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苦悩し、格闘する登場人物たち。苦しみを抱えながら生きていく彼らの、ほとばしるような人間性に感動しました。
2004/05/19 07:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物たちが、こんなに人間的に描かれているなんて思わなかった。もっとずっと哲学的、高尚深遠な感じで描かれているのだとばかり思っていた。
ドミートリイ(ミーチャ)、イワン、アリョーシャのカラマーゾフ三兄弟を始めとする本書の登場人物たち。メダルの表と裏のように、高潔さと低俗さの両面を併せ持つ彼らが、歓喜したかと思えば絶望し、この世の終わりかという位おいおい泣き、鬱憤をぶちまけ、わめく姿に仰天した。そして、そんなどうしようもなく矛盾した存在である人間をまるごと受け入れ、慈愛に満ちた眼差しを彼らに注ぎ、描き出していく作者の筆致に胸が震えた。
上巻、アリョーシャと二等大尉スネギリョフ(イリューシャの父)が、道を歩きながら対話する場面。中巻、敬愛するゾシマ長老の死に接したアリョーシャが、長老の幻に出会い、大地を抱きしめる場面。下巻、病床のイリューシャを少年たちが見舞う場面。そうした個々のエピソード的シーンが鮮やかだったこと、印象深かったことも忘れられない。
しかし何と言っても、本書で最高の読みごたえを感じたのは、大詰めの「誤審」の章である。父親殺しの嫌疑をかけられたドミートリイ(ミーチャ)の裁判の章。前半の検事論告と、後半の弁論の息詰まる攻防戦。とりわけ、被告の行動に鋭い心理分析を加えていく検事論告が見事。ミステリのとびっきり面白い法廷シーンを読むような迫力があり、手に汗握りながら夢中で頁をめくっていった。
1878年から書き始められ、1880年に完成したドストエフスキー渾身の大作『カラマーゾフの兄弟』。今読んでもちっとも古さを感じさせない。キリスト教の神と悪魔の問題など、分かりづらいところもあったけれど、苦しみ、悩む人間たちが実に生き生きと描き出されていたところ、本当に素晴らしかった。
ベートーヴェンの第九が今も多くの人の胸を打つように、これは人類の財産とも言うべき作品。生きてるうちに読むことができて良かった!
よくかけたもんだ
2016/11/10 20:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koyarin - この投稿者のレビュー一覧を見る
これほどの大作があまり日本では大作と表現されていないことは残念である。でも人生で読んでおくだけの価値,そして他人に勧めるだけの価値がある本である。
ロシアの魂に根ざした究極の名作
2015/12/11 09:15
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投稿者:鉄道大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
コーリャ(ニコライ)がアリョーシャや子供たちと円を組んで、最後に「カラマーゾフ万歳!」と唱和する場面が気に入った。イワンが譫妄(せんもう)症に罹って、悪魔に魘されてしまう箇所では、思わず目を見張った。ミーチャが無罪を主張したのに、有罪と見做されて精神病に罹った時に、カテリーナが見舞いに来て、彼女を抱きしめるシーンが胸を打った。ドストエフスキーの遺作は、ロシアだけならず世界を代表する名作であるとしみじみ実感する。読んでよかった小説だ。
善と悪、人間の自由意志
2025/03/20 16:09
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投稿者:toshi1127 - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物たちの運命が決定づけられる重要な巻で、父フョードルの殺人事件の真相や、兄弟たちの運命、そして物語全体の哲学的テーマが深く掘り下げられる。(1)殺人事件の真相:真犯人の存在が明らかにされ、兄ドミートリイの運命がどうなるかが描かれます。(2)イワンの葛藤:無神論的な視点を持つイワンが精神的な危機に陥り、彼の哲学的な葛藤が物語の中心となります。(3)アリョーシャの役割:家族や地域社会の中で、信仰心に基づいた彼の行動が希望の象徴として描かれます。(4)
善と悪の対立:物語全体を貫くテーマとして、善と悪、人間の自由意志が問い直されます。物語がクライマックスを迎え、読者に深い感動と考察を促す結末が展開される。