紙の本
時代の宿命を正面(まとも)にみる
2012/11/24 23:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Fukusuke55 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1919年、亡くなる前年にマックス ウェーバーが行った講演の抄録です。
若い研究者たちに、全身全霊で語りかけ、混迷する時代に強い意志を持って「学問と政策の峻別」を生きよと説いています。
第一次大戦敗戦後のドイツ、「事実」のかわりに「世界観」を、「認識」のかわりに「体験」を、「教師」のかわりに「指導者」を求める若い研究者たちに
「体験」に求めるのは、弱さからきている。
その弱さとは、結局時代の宿命を正面(まとも)にみることができないことだからである。(57ページ)
と、叱咤しているウェーバーさん。
表紙をめくるとすぐにある、晩年のウェーバーさんの写真は迫力ありありです。なんだか幕末の志士のようで、眼光するどく、この眼で見据えられたら、弱い心をすぐに射抜かれそうな気がしますね。
何だか、今の日本に生きるわれわれが叱咤されているようです。
この後のドイツが歩んだ道は、多くの人が知るとおり。
民衆が求めた「指導者」は、そう、あのヒトラーです。
現在の風潮は、ここでウェーバーさんが叱咤した時代とそっくりになりつつあり、次期政権リーダーになろうかという党首が「言っただけで株価があがり、円安になった」、「国防軍とする」発言を繰り広げていることを、有権者が冷静に消化する必要があるのではないかと思います。
時代の宿命を正面にみる力、未来への想像力・・・これらを問われているのが、まさに今の日本。
紙の本
1917年のドイツの社会学者マックス・ウェーバーが行った大学生に対する講演の記録です!
2020/04/30 11:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ドイツの社会学者であったマックス・ウェーバーが1917年に大学生に向かって行った講演の記録です。この講演が行われた当時は、第一次世界大戦の末期であり、戦況は悪化する一方でした。そのような状況下で、学生たちは、「もともと神や哲学が担っていたような役割」や「あらゆる意味への問いに答えうる価値観を授けてくれるような超然的存在」を欲していて、学問の中に全能的存在を、教師の中に指導者の姿を求めるような期待感が生まれつつあった時代でした。ウェーバーはそうした学生の期待感を察知して、この講演を行ったと言われています。彼は、この講演の中で、こうした風潮を鍛えらるべき弱さだと批判し、「日々の仕事に帰れ!」と学生らを叱咤し、それは聴衆に「脅かすような」印象を与えたとも言われている名講義でした。
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先日、古本屋で見つけて久しぶりに読み返してみた。大学院生になってから読むと、言葉の切実さが胸にしみる・・・。「自己を滅して己の課題に専心する人こそ、かえってその仕事の価値の増大とともにその名を高める結果となるであろう。」という言葉には、ガツン!!とやられた。最近、アメリカを中心とした「政策直結型の知のあり方」が産学連携などといった形で日本でも話題となっている。しかし学問と政策は果たして表裏一体のものであろうか?ウェーバーはそれに対してNOと言う。社会発展に学問から得た知を援用するのは構わないが、学問そのものが社会発展を目的としなければならないのならば、人間はきっと、豊かさを失ってしまうだろう。
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院に進み、学問を自分の生業としたいと思っている人は読むべき本。この本読んで自分が向いていないと思ったら研究職を目指すのはやめたほうがいいと思う。
文章は難解。特に後ろにいくにつれ難解になるため、読むペースは落ちていく。
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講演録。難解というわけではないけれど学部生は手を出さなくてもいいかな。院に進んでしまったら読んでみよう。
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学部のレポート課題図書。短いし、結構読みやすい。学問に携わるものの心構え、教授の学生に対する態度などなど。進んで読みたいとは思えないですが。
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研究者の道に進むか悩んでいた時(大学3年)に購入しましたが、特に感じるものもなく。無感想な本です。
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「生半可な覚悟で学問の世界に足を踏み入れるんじゃねーよ」と、ウェーバーが学生を叱り付ける本。歴史学の授業でレポートの課題になったから読んだ。論理が入り組んでて一苦労だったが、解説に訳者の要約があって助かった。評価する能力が無いので星3つで据え置き。ちなみに別の訳がネットでも読める→http://jaguar.eng.shizuoka.ac.jp/etc/WB-ja.html
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経済学者のマックス・ウェーバーが、職業としての学問を客観的に考察した本、まだ購読途中だが、現代における社会事情と通じる点があり、学者になるための心づけが考察されいる。
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なんで勉強せねばいかんのか、という長年の疑問に答えてくれた本。読みにくいけど、薄いし、頑張って読む価値はあると思います。
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この場合の職業はドイツ語のBeruf(英語のcalling)で、神に召喚される、使命という意味合いがある。学問はドイツ語のWissenschaftで、科学であり、そして知識の体系化といった意味合いもあると思う。
ウェーバーの回りくどい話し方に苦戦するが、ドイツ思想をしっかり学んでから読み返すと、すごく含蓄あると思うかも。
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学問とは何か?
講演なので、ちょっと話の流れが見えにくい部分もありましたが…
今に共通する部分もあり、違うと反論したくなる部分もあり。
ウェーバーってこう考えていたのか!というのが知れて
面白かった。
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最初の所がいい。ドイツとアメリカの大学を比較している。「問題は、ある教師のところへばかり学生が集めるということの原因が、多くのばあい、その人の気質だとか、または単なる声の調子だとかいうような、外面的な事柄にあるということである。」
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かのマックス・ウェーバーが晩年に書いた本。
これが1919年に書かれたものなのかと思わせるほど、大学のシステム、学問のあり方、大学教員のあり方についてよく記されている。今でも通じるだけの内容であることに驚いた。
学問は決して価値を与えることはない。
後半が難しくてよく理解できなかったが、一見の価値があります。
80ページないので一気に読まないと理解しにくいです。
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教室における、自然と当為の峻別。教壇の上から自分の意見を述べるべきではない。大学で教壇に立つ人は一度読むべき。