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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.4

評価内訳

4 件中 1 件~ 4 件を表示

本書は米軍の主力戦車M1エイブラムスの全貌を描いた好著である。手元に「兵器メカニズム図鑑」出射忠明著という名著があるが、本書を含むソフトバンクのサイエンス・アイ新書シリーズはそれを上回る素晴らしい兵器解説書となっている。

2010/11/02 10:18

11人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本には数多くの自称軍事評論家がいる。したり顔で軍事を語り、本まで出したりするが、その内容たるやお粗末もいいところ。ところが、そのウソが露見することは早々ない。なぜなら大軍を派遣しての戦争なんて、滅多にないことだからだ。その滅多にないことが、ある日突然起きると、この自称軍事評論家の垂れ流していた大ウソが白日の下に曝されてしまうことがある。「地上最強のイラク戦車軍団の猛攻で、アメリカ軍は大損害をこうむり、大苦戦を強いられるであろう!」

私は小学生の頃から田宮模型のプラモデルを作り、参考資料としてサンケイ出版の「第二次世界大戦シリーズ」を熟読していたので、制空権を失ったドイツ機甲部隊がソ連軍及び連合軍の航空攻撃に如何に脆弱だったかを熟知していた。飛行機と戦車では移動速度がまるで違う。航空機から見れば地上の戦車なんて停止しているも同然の標的である。しかもエンジングリル上面等、戦車の上部装甲は薄く、上からの攻撃に戦車は弱いのである。しかも戦場はベトナムのようなジャングルではなく遮蔽物の無い砂漠である。どこにイラクの戦車がいるか、上空をワガモノ顔で巡航する米空軍からは一目瞭然である。戦場の帰趨を制するのは制空権の有無であって、戦車の力量なんて二の次三の次なのであることくらい、小学生の頃から私ですら知っていた。案の定、ソ連製T72を主力戦車として装備したイラク軍は米軍の航空攻撃で大損害を被り、事実上壊滅してしまった。

戦場の帰趨を制するのは制空権の有無だと書いたが、じゃあ戦車は無くて良いかと言うと、そんなことはない。強力な破壊力を持つ戦車は、航空攻撃にこそ脆弱だが、ろくな対戦車兵器を持たない歩兵に対しては「悪魔の如き」破壊力を持つ。それに相手が戦車を十分に持っていると知れれば、相手もおいそれとは攻撃できない。強力な戦車部隊の存在は、それ自体、強力な抑止力になるのである。

さて、M1エイブラムスである。本書によれば、米軍はもちろん日本の陸上自衛隊やドイツ、フランス等のNATO軍の主力戦車が標準装備としている120ミリ滑空砲から発射される装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)の破壊力が如何に凄まじいかが分かる。何しろダーツの矢羽みたいな弾丸(米軍は劣化ウラン製、日本はタングステン製)が秒速1200メートルで相手戦車に命中すると命中時数万気圧に達する圧力が生じ、通常の物性限界点を超えてしまい、相手が如何に硬い装甲であっても、命中した弾芯は、まるで液体の中を進むように装甲を溶かしながら進み、貫通した場合は弾芯が残った運動エネルギーで戦車内を跳ねまわり、敵戦車内の乗員を瞬殺するんだという。このAPFSDS弾の登場でT34に端を発するロシアお得意の傾斜装甲戦車はほぼ無意味となったが、ロシアは相も変わらずT80、T90とまるでゴキブリみたいな形の戦車を継続的に生産している。その硬直した設計思想には哀れみさえ感じる。

M1エイブラムスの性能をみて、もうひとつ驚いたのは、そのエンジン性能である。エイブラムスが搭載しているのは通常のディーゼルエンジンではなくジェットエンジンと同じ構造のガス・タービン・エンジンだ。このエンジンの性能が凄まじい。70トンもある巨体を速度ゼロの停止状態から時速32キロまで加速するのに、わずか6.2秒しかかからない。戦場での移動速度は約時速70キロで、トランスミッションやキャタピラーへの負荷を考えなければ時速112キロまで出せるというから驚きだ。もちろん代償もある。それは燃費の悪さだ。ドイツのレオパルド2がリッター458メートル走れるのに対し、エイブラムスはリッターあたり243メートルしか走れない。これは第二次大戦時のドイツのキングタイガーのリッター160メートルに比べればマシだが、相当な燃費の悪さである。イラク戦争時、米軍はバグダッドへの侵入経路の要所要所にあらかじめ巨大なビニール袋に詰めた戦車用燃料をヘリコプターで投下しておいたという。世界で最も優秀な戦車を縦横無尽に駆使するには強力な兵站能力が不可欠なのである。

それだけではない。素晴らしい機械は素晴らしく壊れる。だから世界一強力な戦車軍団の性能をフルに発揮させるには強力な兵站、補給、整備の能力が不可欠だ。キャタピラーの耐用距離は3380キロ、パワーパックの耐用時間は700時間に設定され、これを超えると全とっかえだ。戦車が一日戦闘すると、その後1台あたり25マンアワー(整備士が1人1時間作業することを1単位として、これが25単位の整備が必要と言うこと)が必須とされている。これも凄い。

M1エイブラムスの「ライバル」とされる諸国の戦車との性能比較も出ている。笑っちゃうのは例によって「すべてに政治的宣伝が優先する」誇大宣伝国家・中国の最新式戦車99式で、ナント、これはパレード用に大急ぎで生産したため、実用に耐えられず100台で生産が打ち切りになったとか、これの改良型の99G式も、あまり考えずに頓珍漢な改良を重ねていたら、今度は恐ろしく高価な戦車に仕上がってしまい、これもわずか200両で生産打ち切りになったとか、相変わらずの「お笑い国家」ぶりを発揮している。

意外だったのは日本が開発した90式戦車に対する高評価でドイツのレオパルド2、アメリカのM1A2エイブラムスに次ぐ世界第三位の評価を得ていることである(ただし評価されたのは10年前)。いま、自衛隊は新たなTK-Xを導入し始めているがデータリンク機能を搭載したこの日本が誇る最新式戦車が高評価を得るのは、ほぼ間違いないだろう(しかも低コスト!)。

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出版時期が少し古いですが、今でも役立ちます

2016/04/11 19:48

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:瀬戸内在住の猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

2009年出版と古いため、例えば2015年に公開されたロシアのT-14戦車「アルマータ」が紹介されておらず、代わりに本書発売後に開発が中止されたオブィエクト195/T-95が紹介されていたり、当時まだ制式化されていなかった陸上自衛隊の10式戦車が「TK-X」となっている等、情報が現在とでは若干異なっていますが、M1エイブラムス戦車に関する基本的な情報は充分知る事ができます。
また、M1戦車のメカニズムを知る事で、他の戦車の構造も知る事が出来る様に書かれていますから、本書を読む事で戦車と言う兵器がどういう物か理解しやすくなるのも本書の長所でしょう。

さて、ブクログの投稿者の中で本書のタイトルにある「最強」についてイチャもんをつけている人がいますが…M1戦車は、現在先進諸国が使っている主力戦車の中で最も実戦経験があり、なおかつ戦車戦等で大きな戦果を挙げています。
もちろん、M1戦車にも欠点はありますが、この戦場での「実績」に限って云えば、他国のライバル戦車で並ぶ物はありません。
だからこそ、本書のタイトルの様に「最強」と言われるのです。
単に編集者がそういうタイトルを付けただけではないのです。

それにしてもブクログの投稿には、この様な文句だけしか言わない投稿が目立つので、読書好きとしては腹が立ちます。

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2011/02/14 00:13

投稿元:ブクログ

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2013/01/22 23:48

投稿元:ブクログ

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