爽やかな連作物語
2019/06/30 07:10
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投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1つのタイムカプセルをめぐって、物語がリレーのように繋がっていく作品です。
タイムカプセルを埋めたのは、同じ小学校のクラスメイト。
だけど、その子たちが表紙絵のように木の下に揃うことはなく、ある特殊な理由(幹事のさぼり)によって、それぞれの家に送られていくようになる。
これが、すっごくいいし…泣けます!
小学校の頃は純粋に不安なく楽しんでいても、大人になっていくにつれて、どんどん悩みができたり、現実を知ったりして夢を失っていく。
そこに届く、未来を信じている10年前の自分からの手紙。
その手紙に刺激されたりしながら、変化していく様子が清々しいし、がんばれ!という気持ちになれます。
物語上に登場する人物は、ごくごく一部だけど…他の子たちの物語も読んでみたいなという気にさせられました。
(人数を制限したことで、くどくなっていないから…作品としては成功しています)
そして、それぞれの物語の中で、チラッと登場している他の物語の主人公が登場してくるのが「あ、あの時の人って…何話目の主人公なんだ!」とか、「あ、前の話に登場した子がちょっと出て来た!」と読みながら気づく瞬間が楽しいです。
(むりやりストーリーに加わるのではなく、ちょっと擦れ違うだけだったりするのがリアリティがあります)
文章も堅苦しくないので、本当におすすめできる物語です。
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【「タイムカプセル」によって繋がる、迷える高校生6人の青春物語】
十年前に埋めたタイムカプセル。忘れていたのは、離ればなれになるなんて想像もしていなかった時に交わした将来の約束。そして一つの後悔。今更思い出しても取り戻しのつかない、幼い頃の恋心。
嫌いじゃないけどドキドキしない、そんな曖昧な恋愛関係に悩む千尋。部活から逃げ出した元サッカー少年の冬弥。定時制高校に通う不良少年の優。慣れないギャル生活で息苦しい美夏。家から出たくない引きこもりの時子。そして小学校の頃に喧嘩別れした少
女を、今も想い続けている耀。
十年前に記した「今の自分」への手紙が、彼らの運命を少しずつ変えていく。
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この本の初版発行は6月25日ですが,表紙通り春を感じさせる作品でした.一概に恋愛小説ということはできませんが,そういった側面が大きかったように思います.登場人物の6人,それぞれに個性があって,それぞれに物語があるので,作者(天沢夏月さん)はどんな人生を歩んできたんだろうと気になりました.
十年前の自分を考えてみて,自分は十年先のことなんて考えていなかっただろうなってそう思います.この登場人物たちの高校での状況は,自分の分岐が違えばそうなっていたかもしれないようなものばかりです.だから,自分がこんな状況ならどうするだろう?自分は前を向いて歩けるだろうか?そう思いもしました.
本を読んでいるときは楽しかったし,物語にのめり込みましたが,ふとその集中が途切れると,自分はどうなんだろうと考えされられていました.自分を振り返ったり,自分の未来を考えるのにも良い作品だと思います(こんなこと感じたの自分だけでしょうが).
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ああ、これはいい!
最近お気に入りの青春物語作家の天沢さん。
そんな天沢さんの本作は、青春物語として百点満点の出来だと思う。
小1のクラスで書いた「十年後の自分への手紙」、いわゆるタイムカプセルが十年経って郵送で順繰りに送られていく展開。
もうタイムカプセルなんて言う題材からして青春だなあと思う(笑)
だって、その手紙にはある種の郷愁と想いが付いてくるもの。
別々の6人を主人公にした短編連作なのだけど、ある話に別の話の主人公がちょこっと顔を出したりして少しずつ繋がっている遊び心のある構成。
さらに最初の主人公と最後の主人公には特別の縁があり、ラストで二人が再会することで綺麗にお話の円環が閉じるのは、短編連作ならではのよくできた構成だと思う。
物語はほとんどの場合、十年前に夢見た姿から現実は違っていて、夢を諦めようとしていたり、やりたいことを見つけられなかったり、勇気が出せず言いたいことも言えなかったり、引きこもってしまったりと、子供のころ想像していた姿とは全くかけ離れていて、胸が痛くなる現実だったりする。
けれどそんな彼ら彼女らは様々なきっかけでその現実から少し前に歩き出そうとする。
それは言ってみれば十年前の自分への今の自分の矜持だと思うのだ。
あの頃の自分に胸を張って今の自分を見せられるか。
たとえ、夢に届かなくても、素敵な大人になれていなくても、ちゃんと努力して後ろめたくない生き方をしていたいという、そんな想い。
だから物語の終わりはどれもみんな清々しい。
そんな中、一番目とラストの物語は少し趣が異なっている。
なぜなら彼らの手紙には十年後の自分へのお願いが綴られているのだ。
個人的にはこの二人の物語が一番好き。
喧嘩別れしてしまって引っ越してしまった相手に互いに謝ってほしいと綴られた手紙。
千尋が十年前のアキラ君の手紙に自分と同じ気持ちが書かれているのを知る場面には胸が熱くなった。
同様にアキラが千尋がタイムカプセルを読んだ後に彼宛に書いた手紙で、同じ想いを綴り約束の大学の地で待っていると告げられた場面には心が震えた。
いやもう、こんな手紙をもらったら自分ならとるものも取りあえず、その場所へ走り出してしまうだろう。
そう強く思う。
でも、アキラは逆に彼女に会うことを恐れてしまうのだ。
なんてアホなのか。
どうしてそんなにへたれなんだよ!
でも友人や彼に好意を持っている女の子に背中を押されてようやく約束の場所に走り出した時、胸がドキドキした。
夜の桜の木の下での二人の再会。
はっきりと自分の気持ちに気づくアキラ。
そして十年前の手紙のお願いは果たされるのだ。
この幸福感がなんとも心地いい。
いや、いいお話だった。
心に刺さる言葉がいくつもある。
「才能がなかったら、好きなこともやっちゃいけないんですか?」
「君がやろうとしたことを、君自身が笑ってやるなよ」
「ちひろちゃんはきっと、こやまがおかびじゅつだいにきます」
「あの時よりもずっと上手になったはずなのに、あの時よりもいいものが描けている気がしません」
「君に預けたコバルトブルーのクレヨンは。まだそこにありますか?」
いやほんとに、これまで読んだ作者のお話の中ではこれが一番好き。
ますますお気に入りになりそうだ。
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6人のことなった“想い”が、タイムカプセルを通して繋がっていることが美しいと感じた。
最後の場面で、小学校の頃の約束を信じてきた2人が出会えて本当に良かった。
1人1人が抱えているそれぞれの事情が鮮明に描かれていて、とても面白いです。
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う~んいい話だった。
過去、現在、そして未来。
世界は広いけれど、狭い世間でみんな生きている。
三歩進んで二歩下がりながら、上を向いて歩こう。
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小学1年生の時に埋めたタイムカプセルが、全員集まって掘り起こすのが面倒だからと郵送で送られて来る所から始まります。十年前の自分からの手紙を受け取った彼らは何を想うのか。最初の千尋と最後の耀が気になりながら、二人目に入った時繋がりがなかったので、耀までランダムに選ばれた人を書いてるの?とちょっとテンション下がりました。でも読み進めていくうちにだんだんと繋がりが見えて来て楽しめました。ただなんとなく、高校生・大学生が描かれてる割には皆子供っぽいかな、と感じました。
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6人の登場人物が、小学生の頃に埋めたタイムカプセルをキッカケに、大きく物語が動き出す。
1年生の頃は夢も理想も大きく描いていたが、外見は大人でも中身が理想とかけ離れていると感じるのは、誰しもだなと。そこから登場人物達のように、一歩踏み出すことが大事なんだろうな。(それが一番勇気がいるし、難しい。)
そう言えば私も小学生の時に、タイムカプセルを埋めたなぁなんて懐かしみながら読んだ。
掘り起こしたのかは分からないけれど、その後どうなったか気になるな。
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10年前の思い描いていた自分と今の自分。笑ってしまうくらい全然違っていて、悩むこともある。そんな時に助けてくれるのが過去の自分と意図せずして出会う小学校時代の友達。
小学生の時の友達なんて忘れてしまう人も多いが忘れてしまってもまた再び出会える奇跡はとても特別なものなのではないだろうか。大切なものは友達だと再認識させられた
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浅井千尋
高校二年の夏に、小山ヶ丘第六小学校一年一組で作ったタイムカプセルが家に届く。青崎高校二年。美術部。松島と付き合っていたが別れる。
松島
青崎高校三年。千尋の先輩。美術部。
桐原冬弥
高校サッカー界強豪の姫坂高校に入る。サッカー部たが、周りのレベルが高く幽霊部員になっている。
森脇祥吾
冬弥と同期。サッカー部で十番でキャプテン。
染谷優
定時制の高校三年生。机で全日制の生徒と一日一文の文通をしたいる。
千代田
優のクラスメイト。
二ノ瀬美夏
慣れないギャル生活で息苦しい。
原岡桃子
美夏が憧れ、同じ高校に進学。
ユウコ
美夏の遊び仲間。
リサ
美夏の遊び仲間。言葉づかいが悪い。
岸本タツロウ
ユウコの彼氏。サッカー部。
サワノ
サッカー部の先輩。
守屋時子
不登校。誇り高き引きこもり。
矢神耀
小山ヶ丘第六小学校一年一組。一学期で引っ越す。諸事情で高校は通わず。バイトしながら高認を取り、コヤビに合格する。喧嘩別れした少女を、今も想い続けている。時子が出かけたチェーンソーアートの指導者。
石川チヒロ
耀と同じ科の女の子。
境
耀と同じ科の男子。
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人と人との繋がりもそうだが、他にも様々な繋がりを感じられた1冊。
幼い頃の無邪気な明るさや思春期の葛藤など学生の様々な感情が描かれていて読んでいてとても楽しく、面白かった。
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昔の女の子とタイムカプセルを通して思い出して
最後には会えたのが超嬉しいしかも同じ言葉言ったのは感動
恋にも気づいたし会えたし昔の夢を思い出せてたし良かったなって思う
めっちゃ面白かった推し本‼️