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北海道大学で5日間にわたっておこなわれた教養の講義をまとめたもの。イコノロジーの方法を用いて、ミケランジェロのシスティナ礼拝堂の天井画、レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》、デューラーの《メランコリアⅠ》、ジョルジョーネの《テンペスタ》を順に読み解く。
絵画に描かれた思想や意味を解釈することは、その絵画が描かれた当時の思想史、社会史などについての理解に深く結びついているということが、わかりやすく語られている。
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ルネサンスとはなんぞや!?うまく説明できますか?世界史で誰もが一度は、習ったことがありますが、世界史の先生はその概念をしっかり教えてくれましたか?宗教改革とルネサンスの関係は?ルネサンスの精神がわからないとボッティチェリやダ・ヴィンチ、ミケランジェロがどんな画期的な作品を残したかさっぱりわかりません。この本は、大学の講義をまとめたもので美術書の中では非常にわかりやすく書かれています。モナリザの話は目からうろこですよ。
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美術に関した本ですがそんなにかたくないです。
有名な絵画、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画やレオナルド・ダ・ウ゛ィンチのモナリザなどを紹介しつつそこに秘められた謎を探っていく。
読みやすいのは大学の講義内容を本にまとめたからかもしれませんし、推理小説のように読めるからかもしれません。
とりわけ面白いのはダ・ウ゛ィンチについて書かれている章。モナリザを取り上げる前にその画家の少年のころからの人生史を描いていて読んでいてとても面白かったです。こんな人だったのか~と発見させられる点が多かったです。例えば万能の知として知られるダ・ウ゛ィンチの世界観が万物は火、空気、水、土という4つの要素から成り立っていると考えていたり、夜な夜な解剖していたとか。
私自身は近代以降の西洋絵画に興味があるのでここに取り上げられている作品については知っているだけでとりわけ興味を持つものではありませんでした。けれどこの本を読んでここに取り上げられている作品やその画家について理解を深められたことはうれしかったです。またこの本を読んで一つの絵を理解するにはその絵が描かれた時代背景を理解することの重要さを教わりました。この本を読んでの一番の収穫はこの点かなと思います☆
この本は本当に面白いのでダ・ウ゛ィンチが書かれている部分だけでも読んでみる価値はあると思います!!
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キリスト教が厳しく信仰されていた時代に、自然が人間を作り、誕生も死も自然に則って繰り返されるというメッセージがいかに絵画に込められていたのかがわかる一冊。面白かった。これを読んだ後に『Pina』を見たらますます面白く感じた。
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美術史入門、と銘打たれている。非常に読みやすいのだが難点としては、絵画を愉しむ術を「思想解釈」に限定してしまっている点と、時代がほぼルネサンスに絞られている、というところだろうか?確かに美術史を語る際に、ルネサンスは語らずにすますことは不可能であろうし、絵画=キリスト教の布教手段として用いられていた以上はそこに思想がこめられていることは間違いないだろう。要するに、言語を読めない人にも、キリスト教の内容を伝えねばならずそれには、視覚イメージに訴えることがてっとりばやいのである。今だって、漫画やテレビ、映画が繁栄を極めているのは同様の理由だろう。敷居が低いのである。ということで著者としては、「印象派」の出現を一つの区切りとして考えているようである。それ以前は思想の手段、として絵画は描かれていたし、それ以後は、作者の視覚的な世界観の表現の場として用いられている、と述べている。もちろん、これでは大事なものが零れているが、著者は生粋の学者なのである。だから、彼女にとっては、「絵画=テクスト」なのである。そこから、メッセージ性を読み取ること>純粋に絵画を愉しむ、ことあるいは、両者が彼女にとっては≒になっているのかもしれない。本来的に絵画を愉しむのなら、時代も作者も思想も関係がないはずなのだが、それをある程度学術的に理解しようとするなら、この三点は明確にわけられる必要がある。この時代にはこういった思想があり、その思想を取り入れた、あるいは、、それに反発した作者が、描いた作品。そして、作者の思想も変わっていくのだから、作品自体も変化していく、といった風に考えれば確かにそれは愉しくなる。だが、絵から漠然と伝わってくる抽象的メッセージ性を愉しむことは難しくなるだろう。なぜならば、その抽象性を言語で置き換えていかねばならないからだ。このうねった根=蛇=男性性やら変化やらを現している、などといった具合である。著者の言うことももっともなのだが、自分は美術館に行くと、颯爽と回って自分の心に訴えてくる絵数点を記憶に残し、それらをポストカードとして購入するくらいで十分か、と考えている。もちろん、著者のような見方をすることは嫌いではないしそういう本を読むだろうが、絵画を愉しむときは何も考えずに愉しみたい、ものである。ちなみに、絵画は見る位置を変えることによって顔を変える、ということが個人的な発見である。だから、遠近感を変えながら観る、というのは一興である。
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文庫本で画像が白黒でかつが粗いため正直楽しめず。
やはりこの手の本はカラーで楽しまないと。
それにしても屋根の上に登って空想するだけで「屋上の狂人」と呼ばれるような少女時代を送った人の授業って正直面倒臭い気もする…。
美術史やりたかったら英語に仏語に伊語、独語も必要ですか、そうですか・・・
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本書はイコノロジー(図像解釈学)の入門書。もっとも、入門書とはいっても、従来の解釈にとどまらず、最新の学説や見方も紹介しており、奥行きもある。また、ここからさらに学びたい人のためには、巻末に参考書も用意されている。対象とされたのは、ミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、デューラー、ジョルジョーネの4人の代表的な名画。ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の「ノアの方舟」の解釈にも驚くが、白眉は「神なき宇宙」を見ていたというダ・ヴィンチ論。絵画の解釈にとどまらず、「ルネッサンスとは何であったのか」に見事に答えるもの。
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美術作品を見るのは好きだけれど、どこをどう見ていいのかには、実際自信がない。
自立した読者ならぬ、自立した鑑賞者になりたくて手にした本。
でも、若桑さんの本は、多分これで三冊目。
で、読み終わった結論としては・・・
「自分でイメージを読み解くのなんて、無理」。
イメージの意味を読み解くには、その画家についてや、その時期の文化や思想にまで通じていないといけなさそうだ。
特に、この本は私にとってあまり馴染みのないルネサンス美術を対称にしているから、余計そう思ってしまうのかもしれない。
まあ、でも、最初のイメージを扱う三つの方法論(様式論、図像学=イコノグラフィー、図像解釈学=イコノロジー)について、概要を知ることが出来たのは収穫だったかも。
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作品から思想と意味を読み取る過程が刺激的。そして、優れた芸術ほど、その読み取る作業は万人に開かれている。本書ではミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、デューラー、ジョルジョーネの作品だけだが、歴史を見る目が変わる。社会、象徴、表現、思想は汲めども尽きない学問の豊かな泉だ。
・自然、宇宙と人体との相関をアントロポモルフィズムという。
・16世紀にメディチが美術学校、アカデミーをつくった。
・アルプスをこえて南に行くことは、単なる空間移動ではなく、文明の源に帰ること。
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終始ライトな語り口で、だけど押さえるべきところはきちんと押さえて、まさにベスト・オブ・美術史入門。作者の絵画への解釈はどれも興味深かったが、とくに《テンペスタ(嵐)》は必見必読。ヨーロッパを語る上で「火・水・空気・土」はどうやら欠かせない要素らしい。美術をもっと知りたくなる、学びたくなる一冊。
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目から鱗が落ちっぱなしでした。芸術は感覚で理解するものではなく、思想的な理解がなされるべきものだ、という主張が根本にあり、それを丁寧にひも解いてくれる1冊です。絵画鑑賞が趣味の私ですが、感覚だけで絵の好き嫌いを判断してしまいます。自分の教養が足りないだけなのですが、それを良しとしていてはもったいない。思想的な理解によって、芸術を何十倍も楽しむことができることを実際の美術作品の読み解きによって教えられました。
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講義形式
・ミケランジェロ:システィーナ礼拝堂の天井画
・レオナルド・ダ・ヴィンチ:モナリザ
・デューラー:メレンコリアⅠ
・ジョルジョーネ:テンペスタ(嵐)、絵画の謎
以上の4講からなる。
美術史・歴史に詳しい人でないと、とても一回読んだだけでは消化しきれる内容ではない。
両分野共に無知な私が、図書館から借りてきて消化できるほど甘いものではないが、それでも、分かるところは分かるので、簡単な薀蓄的な知識は得られたかもしれない。
ということで、読むなら買うこと(復習できるということ)を前提にした方がいいと思われます^^。
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クアトロ・ラガッツイの若桑さんの著書。絵画の鑑賞術を美術史の観点から解説するもの。誰もが知っている名画を題材に、歴史、宗教、文化、当時の世相や常識などから、画家のメッセージを解釈する楽しさを教えてくれる。(ここからネタバレ注意)例えばモナ・リザの背景には上部から緑豊かな自然、橋のかかった枯れそうな川、荒野が描かれているが、これは文明が興る以前、文明(建設)、そして滅亡を示唆しているという。そしてモナリザの微笑みは「私だけがそれを知っている」と言うものであり、故に人は惹きつけられるのだと(諸説あり)。こういう見方ができるようになると美術鑑賞が楽しくなるだろう。もっと早く知ってたらと思う。
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ひとつの絵がある。
ただ、美しいだけではなく、その絵を描いた作家の人生はもちろん、生きていた時代背景や、描かれたモチーフの意味など、様々な要素がある。
もちろん解釈はひとつに定まらず、絵という入り口から、さらに世界が広がっている。
絵という間口から、何を想起させるのか、作家がどのようなイメージを受け取って欲しかったのか。
もはやミステリの世界である。
教養があるというのは、みえるものをさらに豊かにするなぁと思った。
美術館に行きたくなる。
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本書では、西欧を代表する芸術家たち(ミケランジェロ、ダヴィンチ、ボッティチェリやデューラーなど)の傑作について、描かれた時代の歴史や思想的背景、そして画家の人間に対する思いが綴られています。著者は既に鬼籍に入っていますが、美術史家としての博識はもちろんのこと、芸術家がどういう思いで作品を描いたか、についての洞察に引き付けられました。
ダヴィンチの「岩窟の聖母」と「聖アンナと聖母子」について、前者の画中でキリストのそばに描かれたスミレの表すもの、そして後者で子羊と戯れるキリストを引き寄せようとする聖母の思いについての著者の解釈には心が震える思いがしました。
絵画に対峙するときに、その世界観をどう読むか。指針を与えてくれる素晴らしい本でした。