現代語に訳しているのが、あの星新一さんだなんて意外。でも、考えてみると月からやってきた女の子なんていうのはSFっぽいぞ。
2003/11/17 18:36
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投稿者:emiemi - この投稿者のレビュー一覧を見る
やっぱり「きまぐれロボット」のあの人だった。期待したとおり、教科書風の口語訳じゃあなかった。
それに途中の「ひと息」が特に面白く読めた。「み仏の石の鉢」を取りに行くことになった石造りの皇子(みこ)が天竺へ出かけると言って3年後にかえってくる。「ひと息」のなかでは『おとなしく三年間を待ったのではあるまい。ほかの女性を、くどきもしたろう。』などとある。
ご本人のあとがきと解説があり次に原文も付いている。前もって面白く読んでいるし、昔話しとしても馴染みのあるストーリーなので注を頼りに読み終えることができた。
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
記憶の中の皇子たちよりも悲惨な目にあっているような気がしました。思いのほか、かぐや姫が帝には心を開いていたのが意外でしたね。
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星新一訳の竹取物語です。誰もが読んだことのある古典の一つです。そして多く訳書が出ていますがあえてこれをオススメするのは、一つの話ごとに訳者の感想が入るんです。訳していて難しかったことや思ったこと、そして物語の魅力。この部分がこの訳書の醍醐味です。
この本は訳の後に原文も載せてあるので両方楽しむにも適しています。
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「むかし、竹取りのおじいさんがいました・・・」で始まる、この物語。
“かぐや姫”というタイトルがついて、絵本になっていたりすることもある、日本人にとっておなじみの昔話だと思います。
が、単なる古典だとか御伽噺とか思っていたこの話が、「SFだ」という発想にビックリしたのは、この「星新一口語訳」に触れた時。
確かに、竹の中にいた「かぐや姫」は普通じゃないし、月から宇宙人?のお迎えが来るし、お迎えってUFO?かもしれないし。立派なSFです。
「もう、竹取物語なんて、小さい頃に読んで知っているよ」というかもしれませんが、この星新一口語訳が、面白い!
他の星新一作品と同じようなテイストをもちつつリズム良く話しが進むし、かといっていじりすぎておらず原文の雰囲気もそのままだし、また、節ごとに「ちょっと一息」と星氏のコメントが合いの手のように入っており、その解説もなかなか秀逸!
星新一作品が好きな人は、その持ち味に頷くのではないでしょうか。
本には原文も入っているので、改めて口語訳と比べながら読んでみるのもよいと思います。
そして、この本は1987年(20年以上前!)に「竹取物語」が映画化されたときに出版されたものです。
これの映画が、また、ゴージャス!
監督は市川崑、出演は沢口靖子(かぐや姫)、三船敏郎、若尾文子、中井貴一、春風亭小朝、石坂浩二、伊東四朗、岸田今日子・・・豪華メンバーですね〜
この映画も、「竹取物語」をSFと解釈したものなので、UFOが出てきたり、竜と戦ったりする特撮がありと、20年前にしてはかなりスケールの大きい映画だったようです(見ていません^^;)
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「今は昔、竹取の翁といふものありけり・・・・・」
今は昔、丸暗記させられたなあ。
絵本ではお馴染みの物語なんだけど、ちゃんと読むのは初めて。
大伴の御行のところが一番好き。
「龍の首の玉を取ってこい、手に入れるまで帰ってくるな」と言われて、
家来たちがどうしたかって
「そんな無茶苦茶な~」とぼやきながら
旅費って言って渡された財産を山分けして
家にこもったりこの際だからって好きなところへ行ったりw
この物語の中ではまともというかちょっと小気味良い対応。
待てど暮らせど戻ってこない家来に業を煮やして、御行は自分で探しに出かけてしまう。
そんでさんざんな目にあって帰ってきたら
そこへ家来が戻ってきて
「自分がどういうことを命令したかわかったでしょ。手ぶらでもお叱りは受けないだろうから戻ってきました」
家来かなり言いたい放題w でもみんなまた仕えたいって言う。
結構人望あるやん、御行。
で御行は「もうあんな女には近づかんとこ。お前らも行ったらあかんで」
他の男たちが偽物でごまかそうとしたり、偽物をつかまされたり、がんばりすぎて死んじゃったりする中で、この話だけはちょっといい感じ。
あと、著者も書いてるんだけど、ミカドが人格者。
あっさりふられても、なんかかんかと世話をやいてくれる。
最後には兵士を二千人も貸してくれちゃう。
日本最古の物語は、恋あり冒険ありSFありの楽しい世界でした。
(10.04.25)
図書館
(10.04.24)
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SFで有名な星新一が訳してます。
絵本やアニメで読んでいたり見ていたり、おばあちゃんとかからお話として聞かされていたりするので、ついつい読んだ気になっているものの一つ。
そのせいで無夜の中ではかぐや姫の神格化が凄まじかったのですが、原文を読んで見ると、かぐや姫って生っぽい(なんというのか、普通っぽい??)です。
貴公子五人に無茶な品をねだり、それをそのうちの一人が約束の品(蓬莱の玉の枝)らしいものを持ってくると、頬杖をついて、がっかりします。きっと上品に書いているだけで、内心「ちっ」とか舌打ちしてそうです。それが偽物だとわかると、にっこりと笑う。枝を突っ返す時に悪戯心で和歌を送る。嫌味が籠っている。
心理描写も凄いんですよ。
貴公子の元妻(かぐや姫のせいで夫に離縁された)が、元夫が貢物探しに失敗したと聞くと、腹を抱えて笑うんですよ。そういうちょこっとしたところが、本当によく出来てます。
現代語訳が最初に、後に原文があり、原文は下に注釈があるので資料として便利な一冊。
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星新一氏の訳というので手にした一冊
SF作品の多い彼独自の文体で
古典なのに星新一の世界になっていました
章が変わるたびに訳に関することや
ネタになりそうなちょっとしたことも
書き添えられていて読んでて飽きません
この辺りは星新一の面白さかと思いました
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文学史の授業で『竹取物語』の話を聴いたらとっても読んでみたくなって、図書館で現代語訳版を探したところ星新一・訳というものが見つかったので早速借りてきてみました。
教科書で冒頭とフィナーレくらいしか読んだことがなかったので。
ざっくり言いますと、完全な現代語訳ではないです。
かっちりした現代語訳と思いこんでいたのでとても驚きました。
星新一オリジナリティー溢れる訳になってるんだと思います!星新一ははるか昔に1回読んだことあるくらいなのではっきりとはわかりませんが!(笑)
閑話休題がとっても面白いです!星新一の解説というか、感想というか、次話予告というか。
とっても読みやすくて、面白かったです。ちょっとした付け足しが勉強になったり、はっと気づかされたりして。
挿絵もわかりやすく、かわいいです。
ただ、勉強のために現代語訳を読みたいといった場合にはこの本はお勧めできません。巻末に原文は載っていますけれどね!
ちょっと『竹取物語』読んでみたいな~とか、星新一が好きだ、という人には是非とも読んでいただきたいです。
『竹取物語』自体の感想としては、現存する日本で一番古い物語というものがこんなに素晴らしく上手くできていて面白い作品であるとはほんとうにすごいことだと思いました。
日本人って古来より文学に関して非凡な才能がある民族?なんじゃないでしょうか(笑)
『竹取物語』より前にも物語文学があったという形跡は見られるけれど『竹取物語』以外の作品は現存していなくて(発見されていなくて)、この物語が特に面白い作品だったから恐らく写本もたくさん作られていて、今に残っているのだ、という話を聴きましたが、なるほどもっともだと思いました。
いやー、星新一の文章って優しくて柔らかくてユーモアがあってとっても良いなぁ。
他の著作を何か読んでみようかな?と思いました。
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ジブリ映画『かぐや姫の物語』に触発されて、原作を現代語訳で読んでみた。訳者はなんとあの星新一。『竹取物語』と星新一という組み合わせの意外性にまず驚いたが、読み進めていくとその第一印象が一変した。
まず星新一の軽妙な筆致が、「なぜ結婚しなければならないのか」という当時の女性としては非常識きわまりない考えの持ち主であるかぐや姫に翻弄される男たちのコミカルなドタバタ劇的世界観と実にうまくマッチしているのだ。それがとても心地いい。だがそれだけではない。『竹取物語』は一種のSF小説でもあり、ある種の不条理劇でもあるのだ。そしてそれこそまさに星新一のオハコ芸に他ならない。そう考えると、この現代語訳の適任者は星新一以外にいないのではないかと思うまでに至った。
各章末にある一口メモ的なシニカルなツッコミも、抑制とウィットが効いていて、実に星新一らしい(最初のほうは、竹と聞いてパンダは出てくるわエジソンは出てくるわで、どうなることかと思ったが)。解説も作家としての視点からこの作品を評価していて、なかなか興味深く読んだ。
とまぁ、『竹取物語』の感想ではなく、ついつい星新一についての感想になってしまったが、これは「星新一的竹取物語」なのだから仕方がない。千年の時を経て、竹取物語は星新一の手によって新たな彩りを与えられて蘇った。これはこれでアリだと思う。
ちなみにジブリ映画からは仏教的要素を強く感じたが、原作にそういう要素はほとんどない。
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図書館で借りたら沢口靖子の表紙だった。そういえば映画になっていたっけ。ということは、これ読んだことあるかも。
とはいえ、記憶になくて新鮮な気持ちで読む。
ただこの本を以前読んで太宰治「お伽草子」吉行淳之介「好色一代男」が読みたくて図書室に行ったらなくてガッカリしたことは思い出した。
とても読みやすいし、最後に原文もあるので古典導入に楽しいかも。
星さんのポロリポロリと語られる「一息」は邪魔だなとは思いつつ全体を読み終わるとより深く物語を理解してるようになってる。
あとがきも参考文献、訳すということなど興味深い。
「発想とストーリーとで、人を引き込んでしまうのだ。構成に自信があればこそだ。描写を押さえると、読者や聞き手は、自分の体験でそのイメージを作ってくれ、話に溶け込んでくれる。
そのパワーが失われると、季節描写や心理描写に逃げ、つまらなくなる。(略)
読み終わって、夏でなくても成立するのにと、点数が悪くなる。美人だって、くわしく描写すると、好みじゃないねと、そこで終り。」
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この本の訳者は星新一さんなのですが、きっちりした訳というよりも星新一さんによる竹取物語の解説といった風な一冊でした。現代と違った価値観があったことの解説やお話の作り方についての説明があって、普通の現代語訳を読むよりも深く理解できた気がします。