紙の本
16年ぶりの樋口顕シリーズは、一段と本格的になりつつある
2016/09/03 21:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏が描く警視庁警部樋口顕のシリーズ第4作である。私は以前よりこの樋口シリーズを好んでおり、次回作を楽しみに待っていた。しかし、さしもの多作家である今野も他のシリーズが多忙のようで、随分前(20年前)にスタートした本シリーズもまだ第4作である。
この前の作品『ビート』が平成12年に刊行されているので、何と16年ぶりに樋口シリーズが再開されたことになる。いやいや待たせるにもほどがある。樋口シリーズに付いてきた読者もその大半が離れて、他の作家の作品の虜になっていることであろう。
樋口シリーズの特徴の一つは、家族のありさまを同時に描くことであろう。これは樋口シリーズに限らず、隠蔽捜査でも同じことであるが、今野は主人公を仕事の側面だけではなく、家庭人としての主人公のあり方、奥さんや子供たちとの関係を描きたいらしい。この試みは大いに成功していると認めることができる。
隠蔽捜査の場合には主として主人公の地位の上、家庭で起きた諸事情を如何に捌くかがテーマとなっているようだが、樋口の場合はそればかりではなく、日常的な奥さんとの会話、子供たちとの接し方がテーマとなっているようだ。
加えて氏家という生活安全部の仲間に助けられることが多い。本質的に警察人になりきれないという悩みを抱える樋口であるが、どの職場でも大同小異であろう。結果としてうまくいけばなりきれ、そうでなければなりきれないというのが通常の判定方法であろう。樋口は周囲から見れば前者であるにもかかわらず、なりきれないという。本書の中でも、上司からそろそろ管理官になってもらわなければという言葉も出てきている。
読者も自分の人生を新たな観点から見直すと興味深い今後の方向性が見出せるかもしれない。隠蔽捜査ほどの重量感もなく、碓氷弘一ほどトリッキーではなく、警視庁の捜査モノではむしろ本格的な本シリーズは、せめてもっと定期的に作品を出していって欲しいものだ。
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ドンパチのない警察小説
2018/05/19 08:32
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏の『廉恥』は、「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズの4作目。
ドンパチのない警察小説で、いやらしい上司もアクの強いライバルもいないのですが、主人公樋口の人間性がいいので、面白く読めます。
廉恥とは、「いさぎよく恥を知る心が強いこと」。
ストーリーからつけられた題名ともとれますが、樋口の生き方でもあるように思えます。
関係ないんですが、やらかしてしまいました。
このシリーズ、3作目を飛ばして4作目を先に読んでしまいました。
解説読むまで気づかなかったぐらいやから、ま、いいか。
シリーズの面白さもあるけど、単独で読んでも面白いということですね。
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投稿者:kon - この投稿者のレビュー一覧を見る
樋口刑事の生真面目さがいいですね。今回は娘の出来事のサイドストーリーとして展開しています。多少はハラハラしますが、人柄からか最後は味方がドンドンいいですね。いかに周りの人から受け入れられているのかわかります。読んでいてもさわやかな気分です。
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201608/お得意の警察ものでシリーズもので、面白いに決まってる一冊。警察ものたくさん書いてるけど、それぞれ登場人物達が脇役含めて(時には極端なほど)キャラ立ってるので、読んでて愛着もわく。ただ、いつもタイトルだけだと「どれだったっけ?」ってわかんなくなる…。
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面白かった!
事件は割と地味だったけど、樋口さんの生真面目さが相変わらず素敵!
今回、警察庁から参加のストーカー事件の専門家、女性キャリアの小泉さんの物言いやたたずまいは何かとためになる感じ。この人は偉くなるんだろうな。なってほしい。
照美ちゃんには途中「樋口さんの娘さんのくせに、おバカさんかっ」と多少イライラさせられたが、父親・樋口さんの微笑ましい一面も見れたからお得(?)だった。
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樋口顕シリーズ。警察小説だけど家族の物語でもある。樋口さんは、いつも自分が警察官に向かないと思っているけど周りはそう思わない。この次は管理官になっているかな?
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このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
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このシリーズ、解説によると前作との間14年が経ったとのこと。どうりで懐かしいはずです。主人公の謙虚さが清々しく、事件そのものや主人公をめぐる人物たちが、スッキリしすぎている感がありましたが、久々に再会できたので続編に期待します。これを機にまた前作を読み直してみようかとも...
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今野敏の刑事物は面白いと改めて思った。家族、同僚、上司、部下、被害者、犯人・・・それぞれの思いや気持ちの交錯の表現に納得。主人公の樋口ちゃんのように真摯に真面目に控え目に生きていきたいものだ。
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警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が…。警察組織と家庭の間で揺れ動く刑事の奮闘をリアルに描く、傑作警察小説。
シリーズ第四作。前作「ビート」を読んだのは8年前。主人公、樋口の性格はまったく変わっていません。事件そのものはやや小粒。
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警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が…。
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内容(「BOOK」データベースより)
警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が…。警察組織と家庭の間で揺れ動く刑事の奮闘をリアルに描く、傑作警察小説。
手練れの今野敏の人気シリーズで僕が2番目に好きな樋口シリーズです。ずっと続編出なかったのでもう出ないんだろうなと残念に思っていたのでとっても嬉しい。リアルタイムで出版情報確認していないので平気で数年経っているんですけどね。この樋口シリーズは隠蔽捜査の竜崎とは違って、小心者で慎重なのですがポーカーフェイスなので周りから冷静沈着と言われて買い被られている。と、自分で思い込んでいる優秀な警察官です。回りを上手く生かすタイプなので竜崎のスーパーマン的な上司っぷりより現実感があります。それにしても今野敏は家族の事と警察の仕事の事を同時進行で書くの本当に上手いです。そこが感情移入させるポイントなんだと思います。
事件解決のルートも無理なくスムーズで、エピソードに没頭することが出来ました。次作も既にあるので楽しみにしています。
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今野敏さん、学生時代にはまって読みまくってたんだけど、どれを読んだのかその時記録してなかったので、分からなくなってしまって…。
どうやら、この本も読んだことがあったみたい(^v^;)
更に2時間ドラマ版も見たかも…今思えば。
『リオ』、『朱夏』、『ビート』あたりは題名の記憶があったんだけどな。
*
主人公の樋口が仕事のことと娘のことで揺れ動いてる。
そして、真面目。とにかく真面目。
*
*
今野敏さんはハンチョウこと、安積班シリーズとスクープシリーズが好き。
安積班シリーズもどこまで読んだのか分からなくなっちゃってて、また久々に読みたくなった。
スクープシリーズは最新刊の文庫化待ち中だから、早く読みたいな。
他のシリーズも読んだのと読んでないのがあつて、また今回みたいに気付かずに再読になっちゃいそうだなぁ(✽˘▿˘✽)
やっぱり、記録残すって大事だわ。
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ストーカー殺人事件の捜査。容疑者があがるが、女性キャリア、美人、樋口の娘と同世代の指摘でストーカー殺人ではないことが判明。
殺された女性は痴漢でも裁判していた。疑われた男、准教授は大学は懲戒、妻とは離婚、全てを失った。不倫していたことが判明。不倫相手が第一発見者。
指名手配を指示。女が出頭して罪を認めた。容疑者になっていたので自首ではなく出頭。不倫相手を冤罪痴漢で訴えた女に近づいた。女はストーカーされたことを自慢
痴漢についても、「痴漢されたかも」この一言で、殺意が。
捜査中に娘のアドレスでテロ予告がきたと、刑事仲間から知らされる。
昔、樋口に恩返しをしたい刑事から、遠隔操作されていたので娘は容疑者ではないと教えられた。
PCを証拠として調査する為に刑事が家にきたが娘は断った。自分のデーターを見られたくない。娘に捜査をする理由を諭した。娘が証拠のPC調査を承諾。代りに最新PCをせがまれ購入。
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たまたま入った書店であら?樋口シリーズまだあったんだ~とたまたま見つけて即購入。
控えめな樋口さんに久々に好感を持ちながら、地道な捜査をワクワクしながら読み進めた。
ほんの合間に出てくる親子のやり取りも微笑ましい。
気づいてたのになぁ~と思わせるあたりも、なんとなく現実もそんなものかもと思わされた。
このシリーズは作品数も少ないので、いつもさほど期待せずに読み始めるのだけど、読み終わるとやっぱり面白かったなぁ~と思えるのがすごいところだと思う。