込もうとする。これも無意識な生存維持行動戦略。
・長期関係を結ぶ男女のカップルの子孫繁栄戦略は、人間も動物も同じ。相手には不倫させないようにしつつ、自分は隠れて不倫をする。こうすると、子孫繁栄のための利益になる。
・私たちの4人に1人は、異なる父親から生まれた子ども。経済状況が悪い環境の女性ほど、パートナーの男性より経済的に優位な男性と不倫して、別の男の子供を設けようとする。社会的に優位な男は、複数の女性と関係しようとする。これは人間にも動物にも見られる行動。
・世界保健機構(WHO)の調査によると、19世紀後半のイギリスでは、子殺しは家族計画の方法として一番多く行われていた。母による子殺しは病的な行動ではない。生存が厳しくなると、動物の母親も子殺しを行う。子殺しは、母親の潜在意識が、現在の環境下では子どもを育てないと決心したことのあらわれ。
・争いの結果、オスザルを殺してメスザルを奪った場合、新しい夫となったオスザルは、メスザルの子どもを皆殺しにすることがある。メスを発情させて、自分の子どもを増やすため。
・人間は他人がセックスしているのを見ると興奮する。男性の場合は、セックスしている男性に代わって、女性とセックスできるようにする=自分の遺伝子を残すため、他人のセックスを見ると興奮する。女性の場合も同様に、自分の遺伝子を残すため、他人のセックスを見ると自然に興奮する。
・男性は何故マスタ��ベーションをするのか。無意味ではない。マスターベーションすると、たまって古くなった精子が排出されて、新しくて活動力の高い精子に変わる。すなわち、マスターベーションとは、次のセックスにそなえるための新陳代謝である。女性のマスターベーションにも似たような意味がある。
・口唇による性行為は何故行われるのか。相手の性器の味、形状、匂いを検知することによって、相手が健康か、すなわち相手の遺伝子が良質のものか判断できるようになる。
・女性のオーガズムは何故起きるのか。オーガズムが起きると、精子を卵管に取り込みやすくなる。つまり、精子戦争に勝たせたい相手の男とセックスする時、オーガズムが起きる。ただし、オーガズムは、受精したくない相手の精子を体外に吐き出す役割も持っている。女性は多様なオーガズムを使い分けて、遺伝子をより分けている。
・若い時は同性愛で、同性愛経験後、異性愛になる人が多い。何故か。同性愛は異性愛より性的経験を積みやすい。経験豊富なら、遺伝子獲得競争に勝ちやすくなる。
(所感)
新ダーウィニズム的、生存競争至上主義的な内容が鼻につくけれど、読むと発見はある。親が子どもを虐待したり、殺したりするニュースが、震災前まで多かったけれど、こうした家族殺しの事件がニュースになるのは、私達の人道意識が高まっているからで、子どもの虐待、家族内での殺人は、昔から普通に行われていたんだろう。
私たちは動物とは違って理性のある人間なのだから、子どもを愛し慈しみましょう、1人の異性と固定的な愛の関係を持ちましょうと、道徳的に説教ぶっても、生物としての人間は、理想的道徳教説とは異なる行動を取る。なんで避妊しないでセックスする人が多いんだろうと不思議だったけれど、この本を読んで納得。避妊しないでセックスするのは、無意識的によい遺伝子を残そうとするため、となる。
「できちゃった婚」などと言われていた時代はましだった。もう「できちゃった婚」という言葉も聞かない。最近の流行は「婚活」、更に進んで、「無縁社会」、「結婚難民」。今回の大震災と続く原発事故で、経済環境やら家族の環境はさらに悪化。こうした状況で人々は、あえて子孫を残さないという選択をするだろうか、乳幼児に危険な量の放射性物質が首都圏の水道から検出されている今でも、子孫を増やそうとするだろうか。
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ストーリーとしての性行戦略。優れた戦略の条件とは? あまりにも「シーン」に描かれている男女がほいほいと合体するもんだから面食らう。それにしても例として挙げられている生殖行為は避妊することほとんど触れられていない。そしてことごく女性は夫以外の男性の子供を求めているのは何故だろう。かつて読んだ竹内久美子の『浮気で生みたい女たち』を思い出した。
現実問題として、倫理を脇に置いておくと、おそらく多くの日本女性が考えるのは「夫と浮気相手の血液型が同じじゃないとバレるんじゃないか」という心配。海外に比べて日本人は血液型を把握したがる。その代わり海外では裁判沙汰になるとDNA鑑定が多いみたいだ。
驚くべきことはこれらの「シーン」がおそらく自論を説明するための著者の創作であり、元ネタとして被験者のヒアリング結果があるとしても、この内容に打ちのめされるのは、ホントのことが書いてあるかもしれないと思えるから。
電車の中で読んでいて、ふと周囲を見渡すと、すべての乗客がおたまじゃくしに見える。ああ、なんという宇宙。
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確かな研究を下敷きにしているのだろうが、にわかに信じられない解釈が続々。
無駄にケーススタディの描写が扇情的な気もするけど、臨場感はあってひきこまれる。
後半で、同性愛や睾丸の大小の子孫繁栄に対する貢献など、話が広がっていったのはよかった。
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面白かった! でも、同性愛についての説には疑問がある。若い頃の同性愛の経験が、後の異性愛に生かされて子孫を多く残せる、とのことだが、「性的な経験の早さ」と「同性愛的傾向」はどのように結びついているのか? たんなる相関ではないのか? また、女性の同性愛は始まるのが遅い、というが、その場合、男性の同性愛と同じように説明できるのだろうか?
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[ 内容 ]
射精された精液に含まれる精子の数は変化する。
それは前回のセックスとの間隔や相手と一緒にいた時間に関係する―この驚くべき著者の理論は、全世界の生物学者を驚かせた。
私たちの日常の性行動を解釈し直し、性に対する既成の概念を革命的に変える、まったく新しい観点から生み出された衝撃作。
[ 目次 ]
1 世代勝ち抜き競争
2 ルーティン・セックス
3 精子戦争
4 不倫のコスト
5 密かな期待
6 失敗も一つの戦略
7 遺伝子ショッピング
8 オーガズム
9 セックスのテクニック
10 異性愛と同性愛
11 子孫繁栄の総得点
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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二重の意味で大人向け!一つは単純、性の詳細の話だから。人間の全ての性的な行動を、精子と卵子の活動からボトムアップで論理付ける本論は大人でないと理解できない。もう一つは厄介。不倫にまつわる行動の詳解があまりに強烈で、脆い家庭だったら崩壊させかねない力があるから。不倫に対する心構えを持てない人には決してオススメできない劇薬的な一冊。感情は確かに論理を越えるけれども、その感情さえ肉体の論理的な活動による支配の結果なのだとしたら…。
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書い直し。衝撃的で重要な研究だったわけだけど、余計なシナリオみたいなのいらんよね。これのせいで読めなくなる。
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散々、遺伝子の生存戦略的に不倫が最適という話をしておいて最後の章で上手くいった純愛(一夫一妻)がなんだかんだ一番いいという話を持ってきたのは大トリとして逆によかった。