「何者」から続く
2020/02/08 22:19
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投稿者:lack - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「何者」に登場した人物が出てきます。前作であまり良い印象に書かれていなかった意識高い系の女子大生の話で、二人組を作るときにいつも余る的な表現が印象に残りました。短編の話がいくつか出てきますが、特に女性を主人公としたストーリーは「我慢・真面目・模範的な優等生」的な性格ゆえの損だったり、鬱屈さがじんわりと表れています。
もうこの本は処分したので手元にありませんが、また読みたいです。
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞を獲った「何者」の対になる作品。短編6編からなり、最後の作品が「何様」。ラストに至ってタイトルの意味が解る。もちろん「何者」を読んでいなくても十分、楽しめるが、若者―つまり青春群像を描かせると抜群にうまいのは、等身大だからだろうか。オチも冴えているが、ただ「何様」に限って言えば、オチに辿り着く直前の展開に幾分の疑問符がつく。その分、減点。
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何者、とリンクされてるこの短編は実に深い。
光太郎の高校三年生を描く【水曜日の南階段はきれい】と理香と隆良の同棲するきっかけまでを描いた【それでは二人組を作ってください】は他アンソロジーで拝読済みでそれはそれで好きで割愛しますが、
沢渡が絡む【逆算】と表題作が素晴らしくて、やっぱり朝井作品いいなと思った。
以下好きな箇所
【逆算】
松本さん、免許って持ってる?
おれ、合宿で取ったんだけどさ、なんか新潟とかで
トランク持って新幹線乗って、昼過ぎに教習所着いて、夕方には運転させられるんだよ、あれ。教習所一周、車で
子どものころ、車って、人も殺せちゃうわけだし、大人しか合格できない特別な試験とか通らないと運転しちゃダメって思わなかった? 俺は思ってた
だけど、教習所着いたらいきなり運転するんだよ。俺、あの衝撃がけっこう忘れられなくて
だからさ、きっかけとか覚悟とかって、多分あとからついてくるんだよ
後から振り返ったら、あれがきっかけだったんだろうな、って、それくらいでいいんだよ。
そりゃ、ノリでやっちゃうのとかはダメだと思うけど。なにかやらなきゃいけないときに、その瞬間に覚悟できてるやつなんて、そんなにいないって。皆、あとから、あのときはああだった、こうだったって、きっかけや覚悟を後付けしてるだけなんだと思うよ。
【何様】
いくら面接したって他人のことなんて全然わからないんだけど、話してるうち、ほんの一秒でも、あ、この人は採用したいって思う瞬間があるんだって、武田さんは
あんたもさ、子どもができたって言われて、うれしいって本気で思った一秒くらい、あったでしょ? すぐ不安な気持ちに呑み込まれたのかもしれないけどさ、でも、その一秒だって誠実のうちだと思うよ
どちらも同じようなことを言っているんだよね。覚悟とか誠実とか少しのきっかけと後付け的なので変わっていくってこと。こんなこと言って欲しかったな、言われたら嬉しいなが散らばっている短編。
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『何者』のアナザーストーリー、だったらしいw
全然覚えてないわーwww
言われてみりゃ「そうだったかも、よく覚えてないけど」って感じ。
朝井さんって見た目は爽やかそうなのに、嫌な感じに人の心の奥底のドロドロをほじくりかえすからコワイ。
なんか、ねちっこい屈託を抱えていそう。
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水曜日の南階段はきれい
光太郎の高校3年生の時の話。「何者」で彼が出版業界を目指していた理由がわかる。
それでは二人組みを作ってください
理香と隆良が同棲し始めたきっかけ。
子供のころから女の子と二人組みを作ることがどうしてもできなかった、という描写が読んでいて結構キツイ。
逆算
社会人のサワ先輩が登場。色んな人を見て逆算を始め、どうしてそんな関係を築けたのか、今の関係に至ったきっかけは何なのか想像してしまう気持ち、よくわかる。でもサワ先輩の言葉にホッとした。
きみだけの絶対
かつては拓人と一緒に劇団をやっていたギンジの今。彼の甥っ子の視点から。
むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった
瑞月の父が登場。誰にも迷惑をかけずに「いい子、いい人」であった自分が、無茶をして好き勝手に生きてきた人間に振り回されることのやりきれなさ。そんな彼女たちが今は心を入れ替えたかのように真っ当に生活するだけで、周囲が美談のように感じる理不尽さ。私もどちらかという言うとこちら側だから、読んでて苦しかった。実際にそんな人たちがいたらストレスでハゲそう。
何様
入社して数ヶ月の松居は、人事部へ配属された。この間まで選ばれる側だった自分が、選ぶ立場になれるのか。惰性で付き合い続けてきた彼女が妊娠したことも重なり、誠実さとは?自分は何様なのか?と苦悩する。
最後の君島先輩とのやりとりがよかった。
何者を読んで時間が経ってしまっているから、もう一度読んでさらに何様も読んでみよう。
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読書記録です。まだの人は読まないでね。
「水曜日の南階段はきれい」誰か、学園モノが得意な絵の綺麗な漫画家さんに描いて欲しい内容。少女漫画的には「その後」が無いと売れないかな~
「それでは二人組を作ってください」私は背が高かったからある程度決まっててラクだった(=救われてた)ことを思い出した。
「逆算」これはドラマにして欲しい。深夜帯の1時間ドラマ。ラストにやられた!
「きみだけ絶対」これもドラマにして欲しい。こういうことを若い時に気付くってなかなかできないし。でも、一歩間違うと説教臭いドラマになっちゃうかも。
「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」これが通るのは、だから大目に見てねと言える程度のことまで。だから若いうちに済ませておくべきなのかも…イイ年になるまで抱えて主人公のように突っ切っちゃったら失うものが多すぎる…
「何様」他の作品もそうだけど、アタマのなかで映像が浮かびやすい内容。就活生に是非読んでもらいたい。
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水曜日の南階段はきれい
光太郎の出版社を目指した理由に迫る高校3年生の話。
荻島夕子さんに対して素直に「好きだな」って思いました。
内に熱いものをもってるのは私も同じで、クラスに光太郎みたいな人がいたら同じように羨ましいと思うタイプです。
そんな彼女に頑張ってではなくて頑張ろうって言わせた光太郎の存在の大きさ。
彼は偽物の夢だと言うけれど、それで勇気をもらっている人は確かにいることをわかってほしい。
最後の文集の文字も文章もとてもきれいで後味良い物語でした。
それでは二人組を作ってください
理香と隆良の出会いからルームシェアまでの話。
何者では拓人は人を笑ってるって言ってたけど理香も人をバカにしてるやん。
にしても朋美のバカそうな感じから一転する構成はドキッとした。朝井さんの得意技やね。
理香みたいなどうしようもない人の描写力に関しては他の作家にないものを感じる。そして自分は理香ではないか、隆良ではないかと不安になる。
なんとなく、身の丈って言葉が浮かぶ物語でした。
逆算
主人公の松本さんに激しく共感を覚えた。
逆算して生きる感覚を持っている人ってやっぱいるんや。
僕はやりたいことがないから、せめて大人になって後悔がないように今しかできないことを逆算してこなすようにしてる。それでも残るのは虚しさだけやけど。
そしてリオ五輪とか高校野球見て彼らの一生をかいまみて自分と比較して劣等感に苛まれたり。
それに対して救いの手を差し伸べるのがサワさん。
教習所の例えはほんまに分かりやすい笑 僕自身、合宿免許で遠征して初日から運転させられてびっくりしたのを思い出した。
でもこの例えがはまるのは、まずやってみてから理由が後付けになってる人が一定数以上いるからやね。一部の人は自ら野心的に獲得していっているのでしょう。
きみだけの絶対
ギンジの演劇のお話。
何者では拓人に批判されていたが、ギンジが生み出したものはあったのか。そんな命題を抱え、甥視点で物語は進む。
演劇や表現の主題ってその主題を必要としている人には現実的に届かないってのはあるあるやろなぁ。そして花奈には届いたようで、生活を変えるものにはなっていなかった。
最後の意味の描写はなんやろか。それとも意味を知りたくさせることこそが表現する意味ってこと…?
むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった
このご時世にまさかの不倫話。
何者でたぶんお父さんは浮気してないって瑞月さんは思ってたけど、しちゃってたんやね笑
大切なことは、むしゃくしゃしてやったあと、そうかこんなものなのかと投げ捨てることでしょう。
正しいレールを歩んで人の言いつけを正しく守ろうとしてきた人ほど後の挫折に対して処理方法が分からないってのは大変共感できたなぁ。人の正しさ重視やなくて自分が何をしたいのかに正直になる意味の正しさが本当は重要なのかも。
何様
当事者である感覚がない。そんな人事部配属で面接官をやることになった上に彼女の妊娠が発覚している男の話。
さも当事者かのような振る舞い。し���しその裏には1秒だけでもこれをやりたい、こんなことを実現したい、やらなきゃと思った瞬間があったはず。それが誠実ってことじゃないか。
すごく分かるなぁって思った。直感っていうのかな。今までの人生でもこの人と仲良くなりたいとかこれをやりたいって1秒だけでも思ったことを実行してはまることなんてほとんどやったはず。
当事者であろうとしなくていい、そこに誠実さが潜んでいればそれでいい。
そんな朝井さんにしては優しいメッセージを感じました笑
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はじめの2話はすでに読んだ話だし、それはそれで良かったんだけど、それ以外の話はあまり面白くなかったし、「何様」も最後の一話だけで、「何者」からの「何様」なんだと思うんだけど、ちょっと肩透かしでした。
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「ー」
『何者』のアナザーストーリーが載っていると聞いたので購入した。
リカの話はとても面白かった。
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6つの短編。「何者」のスピンオフ。若者の心理描写を絶妙な文章で表現するのが上手い。語られるエピソードがどれもあるあるで若者でない自分でも共感してしまう。著者の人間観察力や感性は素晴らしいと改めて。
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何者の小説、映画と朝井リョウ作品に触れる中で感じた朝井リョウという人が持つ観察者の目、まるで当事者であるかのようなリアルな描写や情景は、この何様、でも大いに感じる事が出来たと思う。何者でもそうであったが、作品中でのキーワードを読者が気付くレベルで複数ちりばめているように感じた。「想像力」や「言葉」、「誠実」など我々が普段から無意識の内に思い時に不満や不安を抱え悩むような出来事を描くのに朝井リョウは長けていると思う。決して観察者を批判するのみではないような内容だった
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「何者」から続けて読んだので、よけいに面白かったです。光太郎、理香、ギンジのエピソードがとくによかった。何度でも読み直そう!
朝井リョウ先生にサインして頂きました!その意味もあって、大切な一冊になりました。
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何者のアナザーストーリー。
「水曜日の南階段はきれい」と「それでは二人組を作ってください」はアンソロジーで既読。
彼らにこういう背景があったのねという話。
他の話はそもそも、何者の登場人物をすっかり忘れてしまってるので完全に別物のストーリーとして読むしかなかった。
何もかも「逆算」することでしか自分の歩んできた価値を見出せない有季。
生産性のないような叔父の仕事に意味を探し求める「きみだけの絶対」。
常に良い子で居続けた正美がとうとう手に入れた「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」不倫。
選ばれる側から選び取る側にまわった克弘が、自分は一体「何様」なのかと悩む本当の誠実さ。
生きづらい葛藤の中で、精一杯それぞれの道筋をみつけ掴み取っていく姿はどんなものであっても輝いている。
読後感は良かった。ただ朝井リョウのこの手法そろそろ食傷気味っす。
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タイトルがすべて言い切っているなあ、と思った。他人への悪口のようでいて、ほとんどの大人が自分に対して心のどこかで思っている皮肉。何様なんだ、こんな資格が自分にあるのか、という不安。
人事という仕事は特にそれが他人からも分かりやすいかもしれないけれど、すべての職業がそうだよね。仕事として扱う内容に対して自信満々で詳しい人なんて社会人の一握りじゃないのかな。自分はこの仕事をやる資格があるのか、時に自分が嫌になりながら、不安を覚えながら、それでもまるで自信があるかのように振る舞う。だってそれが仕事だから。怖くったってそれがお金をもらっている大人だから。怯えながら、自信が持てないときなんてしょっちゅうありながら、目の前のお客さんや生徒や取引先に言い切る。自分の中の1パーセントでもある本当を、必死で差し出す。
すごく解る。本当はだって自信がないほうが傷つかないで済むし怖くない。でも必死で立ち向かっていくかっこわるい大人、嫌いじゃないです。社会人になって数年経って、転職もして、必死で足掻いてるのは偉い人も案外変わらないんだなと知って。これからも足掻いていきたいなって、素直に思えたから、わたしはあながち就活も捨てたもんじゃないなと。
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何者のスピンオフ?
1つ目の物語がかなり泣ける展開で、
おいおい「何者」と全然ちゃうやんと思いながら読み進めましたが、2つ目から最後までは幸か不幸か「何者」と同じテイストで構成されておりました。
読むのが辛くなるぐらい、
人間の腹の底にあるなんとなく黒いものを浮き上がらせてくる朝井リョウ。
だから「いい!」とはなんとなく言い切れなくても悪いとも言い切れなくて、どちらかと言われたらいい作家に分類してしまう。というかいい作家だと思う。というか好きだわ。
このノリで映画も観てしまうんだろうな。
キツイところをいつも突いてくるのに、着地するところは救いがあるのがまたいいんだ。