紙の本
クレーヴ夫人は、フランス貴族にあるまじき人
2023/10/03 09:27
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フローベールの「ボヴァリー夫人」、「感情教育」、ラクロの「危険な関係」、スタンダールの「赤と黒」、バルザックの「人間喜劇」、フランスの貴族社会に巣くう連中は男も女も「玉の輿に乗りたい」とか「いい女(男)と寝たい」とか、そんなことばっかり思っている連中ばかりかと思っていたら、この作品の主人公、クレーヴ夫人は、そんな私のフランス貴族に対する先入観を和らげてくれた、貞操観念が強く、たとえ好きになった相手であっても夫以外の人と淫らな行為をするなど及びもつかない(まあ、庶民の生活では当たり前と言えば当たり前のことなのだが)、ラファイエット夫人は16世紀の王族、貴族の世界を歴史上の実際の人物と架空の人物を巧みに織り交ぜて私を楽しませてくれた
紙の本
豪華絢爛の宮廷での恋愛
2024/02/19 20:48
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
恋愛文学の古典を読んでみようと手に取りました。登場人物が多く、関係が複雑に入り組んでいて、読むのが大変です。
主人公のクレーヴ夫人は絶世の美女、相手となるヌムール公も完璧な容姿。誰もが一目で好きになるような二人、そして繊細な心理描写、正に恋愛ものの王道ですね。
この二人の話だけでなく、政治や出世のための婚姻や策略等、宮廷やその周りの生活はなかなか厳しそうです。この方々に支えた人達は更に大変だったのでは。
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・フランス恋愛文学講座で取り上げられたのをきっかけに読みました。
めっちゃ良かった!
クレーヴ夫人の年齢など事前にお話しを聞くことができたりして、あの時代の結婚と恋愛は今とは違う。
マヌール公とあのような結末になったけど、そうだからこそ今に残ったのかな。
欲しいものは手に入れたら終わりなのかも。2人とも焦がれるような気持ちでずっといられてある意味しあわせだったかも。そういうのって時効があるから。
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1678年初版の宮廷恋愛小説。恋愛と結婚の二律背反に苦悩する三角関係を描き、その結末が物議を醸した名作。
16世紀のフランス宮廷が舞台ということで、序盤はたくさんの人名が出てきて戸惑うが、いざ物語の本筋に入るとほぼ主要人物3人の話なので読みやすい。恋愛感情に伴う男女のあらゆる心の機微と、結婚という義務と責任で揺れる苦悩が生々しい。背景にこの時代の貴族社会の特殊性があるとはいえ、状況自体は舞台をどこに移してもありえそうな、というか普通によくある話ではある。この小説が特別なのは内面・心理の描写の細やかさと、ヒロインのとった決断と行動にあるのだと思う。この結末が読む人それぞれに賛否あるのは当然で、彼女の選択肢には絶対的な正解などあるわけもない。かのスタンダールは否定派で、彼女は○○すべきだったと書いているとのこと。真の愛情とは?女性の幸せとは?女性の自律とは?出会いのタイミングという運命の理不尽さ。感情と理性の葛藤。色々と考えさせられるが、自分はクレーヴの奥方に拍手喝采した。なによりもクレーヴ公に同情した……。
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恋は時間が過ぎれば冷めるもの、まして不倫の恋愛は害あって益なしと知ってる女性の、わかっているのにも求めてしまう恋の苦しさを、これでもかこれでもかと描いています。
はじめは少々イライラもさせられるほどで、両思いなのに結ばれない、結ばれようとしない自制心の苦しみ、そんなに苦しむなんて無駄…とか、ヒロインの拒絶行動が、恋愛をいやがうえにも盛り上げているのじゃないか、とうがった見方までしてしまう。
今や女性自身で考える自律が普通のことですけど、17世紀の女性の作家が16世紀のフランス宮廷を背景にしての状況ですから、先駆的でもあったのですね。なるほど、不倫の恋愛の苦しみ、究極の恋愛を描いたフランス心理小説の古典、なのだと。
むかしむかし高校の教科書に堀辰雄『美しい村』の序曲が題材として載っており、その文中に『クレーヴの奥方』と、ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』が引いてあり、なぜか興味を覚えやみくもに読んで、わかったのかわからなかったのか、それから幾十年。
今回読んでみてヒロイン(クレーヴの奥方)が熟女のように思っておりましたのに、16歳の設定でびっくり、高校生年代ではありませんか。だから高校生の頃ってそんな姿を、若さゆえの老成を、理解しようとしたのかもしれません。
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色恋がフランス宮廷を支配しすぎててびっくりする。宮廷なら政略結婚の要素が強いのかと思っていたが、さすが愛の国。そしてだいたいみんなうわさ好きで口が軽い。人が簡単に死んでしまうのは医療が未発達なせいなのか。
読んでいてクレーヴ夫人の好意に気づいてからのヌムール公がだんだんうっとうしくなる一方、クレーヴ夫人本人に対しては好感が増した。