紙の本
ますます好調 逢坂の平蔵
2018/06/20 18:50
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで逢坂の平蔵を2冊読んできた。長谷川平蔵を除けば、池波正太郎版と登場人物が一変しているのが分かる。しかし、火盗改の与力、同心、密偵などの役割は同じである。物語の基本としては3冊ともに平蔵が容易に顔を晒さないという点であろうか。罪人に顔を晒す場合は、獄門行きの連中に限られるという。
本編も短編6篇から構成されている。前編で越中島の人足寄場にいたおりんがいよいよ密偵としての見習いを始める。映画、テレビなどの映像メディアであれば、普通顔と名前が一致し、同じ人物がその場にいれば一目瞭然である。ところが、小説ではそうはいかない。その手が逢坂のこのシリーズではよく使われる。
寄り合いで打ち合わせが済んでいるはずが、いざとなると他人に入れ代わり、斬られていたりする。話はすぐに結論を出さず、後日談で斬られたのは全く別人であることを読者に明かすのである。また、その場に平蔵がいたというのである。実は・・・と平蔵が皆に解説をするという筋書きである。
いかにも推理作家の腕が冴えている。反面、ストーリーが分かりにくくなるという弱点もある。したがって、この手ばかり使っていると読者も食傷するかも知れない。しかし、このシリーズは徐々にレベルが上がって来ている感が強い。単行本ではまだ読まれないかも知れないので、早く文庫化して広く潜在的な読者に知ってもらった方がよいと思う。続編を期待する。
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【平成の〈長谷川平蔵〉シリーズ、待望の第三弾!】悪党や、手下たちさえ顔を知らない火盗改・長谷川平蔵。不届きにも「闇の平蔵」を名乗る者が現われて……ハードボイルド時代小説。
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平蔵の顔を見た悪党は必ず死罪か殺されるかする。よって悪党の中で平蔵の顔を知るものは居ない。
その顔を探るのがキーとなる本話。
逢坂読者には嬉しいゲストも登場する本話は同心や手先のキャラクターも立ってきて絶好調。
普段は市井物を読むことが多いのでこういう本格は読み応えが格段に違う。
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平蔵シリーズの第三~飛鳥山で仇討ちが行われるのは平蔵が町廻りで見聞きしたものだ。沢山見物人が来て,特に料理屋の奉公人達も時刻になると繰り出した。約束を交わしていた二人を巧く尾けて身元を割り出し,料理屋の入り婿になっている男が狙われていると当たりがついた。優男で匕首を使う鎌風三蔵は大男を相棒に使う。今回も大男を使って牢屋敷近くに火を付け,藤堂家からお宝を盗もうという算段だったが,途中で小吉という大男は松平佐金吾の与力・近藤重蔵と入れ替わり,鞭で三蔵を捕らえて長谷川組に引き渡したのは遺恨があってのことだった。奉行所や火盗改メに恨みを持つ人間を闇の平蔵という男が集めているという噂で,平蔵の手先が探りに行くと,可久という女が面体を隠している男こそが長谷川平蔵だと言いだした。松平組の与力の男が用心棒をしていて斬り殺された恨みを晴らす仕掛けだったのだ。その時いた女衒の周六は,長谷川平蔵の顔を知っていると言うことで阿古屋の長八という盗賊の頭に声を掛けられ,平蔵を始末する手伝いをさせられるが,暗闇でしか見なかった平蔵の人相に自信がなく,可久に声が掛かった。見世物小屋に日没直前に連れてこいと言われ,確かに武家が連れてこられたが,可久は平蔵だと言い,周六は違うという。用心をしていた長八は逃げ出す直前,平蔵に切り捨てられた。度胸の良い可久を手先にしろと平蔵から命じられ,可久は商家の番頭を誑し込んであいもやの半次郎という盗賊を引き込む手はずを整えたが,半次郎は疑いだした。押し込み先を換えたと言って元に戻し,その店で平蔵に斬り殺される。黒装束の餓鬼大将が音締めの松だと言って長谷川平蔵に入り口を抑えられ福田屋に乱入し,間もなく店のものに追い出されたが,平蔵は今永仁兵衛に小柄な盗賊を探し出して押し込みがあったばかりの並びの店の手引きを命じた。何人もの捕り手を配置したが,本当に警戒していたのは福田屋で,一味を捕らえた~亡くなったお父さんの中一哉が池波正太郎の鬼平の挿絵を描いていた縁で,息子がオマージュしたって訳かぁ。お父さんは104歳で亡くなっているが,ストックを一杯用意していたのかねぇ。逢坂さんが書いている近藤重蔵も同じキャラで登場した・楽し!
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国際謀略シリーズはそこそこ,百舌シリーズが大好きな作者さん。今シリーズも気になっていたので手に取ったが,一話を読んでごめんなさい。皆さんの感想をみると好評のようだが自分には合わないかな。
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面白い。長谷川平蔵シリーズ短編6作品が収められているが、どれも名作といえる。
絶妙な展開に驚かされる。いい歴史小説だと思う。