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マイノリティを取材する記者が脳梗塞を発症。マイノリティには発達障害と思わしき人も多く、自身が高次脳機能障害となったことで「当事者認識を言語化する」作業を行った本。当事者としてしかわからない認識を記者として記載されていのでリアルに理解しやすい。圧巻は後半部分。著者夫婦の歴史から始まり、著者の自伝的要素も入り、再生の物語。面白いと言ったら失礼だが読ませる文章で「深刻だけど笑える」本。
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ノンフィクション作家が書いた自身の高次脳機能障害とのことで非常に興味があったんだけど、残り1/3は病気になる前の反省とか妻の話ばかりでちょっと期待外れでした。
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機能していた→壊れた、という境界がはっきりとする経験によって得られる、もしかしたらあの人たちは、生まれつきここが壊れていて、それでもなんとか生き延びて、でも完全には上手くやれないから生きづらいのではないのだろうかという気付き。幼少時に弾かれてしまった人々や、軽度と判断されてしまう障害者や、あるいは高齢者。「キレる高齢者」なんてのも、こういう症状なのだろうと思うと、見える世界が変わる。
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モーニングで連載している『ギャングース』を読んでいて、作者はもっと強面の人かと思っていたので、至って真面目そうな印象で驚いた。真面目で真摯な文筆家でいらした。そんな作者が若くして脳梗塞をわずらい、そのリハビリを詳細に実感あふれる文章でレポートしている。体が麻痺して動けない車椅子の身障者がよく目線を空中にただよわせているのは、脳の部位の損壊によるものであったのか、子供が呼んでいるのに廊下に落ちているものに気をとられて夢中になってしまうのは脳が未発達だからなのかと、いろいろと脳の問題として捉えることができた。怒りっぽい人は自分に自身がないからすぐ感情がむき出しになるのかと思っていたのだが、決してそうではなく脳になんらかの問題が生じている可能性もある。簡単に判断するのは大間違いであると痛感した。
内容が深刻なのに、文章がとてもリズミカルで読んでいて楽しい。また作者に本来備わっている明るさやユーモア精神もにじみ出ているのだろう。
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著者は41歳の若さで脳梗塞で倒れたフリーのルポライター。その著者が、リハビリによるその後の機能回復過程も含め、脳の障害を負った当事者がどのように感じるかを記録したのが本書。幸い著者の脳梗塞は軽度のもので済んだようで、タイトルの「壊れた」から想像するほどの分かりやすい障害が残った訳ではないのだが、逆に見た目には分かりにくい脳の微妙な障害(高次脳機能障害)が残ったようで、それがどのような状態なのかを著者は壊れた脳で懸命に言語化を試みている。そして、それはいわゆる発達障害だとかアスペルガー症候群だとか言われるような人々の症状と似ているということを著者は指摘しているし、その当事者の気持ちにはなってみないと理解しにくいようだ。今回、著者はそれを自身で体験して言語化しているわけで大変貴重な体験とその記録となっている。もちろんその記録も貴重であるとは思うが、個人的には「脳が壊れた」こと自体の記録よりも、著者自身がその原因を追求して自分自身のそれまでの人生と生活、家族との関係を振り返って脳梗塞となった理由を考察している後半部分の方をより興味深く感じた。自分自身にも当てはまる、身につまされる部分も多い様に思う。脳梗塞にならんように気を付けよう。
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脳梗塞、脳内出血、アルツハイマー、脳に関する病気について、病名は聞くけど、その病気がどんな症状を発するのか、どんな治療が必要なのか、そもそも回復するのか、あまり知ることはない。症状を言いたがらない患者も多い。そんな疑問に答えるため、41歳で脳梗塞を患ったフリーライターが自身のこと、家族のこと、リハビリのことをまとめたのが本書。
著者の場合、視界が極端に狭くなる、発しているつもりの言葉がノイズになる、注意力が信じられないくらい低下する、感情がオーバーになる、といった症状。とはいえ、それは個人差がかなりあり、脳梗塞が一概に同じ症状になるとは限らない。
が、本書の読みどころは著者の症状についてではない。著者は病に対して不運だと嘆かず、自らの不摂生を反省し、家族や友人を頼り、感謝の感情を大げさに表すことで社会復帰に努める。
そうして、新たな人生を手に入れた著者だからこそ、今となって「脳が壊れた」とふざける余裕を得ることができた。感情がオーバーになることも時には悪くない。そんな、人生に前向きになれる闘病記。
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熱い。著者は圧倒的な熱量に満ちている。もともと熱い気質の持ち主なのだろうけれど、その熱量は高次脳機能障害になった後も冷めることはない。いやむしろ更にその熱量は高まったのかもしれない。それは高次脳機能障害になったことは著者にとって僥倖だから。と自身は語っているけれど、自分が逆の立場だったら果たして障害を抱えてしまった無様な様を本にしようなんて思っただろうか。それは著者がもともとライターだったからだろうか。いやそれだけではない。世にどうしても伝えたいメッセージが著者にはあったからなのだ。そのことが読んでいくうちにズンズン伝わってきた。
書きたいことの元ネタが自分自身のカラダ。取材先は自分自身のカラダにある。そんな状況下にある圧倒的熱量のあるライターが書くノンフィクションが面白くないわけがない。ライターさんに向かって「うまい」なんて、恐れ多いのだけれど、絶妙な空気感なのだ。高次脳機能障害なんて、どう考えても暗い内容しかイメージできないけど、なんというか、クスッと笑ってしまう、人間味のある文体なので親しみやすいし、どんどん読み進めたくなる。
この渾身の力作、とにかくいろんな人に読んでほしいと思います。どんな人にも必ず気づきがある一冊だと思います。
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社会の弱者を取材することの多い記者が脳梗塞で高次脳機能障害になった話。
リハビリをサポートする医療従事者の凄さと薄給を嘆き、脳梗塞による後遺症と訓練による回復が発達障害や鬱の人に見られる挙動の不審さと適切な環境での緩やかな回復に似ていること、リハビリ現場の大半の対象が老年層であることから、もっと若者やシングルマザーなど社会的弱者のサポートにリハビリを応用できるのではないかという提言も書いている。なるほどと思った。
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後天的に負った脳障害の症状と先天的に負った脳障害の症状が類似すること。⇒発達障害が脳障害であることの分かりやすい根拠。
hot-system/cool-systemの実例のような症状。⇒高次脳機能の障害はcool-systemの障害。
良いタイミングで読めた。
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【文章】
とても読み易い
【ハマり】
★★★★・
【共感度】
★★・・・
【気付き】
★★★★★
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高次脳機能障害を発症したライターさんの手記。書くことが仕事のひとが、動けなくなり書けなくなり感情失禁におそわれる現実。となりにいてくれるひとの尊さ、当たり前の有難さに気付かされる一冊。
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高次機能障害、見た目は健常者というのが辛いな…。もちろん、それで救われる事も多いんだろうけど。
社会の理解が必要なんだろうけどなかなか進まないなぁ…
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貧困を取り扱うライターが体を壊し脳溢血を起こした。
そして、高機能脳障害という、目に見えない障害が残った。
からだの不自由さは目に見える。しかし、脳の障害、こころの障害については目に見えない。
そして、著者は自身が実際に脳に障害を持ち、今まで対象としていた貧困に陥る彼、彼女らが同じように脳機能に障害を負っているのではないかと思いいたる。
著者の言う脳が壊れたことによりできないことも多くなる。
しかし、脳は壊れたままではなく、リハビリテーションによりある程度の機能は回復する。
問題は脳が壊れていることが目に見えてわからないということ。
治療のテーブルに乗れない人がたくさん居るということではなかろうか。
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脳梗塞になり、高次脳機能障害になった時、どんなことが起こるのか。本人から見て、どんな状況なのかが紹介されている一冊。
深刻な状況なのですが、思わずくすっと笑ってしまうようなエピソードも交えて書かれているので、読みやすかったです。
この症状を知っておくことで、大切な誰かの脳に異変が起こっているとき、あるいは脳梗塞後の様々な困難の場面で、力になれることが見つけられるのではないかと思います。
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著者は、社会的弱者の中でも、とくに自分から声をあげられない人々に接し、その声を自らの著書の中で届けてきた。
自分も脳梗塞による障害を持つ中で、さまざまな過信を反省しつつ、最後に支えとなるのは人のつながりであるという事実を改めて発見している。